果物・野菜アレルギー 口の中だけじゃない

参考文献

・続木康伸. 小児と成人の花粉・食物アレルギー症候群の検討. 日本花粉学会誌. 65(1):21-24. 2019.

・続木康伸.ナシ摂取後に重篤な喘息発作を起こした1例. 小児内科. 52(5):709-711. 2020.

・長尾みずほ. 果物・野菜アレルギー. 小児食物アレルギーUP DATE. 小児 科 55(5)  2014

・杉井京子、田知本寛、宿谷明紀, 他 :アレルギー 2006; 11(55), P1400-14008.

・徳田玲子、長尾みづほ、近藤真理、他 :小児における果物抗原への感作状況について. 第25回日本アレルギー学会春季臨床大会 2013年5月

・ Ferna´ndez-Rivas M, Benito C, Gonza´ lez-Mancebo E, et.al :Allergies to fruits and vegetables. Pediatr Allergy Immunol 2008; 19, P675–681.

・Caballero T, Martin-Esteban M, Garcia-Ara C, et.al: Relationshi p between pollinosis and fruit or vegetable sensitization. Pediatr Allergy Immunol 1994: 5: 218-222.

・杉山剛、斎藤圭一、齋藤翔:日小ア誌 2012; 26: 251-257

・H. Teranishi, etal. Aerobiologia (2006) 22:91–95.

・佐藤広行、他. 日本花粉学会会誌. 64(1); 1-5, 2018.

・本田耕平.アレルギー・免疫 24(3):14-19, 2017.

・武内伸治.道衛研所報 63: 9-13, 2013.

・藤枝重治.アレルギー・免疫 24(8):31-43, 2017.

「数年前からリンゴやナシを食べると口が痒い気がしていた。いつもと同じリンゴを食べただけなのに、全身の蕁麻疹と腹痛で動けなくなって、救急車で運ばれた。

受診した病院で、うちでは検査出来ないと大学病院を紹介されたが、そちらでも、うちで対応する病気ではないと言われ、症状が出たら救急車を呼ぶようにと言われただけ。

日常生活で何を食べて良いかわからず、常に不安に思っていたら、友人の同じ状況を解決してくれたアレルギー医を紹介された。

採血では大丈夫なはずなのに、食べるとお腹が痛くなったり、逆に、食物アレルギーだと言われたものを食べてもなんともない、もしくは、医師にそんなアレルギー聞いたことないと言われ、どうしたら良いのか悩んでいませんか?

実は、食物アレルギーの採血は、年齢、食べ物、症状、合併するアレルギーによって、見るべきポイントと対応が全く違ってくるので、幅広い経験と知識が必要です。

1)ダニ、鼻炎、花粉症、次が果物・野菜アレルギー

北海道では、果物・野菜アレルギーになる順番があります。

ダニアレルギー→アレルギー性鼻炎→花粉症→花粉症になった人の50%が果物・野菜アレルギー

花粉症と同時、もしくは花粉症になってから3年以内に果物、野菜アレルギーになってしまうケースが多いです。

「花粉」と「果物・野菜」のアレルギーをおこす成分(アレルゲン)は、構造が一部が同じです。

例えば、 花粉のアレルギー成分:A、B、C、D 果物のアレルギー成分:C、DE、F

この場合、C、Dが同じ。

体は大雑把にしか認識しないので、花粉も果物も同じものだと勘違いします。花粉症がある場合、果物・野菜のアレルギーになってしまいます。

この果物・野菜アレルギーの原因となる花粉症としては、カバノキ属(シラカンバ)が代表であり、シラカバの約30~50%、ハンノキの約30%、ヨモギ約40%、イネ科約20%、スギの10%の人が発症すると言われています。

ちなみに、私のところに受診される果物・野菜アレルギーの方の98%は花粉症を持っています。

北海道はスギ花粉と違い、年によって200倍も花粉の飛散量に差があります。つまり、ほとんどの方はすごく花粉が飛んだ日にだけ症状が出る方が多いため、自分がシラカンバ花粉症だと気が付きません。

花粉症が原因の果物・野菜アレルギーは成人が多いです。が、ここ数年は子どもも増えており、私のところに受診される約40%が子どもです。

アトピー性皮膚炎の治療が遅れ、次々にアレルギーを起こし、5歳くらいから花粉症と同時に果物・野菜アレルギーなってから、花粉症に気が付く子も少なくありません。

一般的には小学校高学年以降で、花粉症の後に起こしてくることがほとんどです。

ちなみに、平均年齢は小児で11歳、成人が37歳。90歳代の方の受診する方や70代になってから救急車で搬送される方もいます。

印象としては、北海道なら早ければ5歳で発症、大体が小学校高学年~17歳くらいまでに果物・野菜アレルギーを起こしてきます。一方で、遅ければ何歳でも可能性はあり、90歳代でなってしまう方もいます。

