アレルギーは触発されて、次々起こる

子ども頃からアトピー性皮膚炎と言われ、塗り薬を使っても現状維持が精一杯、時々悪くなるのを繰り返している。肌は病院に行ってもよくならないので、よほどひどくない限り治療はせずに放置することが多くなっていた。

20歳を超えた頃から、リンゴ、モモで口が痒くなるようになり、そのうちカシューナッツとマカダミア、ピスタチオを食べると顔が腫れるようになった。

2、3年の間に、次から次とアレルギーが増えていったが、病院にいっても「採血で反応している」と言われるだけ。行くこともやめた。

30歳の時、いつもと同じパンを食べ、いつもと同じようにマラソンをした。走り始めて30分後に全身のかゆみと息苦しくなった。全身真っ赤になり動けなくなって、救急車で運ばれた。

病院に行くように言われ受診したが、うちでは対応出来ないと大学病院を紹介された。大学でもうちで対応する病気ではないと言われ、近くのクリニックに受診した。採血の説明も良くわからないし、症状が出たら救急車を呼ぶようにとだけ言われた。日常生活をどうして良いかわからず、友人と食事をするたびに救急車で運ばれる不安をいつも持つようになった。

どうしたらよいのか、急にアレルギーが増え始めたのか。

わからなくて、泣きたくなった。

1)アレルギーは、触発されて次々と起こる

アレルギーは次のアレルギーを引き起こす、これを「アレルギー・マーチ」と呼びます。医学用語でいえば、アトピー素因を持つ人が、成長に従い、次々とアレルギー疾患を併発すること①、②)

アレルギーマーチが起きると、いつ・どのくらいの数のアレルギーが発症するのか、いつこの連鎖が終わるのかは全くわかりません。

さらに、ある人は口の中が痒いだけ、ある人は全身蕁麻疹、呼吸苦など、どの程度の重症度のアレルギーになるのかもわかりません。

#アナフィラキシーはトラウマになるくらい

2)アレルギーマーチは、アトピー性皮膚炎から始まる

すべてのアレルギーの入り口は、アトピー性皮膚炎と言っても過言ではありません。初発のアレルギーは、アトピー性皮膚炎が72.4%と言われています③)

つまり、アトピー性皮膚炎は治療をしていないと、または湿疹が残ったままだと体がアレルギー体質にどんどん傾いていきます。そして、他のアレルギーを発症する準備が進んでいきますが、この状態は「生後数ヶ月」から始まっています。

#採血で値が上がっているだけを感作とゆう

3)予防するか治療するか?のどちらかだと思います

肌のバリアーが、壊れるのがアトピー性皮膚炎。

肌のバリアが破壊されたままだと、色んなものを体が敵だと思い、アレルギー体質にどんどん傾いていきます。特に、この引き金はアトピー性皮膚炎の次にくる食物で、医学用語では「食物感作がアレルギーマーチの行方を左右する④)」と言います。

感作とは、採血で値が上がっているのに、症状がない状態のこと。

例えば、肌のバリアーが壊れていると、離乳食が始まる前に体が「食べ物を敵かも」と思う状態になります。これが進むと、身体が食べ物を敵だと思い、アレルギーになります。

この次に来るのが、アレルギー性鼻炎や気管支喘息です。

つまり、医学用語でいえば、「アレルギー性鼻炎や気管支喘息の発症には、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の両者を合併することが必要である⑤)」。となります。

なので、アトピー性皮膚炎→食物アレルギー→アレルギー性鼻炎か気管支喘息、もしくは両方の順番でマーチが進んでいきます。

なので、この状態にさせないこと、治療の時期を逃さないことがポイント。我々はこれまでの経緯をよく聞いて、症状に対して薬を選び、これまでとは違った角度で血液検査の分析を行い、あなたのアレルギーを全く別の方向から見直すことで、じっくり治療方針を立てます。つまり、まったく別の方向からアプローチして、アレルギーの進行を止めるための方策を打ちます。

#そもそものアトピー性皮膚炎を予防する

4)子どもは長く、大人は重症化する

アレルギーを起こしてしまうと、長い間大変な思いをします。

大人の場合、私のところにいらっしゃる方は命に係わるアナフィラキシーを起こされる方や脱ステロイドを止めた方が多く、早く診断と対策を行わないと重篤な症状を繰り返す方が多いです。

一方で、子どもは人生が大人より長いので、後々の人生のため、出来るだけ早めに治療する必要があります。

#アトピー性皮膚炎は経過を見ても治らない

5)だから、放置してはいけない

①アトピー性皮膚炎を悪い時だけ治療するのは×

平成元年ころの治療です。

②アレルギー治療は、未来への投資

アレルギー体質は遺伝します。つまり、お子さんにもお孫さんにも。

③予防できるものは予防する

妊娠前から予防できるものは予防しておきます。

 

参考文献

①馬場実.アレルギーマーチ. 小児科診療. 61:481-485. 1998

②下條直樹. 薬局. 64(3):P27-31. 2013

③馬場実. アレルギー・免疫 2004: 11: 734-747.

④猪俣直子.アレルギー・免疫. 20(6). 2013

⑤大嶋勇成. 日本小児アレルギー学会誌.2019;33;35-40

 

 

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