意外と知らない手荒れの予防法

どこのお店に行っても手の消毒を求められるようになり、コロナの予防で手洗いうがいの重要性が改めて言われています。

手洗いは感染予防に重要、しかし手洗いが多くなると確実に手や指が荒れてきます。

手や指は、年齢に関係なく、いったん荒れると非常に治りにくいです。

このため、荒れない予防、荒れたらすぐに治療することが必要ですが

1.手荒れが起きる代表は看護師と美容師

手洗いの回数が多くなると手が荒れる頻度は多くなります。

この代表が、看護師と美容師です。

医療従事者で、手荒れをしている人は81.4~90%であった。


宮崎博章. INFECTIOUS CONTROL. 26(12).P78-84
松永佳代子. 第30回環境感染学会総会・学術集会 教育講演4

一方で、この傾向は世界中で同じ傾向にあります。

看護師の85%が、手に何らかの皮膚問題を経験している。


医療現場における手指衛生のためのCDCガイドライン.P30

なぜ、手指の消毒や手洗いで荒れてくるかですが、洗浄によって皮膚のバリアーが壊れるからです。

指の衛生を保つには「手洗いと消毒」が必要

→どちらも脂肪の除去、皮膚の表面(角層)剥離が起きる

→皮膚が乾燥する

→バリアーが壊れる

→壊れる回数が頻回だと皮膚の再生が間に合わない

これが「手荒れ」

特に手荒れの場合には、悪い時期が長くなればなるほど治りません。

さらには、いったんバリアーが壊れると、全く影響のなかった日常生活行為ですらさらなる悪化の原因になってきます。

例えば、

手のバリアがある → 食器洗いしても問題ない

手のバリアが壊れてる → 食器洗いでも荒れる

また、手のバリアーが壊れると、アトピー性皮膚炎と同じなので、食物アレルギーの原因にもなり、多くの報告がなされています。

2.手荒れは予防できる

職業として手荒れが起きるとほぼ治りません。

荒れた時間が長ければ集中的な治療を行わないと良くなりませんが、多くの方が「職業として手の消毒と手洗い」を止めることができず、とても治りにくいです。

看護師や美容師の場合、手荒れは就業後6ヶ月以内から始まると言われており、出来るだけ早い段階から対応が必要です。

このため、デンマークでは、美容学校時代から手荒れの予防が行われています。

デンマークの美容学校では、手のケアを教育に取り入れることで、手湿疹の発症頻度が減少した。

Bregnhoj A, et al. Occup Environ Med. 77;42, 2017.

手荒れになる前に予防すると上手く行くようです。

手荒れの対応として大切なことは、

・治療は皮膚のバリアーを再生させること

・薬よりも原因を取り除くことが最重要

・薬は一時的な補強にしかならない

河合修三. 皮膚メカニズムと手荒れの発症機序. INFECTION CONTROL. 2008増刊号

薬は重要ではないといった意味ではなく、いったん荒れてしまったら、保湿だけでは対応することが出来ません。ステロイドでかぶれた状態を収めなければならず、むやみに保湿だけで治療していると年単位の長期間悪化が続く原因になります。

しかし、そこそも手が荒れる原因を取り除かないと良くなることはありません。つまり、看護師や美容師のように頻回に手を消毒していると「いつまでも、治らない」とゆうことになります。

では、予防としてどのようにすれば良いのでしょう?

大切なのは3点です。

  1. 発症する前から予防的に保湿剤を使用する
  2. 手荒れ発症後も、頻回の保湿を行うと悪化を防げる
  3. 手洗い後のハンドクリームと手袋着用が有効

うちの娘が今回手の消毒で手が荒れた時にはステロイド、プロトピック、手袋を使って治療し、3~4日で症状は消失、その後保湿で維持しています。

保湿をしても、すぐに取れることを心配する方もいらっしゃいますが、当然やらないよりはやった方が良いです。

 

  1. 手洗い(洗髪)の前に保湿しても効果は少しは残る
  2. 湿した10分後に拭いても、1/4くらいは効果が残る
  3. 布量よりも「塗布回数」が保湿効果に影響する

ちなみに、私でも20回/日程度は手の保湿を行っています。

3 . どの保湿剤が有効なのか

どの保湿剤が良いのかは、個人で変わるため、トライ&エラーで探っていくのが一番効率が良いことが示されています。

アレルギー科で使っていた病棟では、チームの看護師達が自分に合った保湿を各自が病棟に常備してありました。

とはいっても、保湿剤を選ぶのに注意点はあります。

  1. 無香料、食べ物が入ってない、尿素製剤はダメ
  2. ヘパリン類似物質かセラミド入り
  3. 切れた傷になった場合は傷の治療が必要

個人的にはC〇vilonは高いですが、以前の病院で使用していたこともあり、効果は良かったです。また、保険外処方で問題になった〇ルホ製薬のヒ〇ドイドですが、アトピー性皮膚炎の治療の一環としての保湿剤としては一日の長があり、治療の場合には第一選択でジェネリックではない製品をおすすめしています。普段使いとして、市販で手に入るものとしてコストパフォーマンスに優れていると思うのは、ニ〇アです。効果も優れており、普段使いとして私も使用しています。

以上、手の保湿は悪くならないと治療しませんが、手先は男性でもキレイにしておくのが常識です。

今から悪化させないように予防しておきましょう。

 

参考文献

河合修三.  INFECTION CONTROL. 2008増刊号

清水雅美、他. 滋賀医科大学看護ジャーナル. 7(1), P35-38.

甲田雅一、ほか. INFECTION CONTROL. 17(4). P82-87, 2008.

大久保保憲. INFECTIOnNCONTROL. 9(4).P360-362, 2000.

大野夏代、ほか. INFECTION CONTROL. 15(6).P628-633, 2006.

西岡和恵、他. J Visual Dermatol 17; 456-459, 2018.

皮膚科の臨床. 56(11), 2014.

 

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