しかし、ここ十数年で、確実に果物・野菜アレルギーの発症年齢が下がっている印象です。

成人で受診された方は17歳~18歳の時に発症されている方が多いですが、現在は小学生で発症してくる子達と発症年齢が2極化しています。

一方で、温暖化により世界的にブタクサが、日本ではイネ科、キク科の花粉が毎年増大しています。今後はますますイネ科、キク科花粉に関連したアレルギーが増えてくることが予想されます。

つまり、今後の子どもたちは、スタート地点のダニアレルギーがあると、今の大人以上の果物・野菜アレルギーを起こしてくることが確実です。

2)すべての果物・野菜が原因になる

花粉症に関連しているので、住んでいる地域によってなりやすい果物・野菜アレルギは違います

リンゴ、ナシ、モモ、メロン、キャベツ、レタス、プラム、ブドウ、バナナ、ダイコン、ニンニクなど本当に様々な食べ物で症状を起こしてきます。

野菜アレルギーの種類もニンジン、セロリ、キャベツ、セリ、ニンニク、ネギなどあまり一般的になじみのないアレルギーも多いですが、北海道以外では野菜のアレルギーは珍しいアレルギーになります。

経験の少ないクリニックでは、基本「聞いたことがない」と言われるか、採血で判断されます。

#食物アレルギーは採血だけでは判断できないはこちら

本州のスギはあまり食物アレルギーを起こしませんが、北海道に多いシラカンバは、バラ科のリンゴやモモ、ナシなどの果物・野菜アレルギーを高い頻度で起こします。

バラ科はシラカンバ花粉症と関連し、花粉・果物アレルギー症候群を起こす一番多い原因でもあります。バラ科の果物は、リンゴ、モモ、サクランボ、イチゴ、プラムなどです。

しかし、実際には非バラ科の果物との割合は50%程度です。

また、果物・野菜アレルギーの症状は発症初期では軽いものが多く、例えば豆腐を食べたとしても体調不良や疲労時にしか、口が痒いなどの軽いアレルギー症状しかでないために、最初は気が付きません。

ま、私なんですけど。

しかし、期間が長くなるにつれて、食べるたびにはっきりとした症状になり、気が付いたころには「あれもダメ、これもダメ」になっています。

子どもではほとんどが果物だけですが、成人では半分の人が野菜アレルギーも同時に併発します。

例えば、フランス在住の妹は、果物はさほどでもありませんが、ルッコラやポロネギで強い腹痛を繰り替えしておりました。そして、現在食べられる野菜が無くなりました。

日本ではルッコラアレルギーはほとんどおらず、ネギアレルギーは少ない(長ネギはいるけど玉ねぎはいないに等しい)。もっと言えば、ポロネギは手に入りません。

このポイントを知らなければ、気を付けなければいけない果物・野菜と対策がわかりません。

つまり、学校に書類を提出してもグダグダになるとゆうこと。

また加熱すれば食べられる、とゆうのはあくまでも「多くの人が」とゆうだけ。珍しい野菜のアレルギーほど、加熱してもアレルギー症状を起こしても、アレルギー成分が無くなりません。例えば、ネギやジャガイモはその典型で、食べられないです。

なので、「加熱して食べられるから軽症」と自信満々にお話しを頂戴することが少なくありませんが、「加熱しても食べられないのは重症」で間違いないですが、その反対は成り立ちません。

このことは、コロナワクチンの時にも当てはまり、「軽症だから良いと思った」ではなく、食物アレルギーを持っていること自体が、コロナワクチンを打ってアレルギー症状を出すリスクなのです。

#「コロナワクチンと食物アレルギー」はこちら

3)日本では治療方法は一つしかない

果物・野菜アレルギーは、花粉症に関連しています。

なので、花粉症の治療を行えば実際に良くなりそうな感じはあります。

しかし、日本では健康保険の問題で仕方のないこととはいえ、他の先進国とは違いスギ花粉症しか保険が効きません。

ちなみに、スギはほとんど果物・野菜アレルギーを起こさないのでしたね。

実際に私の周囲でも輸入した薬で花粉症の治療を行って成功しているパターンはありますが、食べられるようになる量が少なく、成功とは言えません。

一方で、私の経験的にはですが、アレルギー性鼻炎になったとしても、ほとんどの原因であるダニアレルギーを治しておけば50%の子たちは花粉症になるのを予防できていました。

なので、他のアレルギーを呼んでくるアトピー性皮膚炎を出来るだけ早く治療し、ダニアレルギーになったら早く治療を行うことが必要です。

#ダニアレルギー実際の治療動画はこちら

また、ダニアレルギーの治療を行った98%程度の果物・野菜アレルギーの子が、治療半年後くらいから食べても全く症状がなくなっています。

これは何年も前に、ダニとスギの治療を行っていた成人男性の方から「ダニの治療を初めてから、食べられなかったバラ科の果物が急に食べられるにようになった。関係あるのか?」と電話をもらったことが始まりです。

