感覚過敏な子どもたち

感覚過敏の例と当事者はどう捉えているかを考えてみました。


自閉症児の感覚過敏は、特に思春期~成人では大きな問題で、コミュニケーションの問題よりも大きいかもしれないと言われています。

感覚過敏かどうかは、その人が感じる「程度」によります。


例えば、音に対する反応。

音が苦手な人はいるでしょう。

ロックコンサートは?

ロック好きな方は問題ないですよね。

そうでなければ苦痛かも?

ガラスをひっかく音は?

大抵の方が耐えられませんが、私は全く問題ありません。

じゃあ、運動会のピストルの音は?

ほとんどの人が大丈夫な音ですが、自閉を抱えている方はかなり苦手です。

これは「障害」でしょうか?

国民性や生活習慣の違いでも、苦手の基準は変わる事もあります。

つまり、「物事の感じ方はそれぞれ」であり、「私達は大丈夫」でも「苦手な人には当てはまらない」ことがわかります。

じゃあ、「苦手」程度で日常生活に影響がないなら? 大多数の人が全く問題ないものに対して、日常生活に影響が出る程度に苦手であれば「障害」と言えると思います。

とゆうことは、感覚過敏は自閉症児だけのものでしょうか?

幼児期に苦手なことが、小学校で苦手ではなくなったらどうでしょう?

熊崎は「感覚過敏は同年齢児と比べ、個人がある種の感覚刺激に対し誇張された、強烈な、長い時間の反応」としていますが、「人は発達により自分にとって不快な感覚刺激を自己調整できるようになる」とも述べています5)。  

さらに、Vanらは768人の2歳時のうち、約13%で感覚過敏があったと報告しており6)、定型発達だけの問題ではないことを報告しています。

では、自閉症児ではどうでしょう?

自閉症児では、定型発達児より感覚過敏が多いことが知られており、Futooらの研究でも、132人の自閉症児のうち65.9%に感覚過敏を認めたと述べています7)。  

感覚過敏の種類についてFutooらの研究では、41.7%の子が感覚過敏は1つだけであるが、15.9%が2つ、7.6%が3つ、0.8%が4つ、5つ以上はいなかったそうで7)、複数種類を持っていることがわかります。

感覚過敏の中では、聴覚過敏が79.3%と最多を占めておりましたが7)、その範囲は臭覚、触覚など多岐にわたります。

例えば、栗原類さんは著書の中で、音楽ライターである母が聞く音楽は心地よいが、幼稚園での歌声やお経は苦手であったこと、触覚過敏から泥遊びはとても苦手であったことを述べられています2)。

周囲の人には、本人の辛さが理解されない状況がわかります。

本人がどのような捉え方で「嫌なのか」を理解することが大切です。

赤木は子供の視点で考えることの重要さを指摘し、「感覚の刺激」を量ではなく、意味で考えることを提唱してます5)。

ここでは、自分から手を洗うのは問題ないが、はねた水が腕につく感覚は耐えられないといった例もあげられています。

これは、「苦手な感覚」を「意味として苦手である」もしくは「質として苦手である」と捉えてもよいでしょう。

感覚過敏で一律に済ませてしまうことなく、その子その子のとらえ方を考えないと対策が立てられません。

周囲が判断せずに本人に聞いたり、様子を見て決めることが大事です。 次回は、具体的な対策についてお話し致します。

参考文献

1)熊崎 博一. 定型発達に見られる感覚過敏. 乳幼児医学・心理学研究 2015; 24; 2; P87-93.

2)Van Hull, et.al. Trajectories of sensory Over Responsivity from Early to Middle Childhood: Birth and temperament risk factors. PLoS One, 24, 10, e0129968.

3)Eri Futoo, et.al. Sensroy Hypersensitivity in children with High-functioning Pervasive Developmental Disorder. Osaka City Med. J .Vol 60, 63-71, 2014.

4)栗原 類著. 発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由. 小児科診療. KADOKAWA. 2016.

5)赤木和重. 目からウロコ!障害児の発達を学ぶ : 自閉症の子どもの発達と保険・教育(第6回)感覚過敏. みんなのねがい 全国障害者問題研究会 2014; 578; 14-16.

6)萩原 拓. 発達障害のある子に見られる感覚過敏性. 児童心理 2016年2月号 P68-72.

7)平岩 幹男著. 発達障害児へのライフスキルトレーニング. 合同出版.2015年.

8)クリスティン・バーネット著. ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい. 角川書店. 2014.

9)東田 直樹著. 自閉症の僕が跳びはねる理由. エスコアール. 2007.

10)小松和紀ほか. 自閉症の感覚過敏に着目した授業改善の取り組 み 秋田大学附属養護学校小学部の実践から. 秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 27,P65-76. 2005.

11)池永理恵子. 自閉症スペクトラム障がいのある児童生徒の学校歯科健診における養護教諭の対応. 小児保健研究 2014; 73; 2; P331-340.

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