コロナ予防接種会場での、アナフィラキシー対応

アメリカでは、2020年12月末からPfizer・BioTech社と モデルナ社の新型コロナウイルス(COVID-19)の予防接種が開始されています。すでにアメリカの人口の約1割が予防接種を完了していると言われており①)、2021年2月からは接種の数を加速させるため、スーパーマーケットや薬局でも接種が出来るようになります。日本では、2月末から医療関係者への接種が始まる予定で、日本でも、イオンが全国290カ所にコロナ予防接種会場として、自治体に会場提供する名乗りを上げており②、③)、世界では急速にコロナ予防接種が広がっています。

このために必要なのは、病院ではない予防接種会場でのアレルギー対応です。

#「コロナ予防接種のアレルギーはこんな感じ」はこちら

予防接種会場は、病院ではありませんので、限られた人員、薬で最大の速度と効果でアレルギー反応を抑え、病院に搬送する必要があります。

つまり、プレホスピタル対応の知識と経験が必要になります。

1)予防接種会場の配置はこうしておくと楽

あくまでも理想になります。

予防接種会場でアレルギー反応が起きた場合には、迅速にその場で処置をして、病院に搬送するため、救急車が到着するまで、会場で出来る処置を行います。

処置をするためのカーテンで仕切った簡易ベッドを入れたブースを1つ用意しておきます。また、病院に搬送する患者を出す出口は、予防接種希望者とは別の出入り口を用意しておきます。もちろん、ブースは出入り口の近くです。

③必要物品は、救急カード、輸液、輸液セット、点滴カート、シリンジ、AED。

絶対必要なのが、エピネフリンと輸液、そしてAEDです。

2)スタッフは、非常に限られている

スタッフは非常に限られています。

このため、必ず救急対応をする担当スタッフは、医師1名、看護師1名です。その他のスタッフはそのまま予防接種業務を続け、要請があるまで自分の業務に専念します。

また、救急車を呼ぶ係も決めておきましょう。この場合、搬送される病院は会場からの距離を考えて決まっているものと思われます。

3)アナフィラキシーかどうか考えている場合じゃない

アナフィラキシーは、急速に起きる皮膚、呼吸、消化器、血圧低下、この中から2つ以上でアナフィラキシーです。しかし、全身に蕁麻疹が出ているなどの時には、一つの症状でもアナフィラキシーになるのは時間の問題です。

#「アナフィラキシ―は早く対応しよう」はこちら

4)会場で行う処置はこれ

アナフィラキシ―だった場合と、軽症のアレルギー反応だった場合では対応が異なりますが、プレホスピタルなので、目的は病院につなげることです。

アナフィラキシーの場合、迷っていると症状がどんどん進行、時間が経てば経つほど回復させにくくなります。なので、すべてのアナフィラキシー患者でエピネフリン0.01㎎/㎏投与します。

そして、以下の作業は全て同時に行います。

①ABC(気道、呼吸、循環)と症状の確認

アナフィラキシーかどうかとABCを確認、確保します。必要あればAEDを使います。

#コロナ予防接種のアレルギーは症状が出るのが早い

②とにかくエピネフリンを早く

洋服の上からでも構わないので、エピネフリン0.01㎎/㎏を、大腿中央の前外側に筋肉注射します(下イラスト)。エピネフリンは肥満細胞からヒスタミンの遊離をブロックする作用もあると報告されています。症状の進行も止められますので、定期的に状態を確認し、15分おき程度に再投与します④)

③ルート確保は肘から

輸液を行うためのルートを確保します。

アナフィラキシーでは血管が収縮してすぐにルート確保が困難になります。必ず肘から血管を確保します。

④救急車を呼ぶ係が救急要請する時に話すこと

・「コロナ予防接種会場~で、アナフィラキシーです。医師が対応しています」

・「名前、年齢」

これが最低限必要なことです。これ以外は聞かれたら答えましょう。

5)だから、これが必要です

①対応する人を決めておく

決めておかないと混乱するだけです

②とにかく、エピネフリン0.01㎎/㎏

投与が遅い、量が少ないと、後々が大変です。

③プレホスピタル対応だと理解する

処置を行い、病院につなげることが目的です。様子を見ることでも、その場で全ての処置をすることでもありません。

 

参考文献

 
 
 
 

④F. Estelle R, etal. World Allergy Organization anaphylaxis guidelines:
Summary. J Allergy Clin Immunol 2011;127:587-93.

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