毎年多くの方がアレルギーがあるから予防接種は打てませんと説明され、予防接種を断られて受診されます。
1.アレルギーがあっても、予防接種は大丈夫です。
例えば、卵アレルギーがあっても、インフルエンザワクチンも大丈夫です(①~⑤)。
小児科や内科で断られるMR、麻疹、おたふくかぜワクチンには、そもそも卵白成分は含まれていません(③)。
2.750本のインフルエンザワクチンを一度に打てば、症状は出るかも。
インフルエンザワクチン中の卵アレルギー成分が0.6μg/mL以下では、重篤な反応はないと報告されています(②)。
・重篤な反応はないレベル: 0.6μg/mL 以下
・日本のインフルエンザワクチン : 0.8~4ng/mL未満
→日本のインフルエンザワクチンには卵のアレルギー成分は0.0008~0.0032㎍未満
つまり、約150~750本のインフルエンザワクチンを一度に打てば、アレルギー症状が出るかもしれません程度なのです。
3.インフルエンザワクチンのアレルギー反応は保存剤が影響している可能性。
インフルエンザワクチンでのアレルギー反応は保存剤が影響している可能性が指摘されています(①)。
このため、私は保存剤不使用のインフルエンザワクチンで接種しますが、これまで反応が起きた方はいらっしゃいますせん。
打った場所がアレルギーには関係なくかなり腫れる方(局所反応)はいますし、以前に食物などでアナフィラキシーを起こされた方は心配だと思います。
もし予防接種でなんらかの反応が起きたとしても、アレルギーでなければ再度症状がでることはありません。
また、その時の症状で対応方法が違ってきますので、ご心配であればご相談されることをお勧め致します。
また、アレルギー対応に慣れていない病院では、予防接種を断れることがほとんどです。
予防接種を断られた場合には、理由を説明しても接種してくれることはありません。
話が通じずイライラするか悲しい思いをするばかり。
病院を変更されることをお勧め致します。
参考文献
①長尾みづほ. 診療現場の疑問から臨床研究へ. 日小ア誌 2015;29:18-21.
②内田理、菅井和子. 鶏卵アレルギー. 小児食物アレルギーUP DATE. P681. 金原出版.
③伊藤節子. 食物アレルギー診療ガイドライン 第9章 食物アレルギーの治療. 日小ア誌
2013;27:605.
④Paul J. Turner. etal. Safety of live attenuated influenza vaccine in atopic children
⑤Ann Des Roches etal. Egg-allergic patients can be safely vaccinated against influenza.
JACI 130(5):P1213-1216, 2012.