さて、日本でも京都府伊根町が、新型コロナウイルスのワクチン接種対象を12歳以上に拡大、6月6日に接種が行われました。同町では、すでに16歳以上の80%が1回目の接種を終了しています1)。
ここで問題になってくるのが、接種部位の痛みと発熱が出るタイプの方です。
1)予防接種前に解熱・鎮痛剤を飲む方法はある
予防内服といって、予防接種の前に痛みや発熱を抑えるために解熱鎮痛剤(Nsaidsと呼ばれます)を飲んでおく方法はあり2)、例えばてんかんを持っている方は、発熱が痙攣の原因になることがあるので、予防的に解熱剤(アセトアミノフェン)の内服がすすめられています3)。
しかし、全員が予防的に内服しておけば良いかとゆうとそうでもないようですし、解熱剤の種類を選ばないと飲んだけど効かなかったなんて、良く聞く話です。
2)予防接種への影響はあるが、しかし3,4)
解熱鎮痛剤(Nsaids)が免疫産生を抑制することは、多く報告されています3,4)。
つまり、「解熱鎮痛剤を飲むと免疫がつかないかも」とゆうことですが、はっきりはわかっていません。
特に、患者さんが内服することが多い「アセトアミノフェン」は、解熱・鎮痛作用もやさしい薬で、さらに腫れを収める力もないです。
これは、「Nsaidsを飲んでいても、別に関係なかった」、「免疫はちょっと落ちてたけど、感染を予防できる量はついてた」、「実験では、完全に免疫がつくのを阻害していた」、「この年齢の人たちは大丈夫だったけど、この年齢はダメだった」、「このワクチンは良かったけど、このワクチンでは免疫が付くのを抑制していた」など、年齢、ワクチンの種類、解熱鎮痛剤(NSAIDs)の種類、人間か動物実験かで、免疫のつき方の結果がバラバラでした。未だに決着がついていません。
ただし、研究結果を見ていると、幼児以降(大人を含む)は、解熱鎮痛剤を飲んでいても免疫がつく傾向にはありそうな印象です。
3)飲むタイミングも関係してくる
ワクチン前に解熱・鎮痛剤を飲む、ワクチンを打ってから飲むなどで、免疫の付き方が変わることも報告されています3)。
これも完全に、「こうしましょう」と決まっている訳ではありません。
主治医に相談しましょうねとゆうことです。
4)つまり、よくわかっていない
CDCでは、解熱剤をコロナ予防接種前に内服する「予防内服」は勧められていません5)。
今回のコロナワクチンは研究結果がなく、良く分かっていないからです。
結局、主治医に相談するしかないのです。
5)だから、これが必要です
①冷やす、腕を動かす、十分に水分を取る
接種した腕は冷やす、動かすと痛みが和らぎ、十分に水分をとります。
②常用しているのであれば、そのまま接種です
心臓の病気、なんらかの痛みなどで、解熱・鎮痛剤を内服中の方は内服は継続します。
③主治医に聞かなければなりません
何をいつ飲むのかを主治医に確認しましょう。
参考文献
1) 小学6年生にも接種、順調に接種進み対象拡大…通常より多く接種できる注射器使用. Medical tribune 2021年6月7日
2) Hang Chau-Glendinning, etal. Do prophylactic antipyretics reduce vaccination-associated symptoms in children? J Fam Pract. 69: 3:P21-22,2020.
3) COVID-19 vaccines and people with epilepsy
3)Ezzeldin Saleh, etal. Effect of antipyretic analgesics on immune responses to vaccination. Human Vaccines & Immunotherapeutics. 12;9: 2016.
4) Chakravarthy K, etal. Recommendations and Guidance for Steroid Injection Therapy and COVID-19 Vaccine Administration from the American Society of Pain and Neuroscience (ASPN). Journal of pain research. Volume 2021:14 Pages 623-629.