そんな話を全く聞いたことも、考えたこともなかった私は必死に研究結果を探しましたが・・・ない。

そこで、私もダニアレルギーの治療をやったいたので、すでにアレルギーで食べられなくなっていた大豆、リンゴ、モモ、ナシをこわごわ食べてみました。

かゆく・・・ない・・・

そこで、ダニの治療を行っていた果物・野菜アレルギーの子たちに確認したところ、ほとんどの子たちが症状なく食べていることがわかりました。

原理から考えると、出発点のダニアレルギーの治療をしているので、当たり前かもしれません。

つまり、日本ではダニアレルギーの治療を行って、予防するか食べられるようになるのを期待するしかないのです。

4)症状は、食べ物とその人の体質による

果物・野菜アレルギーでは、「口の中が痒くなる」とも思われていますが、それだけではありません。

#「もちろん、アナフィラキシーもおこす」はこちら

一般的には口の中が痒くなると思われていますが、50%は皮膚、腹痛、呼吸が苦しいなどの症状がでます。

さらに、今は花粉症の若年化ならびに高齢発症の方が増えています。

野菜アレルギーの方も増えてきたために、現在では口だけではなく、腹痛、鼻血、頭痛など多種多様な症状を起こす方が一般的です。

例えば、ニンジンを食べると毎回鼻血が出る、セリで頭痛がするなど、一般的には聞いたことがないような症状を起こしてきます。さつまいもで救急搬送を繰り返した方もいました。

ちなみに、私を受診した果物・野菜アレルギーの患者さんでは、約20%の方がアナフィラキシーで救急搬送されています。

例えば、クミン、コリアンダーはスパイスの中でも症状を起こしやすく、この2つは全員救急車で搬送されてきました。

#アナフィラキシーはこちら

果物・野菜で、アナフィラキシーを起こした方の多くは、「いきなりアナフィラキシー」になるのではなく、「症状が軽いので、食べていたら、ある日突然アナフィラキシー」になるのです。

ドミノの倒れはじめは小さいですが、倒れ始めるとあるときから一気にスピードアップして止まらないことに似ています。

この時に大切なのは、気管支喘息を合併しているかどうか。

気管支喘息を治療していないと、ある時に口がかゆいだけですまなくなります。急激に呼吸に症状がくるようになり、救急車で搬送されることになります。ナシで救急搬送された子は、いつもは口がかゆいだけだったので食べ続け、ある日突然もう少しで死ぬような喘息発作を起こしました(続木康伸.ナシ摂取後に重篤な喘息発作を起こした1例. 小児内科. 52(5):709-711. 2020.)。

いつもは口の中がかゆいだけだったは通用しないのです。

5)だから、これが必要です

①症状はひとによって違う

それは、気のせいではないかもしれません。

②ダメな食べ物も人によって違う

他の人が聞いたことが無くても、あなたには合わないのです。

③食べていると酷い目にあう

いきなり、救急車で搬送されるのは、ナシ、モモ、大豆くらいです。

【治療内容】

治療内容:花粉症、食物に関連した採血を分析。結果をもとに個人に合った対策を行います。

費用:保険診療の範囲内。

考えられる副作用:ダニアレルギー、花粉症の治療を行う場合には、頻度は低いですが、口腔内搔痒、蕁麻疹、アナフィラキシーなどが起こりえます。

参考文献

・続木康伸. 小児と成人の花粉・食物アレルギー症候群の検討. 日本花粉学会誌. 65(1):21-24. 2019.

・続木康伸.ナシ摂取後に重篤な喘息発作を起こした1例. 小児内科. 52(5):709-711. 2020.

・長尾みずほ. 果物・野菜アレルギー. 小児食物アレルギーUP DATE. 小児 科 55(5)  2014

・杉井京子、田知本寛、宿谷明紀, 他 :アレルギー 2006; 11(55), P1400-14008.

・徳田玲子、長尾みづほ、近藤真理、他 :小児における果物抗原への感作状況について. 第25回日本アレルギー学会春季臨床大会 2013年5月

・ Ferna´ndez-Rivas M, Benito C, Gonza´ lez-Mancebo E, et.al :Allergies to fruits and vegetables. Pediatr Allergy Immunol 2008; 19, P675–681.

・Caballero T, Martin-Esteban M, Garcia-Ara C, et.al: Relationshi p between pollinosis and fruit or vegetable sensitization. Pediatr Allergy Immunol 1994: 5: 218-222.

・杉山剛、斎藤圭一、齋藤翔:日小ア誌 2012; 26: 251-257

・H. Teranishi, etal. Aerobiologia (2006) 22:91–95.

・佐藤広行、他. 日本花粉学会会誌. 64(1); 1-5, 2018.

・本田耕平.アレルギー・免疫 24(3):14-19, 2017.

・武内伸治.道衛研所報 63: 9-13, 2013.

・藤枝重治.アレルギー・免疫 24(8):31-43, 2017.

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