本を出版してから、美容関係の方に声をかけていただくことが増えました。
エステ関係者が知っておくべきアトピー性皮膚炎とリスクの話です。
私は、これまで「良かれと思ったのだろうに」と、感じた方を数多く治療してきました。
そんな経験からのお話をさせて頂きます。
1)肌は自己申告ではなく、自分で判断する
ほとんどの施術者が、「肌が荒れている状態」を「自分の判断」ではなく、「顧客の自己申告」に任せています。
例えば、「肘と脇に湿疹があるけど、これはいつもです」と顧客は言っているとします。
今回は、顔の施術だから大丈夫だろう。
やめておいた方が無難ですよ。
アトピー性皮膚炎で荒れてる部位があるとゆうことは、目に見えなくても全体的に荒れてるってことです。実際、本当に症状がゼロの期間を半年以上維持してなければ、季節が変わったり、レディースデイでも悪化します。
落ち着いているといっても、それくらいデリケートだし、悪化のボーダーラインにいるので、ちょっとしたことで女性の肌バランスは崩れます。
肌状態が良いか悪いかは、美肌のプロの皆さんなら見れば、触ればわかるはずです。
施術者が荒れているなと思えば、荒れているので、無理に手を出さない方が良いです。
2)「施術」は良い人をさらにプラスに、「治療」は悪化した人をゼロに
エステは良い人をさらに良くするイメージがあります。これは、黒字企業を競合を引き離して勝たせる感じに似ています。一方、医学的治療は、赤字企業をゼロ、もしくはちょっとした黒字に戻すだけ。つまり、医学的治療で本来の自分に戻りはしますが、さらに進んだ美肌になるわけではありません。
アトピー性皮膚炎とは肌バリアーが壊れて、ヤケドしているようなものです。
さらに、女性は精神状態と肌状態がリンクしています。アトピー性皮膚炎の症状がある状態は、心と体が一致しておらず、本当の自分ではありません。
女性にとってエステは心にも大切な特別なもの。
仮の姿の自分を、本当の自分に戻してくれる魔法です。
心と体が一致していない状態で、魔法はかかるでしょうか?
3)施術の条件は、これ
私はアトピー性皮膚炎を抱えた人が、エステで施術した後に肌が荒れて治療することも非常に多いです。
これは「施術が悪い」のではなく、「施術するタイミングが悪かった」だけです。
この原因は、「施術して良い状態の人、悪い状態の人の基準がない」ことに集約します。この場合、会社で決められた基準ではなく、医学的な基準とします。
施術者ご自身がアトピー性皮膚炎を抱えていた場合、苦労された経験から、アトピー性皮膚炎はこんな感じなのを知っている、良くしてあげたいといった思いがあります。
ただ、意見を求められた私が唯一言えることは、「アトピー性皮膚炎は治療してれば、症状が本当にゼロ。エステは保湿剤だけになってから半年後が安全」とゆうことです。
実は施術者の訴えで多いのが、「私がこうだったから、悪化しても相手はわかってくれるだろう」です。
これは、私の患者さんにエステ勤務者も多いのと、私自身がエステに通い、エステティシャンと仲良くなって聞いた話です。一方で、患者さんから「担当の人に、私もアトピー性皮膚炎なんですって言われたんで信じました」は、かなり多いセリフです。
アトピー性皮膚炎の治療歴、他にもあるアレルギー、年齢、今の肌状態、アレルギー体質度合い、スキンケアにかけてきた時間、悪化する要因、季節、ホルモンバランスなどなど、これら全部が顧客では異なります。
つまり、一人一人が全然違うので、同じことをしても失敗する確率が上がるだけです。
なので、私はエステとゆう女性が本来の自分に戻る魔法をかけるためには、
・アトピー性皮膚炎の症状が本当にゼロ
・保湿剤だけになってから半年経過している
・保湿剤はセラミド入りを使っている
が、施術するための条件だと思います。
4)アトピー性皮膚炎の人に食物・植物成分入りは禁忌
アトピー性皮膚炎の人は、肌からその成分を取り込みアレルギーを起こします。特に食物アレルギーが代表で、イギリスでのピーナッツ、日本でも集団訴訟になった石鹸による小麦アレルギーが有名です。
最近では、花粉症の人にボタニカルとか漢方のケア製品を使って荒れることが多いです。
ここ数年で明らかに増えているのがキクの花粉症。つまり、キク科の植物の成分はハイリスク、つまりカミツレ入りのことです。典型的には、夜に自分でケアして、翌朝毎日顔がかゆいのが典型的です。
アトピー性皮膚炎の人は、良かれと思った自然、オーガニック、ボタニカルなどは、逆にリスクになることを知っておくと便利です。
5)だから、これが必要です
①施術する人・しない人を決め、リスクをコントロールすること
「ハイリスクの人は、肌を落ち着かせてから再び来てもらう」です。
自分の身を守るためとしても、「医者にエステで施術してよいのか確認してもらう」ことが必要です。この時に腕の良い医者を押さえておけば、その医者に判断と対処を聞けば良いのですし、荒れたら安心して受診を促せます。もし、その時施術にならなくても、あとから顧客に自然な感じで連絡することができるのがポイントです。
顧客、自分、担当医、全ての人間に3方良しの方法です。
②主体性を持つ
顧客は常に、自分が一番肌が荒れていた時と比べていますので、「顧客の安定している」は、肌のプロからみたら「安定してない」がほぼほぼです。
施術しても悪化しないのは、経験的に「症状ゼロ」を、半年~1年以上維持するのが安全域です。
相手ではなく、プロとして主体性を持って、自分で「肌状態」を判断しましょう。
自分で肌状態を判断できない時は、そのまま進めば危険だとゆうことです。
③どのくらいのリスクなら耐えられる?
どのくらいリスクを取るのかは、経営者次第です。
悪化するリスク、良くなるリスク、どちらが高いかはその時に判断しなければなりませんが、判断が必要な時には、安定してから来てもらう、こまめに連絡を取り続けることが信頼につながるでしょう。