自閉症児の療育を出来るだけ早く開始することは、子供にとって多大な利益になります。
しかしながら、問題は簡単ではありません。
理由は、
医学的、親の心理的に「早く診断をつけることが難しい場合が多い」
ことにあります。
私の尊敬する医師でも1歳で自閉症の診断をつける際には悩むことが多くあるそうです。
早くから診断をつけることが難しいのは世界共通です。
Lonnieらは、「生後12ヶ月以下でははっきりとした自閉症を診断するための指標はないが、生後12~18ヶ月までには、名前を呼ばれることへの反応がうすい、人と遊びたがらない、飛び跳ねることを繰り返すなどの自閉症と診断されるような特徴的な症状が出現している」と述べています1)。
別の研究では、「通常では自閉症の診断が3~4歳頃までにされることはない。しかし、多くの親は生後18ヶ月までには発達に気になる点があり小児科医に相談している」と報告されています2)。
これから言えることは、親が怪しいと思った時点で、自閉症スペクトラム障害と診断されていなくても、苦手な部分は練習(介入)することが良いとゆうことです。
出来るだけ早い療育の開始が、格段に社会スキルを向上させることも報告されています。
専門ではない私にも印象的には介入は早いほうが良いと思っています。
しかし、何をどう始めたら良いのかといった研究結果は確立されていません。
勉強に置き換えて考えると解りやすいですが、あまり幼い子供に無理に計算をさせ、その後中学で全く勉強しなくなったなどはよく聞く話でもあります。
教え方、育った環境、本人の興味など様々な要因に左右されるからです。
何かひとつの方法だけが良い訳ではありません。
親の心理的な問題から診断が遅くなることもあります。
では、どうすればよいのでしょうか?
・診断がついた場合には当然出来るだけ早く介入します。
・診断がついてなくても、苦手な部分は練習します。
・上手くいかないことがあってもあきらめずに、トライ&エラーを繰り返します。
「行動と発達」に絞って練習を考えると上手くいくでしょう。
参考文献
1)Lonnie Zwaigenbaum,etc. Early Identification and Interventions for Autism Spectrum Disorder: Executive Summary. Pediatrics 136; S1-S9, 2015.
2)Lonnie Zwaigenbaum,etc. Early Identification of Autism Spectrum Disorder: Recommendations for Practice and Research. Pediatrics 136; S10-S40, 2015.
3)Lonnie Zwaigenbaum,etc. Early Identification of Autism Spectrum Disorder: Recommendations for Practice and Research. Pediatrics 136; S41-S59, 2015.
4)Lonnie Zwaigenbaum,etc. Early Identification of Autism Spectrum Disorder: Recommendations for Practice and Research. Pediatrics 136; S41-S59, 2015.
5)平岩幹男(2012). 『自閉症スペクトラム障害 療育と対応を考える』 岩波書店.
6)平岩幹男(2009). 『発達障害 子どもを診る医師に知っておいてほしいこと』 金原出版株式会社.