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母乳とアレルギー

母乳とアレルギー

1.ニセ情報

赤ちゃんが生まれると、すべてが赤ちゃん中心に回ります。

先輩ママになった友人のサポートが手厚ければ別ですが、育児の相談もネット以外どこで調べたらよいかわからず、夜遅くまで帰ってこない父親や実家など周りのサポートも受けられない状況であれば、「私がやらなくてはこの子が」と思い詰めてしまう方も時々いらっしゃいます。

特に、ネットでチラ見したような情報を教えてくれる方もいらっしゃいますし、30年前の情報をアドバイスしてくれる医療関係者もいます。

アレルギーになってから治療するのではなく、アレルギーにさせないのが治療です。

アレルギー医がいる病院では、妊婦教室にアレルギーに関して、アレルギー専門看護師の講座があったり、助産師から保湿の話があります。

そもそも、出産セットにアトピー性皮膚炎を予防するために、生後すぐから塗る保湿剤が入っているところもあります。

誰に相談するかで大きく情報がことなりますので、大切な赤ちゃんのために、正しいところから情報を得て、人からもらった情報は冷静に判断しましょう。

2.母親は無意味なことが気になるのが当たりまえ

ママの仕事や母乳の出方などの問題を除いて、母乳は可能な限り継続していただいて問題はありません。

アレルギーとは関係ありません。

母乳が子どものアレルギー予防になると言われたことがありますが、その後、「現時点で、推奨できるほど母乳のアレルギー予防効果は認められない」とされました。

すると講演会やセミナーで「母乳にはアレルギー予防効果はないんですよね?」と残念そうな顔で質問をされる方がいます。

毎回お聞きするのですが、「アレルギー予防が出来なければ、母乳をあげないのですか?」。

当然違いますので、母乳の予防効果の話は忘れてください。

結局母乳を与えるので、最初から情報がなかったのと一緒ですが、多くの母親はワンオペですので、相談できる人もおらず、気になって当たり前なのです。

3.母親の食物除去はやってはいけない

 母親が食物アレルギー予防にと、食物(卵、牛乳、小麦など)を全く摂取しなかったり、離乳食での開始を遅らせたりしても、アレルギーの予防には現時点ではなりません(①)。

特に妊娠中の不必要な食物除去は栄養バランスが崩れるので、やってはいけないとされています。

アメリカで、ハイリスク児※において1歳になるまでは母親に卵と牛乳与えないとされていたのは、2000年頃です。いまから20年前です。

しかし、母乳中に食物のアレルギー成分がごくごく微量ですが、出ることも確かで、1921年には解っていました。

食物アレルギー児の中でも、母乳中のアレルギー成分が問題になるのはほんとに珍しいです。母親も除去しなければならない子もいますが、割合はかなり少なく、珍しい部類に入ります。

ほとんどの場合が卵と牛乳が原因ですが(②)、赤ちゃんの湿疹が悪化、重症になると下痢や血便などがでることもあります。

一方で、母乳中に成分が出ても、食物アレルギーでなければ症状がでません。むしろ、母乳中に微量の成分が検出されることは正常の腸管免疫の発達には必要と言われています(②)。

下痢や血便が続く場合が別ですが、皮膚状態が良くならないだけであれば、一般的なスキンケアを行い、通常の良くなるはずの経過で良くならない子が母の食物除去(食べない)を必要とします(除去試験と言います)。 

つまり、除去が必要かどうかを判断するには、スキンケアで湿疹を無くしてからで、これ以外の場合には食物除去(食べない)必要ありません。

アレルギーになるには、育つ環境、アレルギーになりやすい子かどうか(ハイリスク児※)など様々な要因を検討しなければならないのです(③)。

何か一つの特定原因を見つけることは難しいです。

なので、ママの仕事や母乳の出方などの問題を除いて、母乳栄養は可能な限り継続し、離乳食も通常通り始めるのが原則です。

アレルギー科に通院されている赤ちゃんは、アレルギー科としての皮膚状態チェックの乳児健診、適宜皮膚テスト・採血と栄養相談をしています。

結論
母親が食物を食べなくてアレルギー予防にはなりません。

むしろ、予防保湿を行い、積極的に湿疹をなくしましょう。 

ママが心身ともに元気でいられてこそ、笑顔いっぱいで赤ちゃんと接してあげることができ、理想的な幸せ家族の実現につながります。でも、家族にとって大切なママのケアが後回しになっていることが多い状況です。

※アレルギーのハイリスク児
両親あるいは兄弟がアレルギー疾患(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、湿疹)を持っている乳児。他の子よりなりやすい。

 
参考文献

① thygrajan A: AAP of pediatrics recommendations on the effect of early nutritional interventions on the development of atopic disease. Curr Opin pediatr 2008:20(6):697-702.

②小倉英朗. 母乳栄養と除去食. 小児食物アレルギー診療UPDATE. 小児科4月臨時増刊号,P630-637. 2014.

③森田慶紀. 母乳栄養はアレルギー疾患の予防に有効か?小児内科 Vol47 P1984-1985. 2015.

④海老澤元宏監修. 食物アレルギーの栄養指導. 2012年. 医歯薬出版. 

⑤周産期医学編集委員会. Q&Aで学ぶお母さんと赤ちゃんの栄 養. 周産期医学 Vol42 . 2012.

⑥木村光明. 新生児・乳児消化管アレルギー:母乳栄養. 症例を通して学ぶ年代別食物アレルギーのすべて. 南山堂. 2013年.

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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