子どものアナフィラキシー

札幌市南区のアレルギー科・小児科(アレルギー)のアルバアレルギークリニックです。

1)子どものアナフィラキシーはこれ

子どものアナフィラキシーがどうゆうものなのか見てみましょう。

幼稚園時には体幹などに湿疹を常時認めるようになり、季節の変わり目には咳が続くようになった。また、布団に入るなどで、咳、鼻閉・鼻汁、眼の掻痒も認めていた。複数院に通院するも、抗ヒスタミン剤やステロイド外用剤、吸入ステロイド薬を有症状時のみ使用するように指示されていた。

 6歳頃には、春・秋に眼・鼻の掻痒を感じるようになり、同時期にはナシ、リンゴ、モモ、サクランボ、メロン、スイカ、エダマメにて咽頭掻痒を認めるようになった。  

上記食物での症状は咽頭掻痒のみだったため、自己判断にて食していた。

7歳時にナシを食べていると咽頭痛あり、直後から呼吸苦、咳、喘鳴が出現した。すぐに会話も困難になるほど喘鳴が増悪したため、救急搬送となった。病院到着時には、喘鳴と呼吸苦にて会話は不可能であり、エピネフリン0.3mg筋注とベネトリン吸入2回が施行され、呼吸苦・喘鳴は軽快し、入院となった。

(続木康伸. ナシ摂取後に重篤な喘息発作を起こした1例. 小児内科. 52(5):709-711. 2020.)

アナフィラキシーとは、「急激に進行する、命の危険性があるアレルギー症状」のことです。

アナフィラキシーで死亡するときは、窒息するかショックで死亡します。

アナフィラキーにはルールがあり、親やその時担当した医師が「アナフィラキシーっぽい」、「アナフィラキシーとは思わなかった」、「親の私はそう思わない」などで決まるものではありません。

アナフィラキシー

軽度のアナフィラキシー:治療

2)食物アレルギーで死ぬのは子ども

上記は私が対応した子です。

保護者の迅速な救急要請があり死亡事故にはなませんでしたが、通院していたにもかかわらず気管支喘息治療が30年前のやり方で行われており、対応が遅れていた場合には死亡していた可能性もあります。

私は、これまで成人の食物アレルギーで重症になってしまい救急搬送されてきた方を、本当に多く治療してきました。

小麦アレルギーでマラソン途中に意識を失い公園で倒れていた方、納豆アレルギーで救急外来についた途端にケイレンしていた方、サツマイモアレルギーでキッチンで泡を吹いて倒れていた方、アニサキスaアレルギーで船上で意識消失し、漂流しているところを他の船に助け出された方、ハチアレルギーで登山中に心肺停止になった方など本当に多くを経験してきました。

子どもも同じです。

ナシアレルギーで喘息発作を起こして救急搬送されてきた子、イクラアレルギーで全身真っ赤になって泣きながら救急車できた子、抗生剤アレルギーで他の病院に入院中に助けを求めてきた子、牛乳アレルギーで地方からヘリコプターで搬送されてきた子・・・・。

「死ぬかもしれない」と大汗をかきながら何度も何度も治療してきましたが、これまでだれも死亡していません。

しかし、日本では食物アレルギーで子どもが死亡する事故が時々おきています。

平成24年に調布市の小学生が学校給食の誤食で学校内で心肺停止になり死亡した事例が広く報道されていますが、その他の死亡例も多々あります。

近医にて多数の食物除去を指示されていた気管支喘息を持つ3歳児が、マヨネーズとチーズのサラダの誤食にて死亡した例

そもそも、死亡するような食物アレルギー反応の74%は小児で発症し、死亡するリスクとして、気管支喘息、ピーナッツも含むナッツアレルギー、外出先での症状、エピネフリン投与の遅れ、牛乳アレルギーがあります。

このため、エピペンは心配だと思ったら使います。

そもそも、症状が重い軽いは現場にいる親が判断できるわけはないので、考える必要悩む必要はありません。

我々医師の間にある格言が、「子どもはなかなか死なないがすぐに死ぬ」とゆうものがあります。

子どもはと大人と違い、徐々に意識が薄れていき・・・などではなく、目を離したすきに呼吸が停止していることが普通にあります。

冷や汗をかきながら、救急搬送されてきた子どもたちの治療を行い、治療後に倒れこむような経験を数えきれないほどしてきた私が言います。

子どもに、「さっきまで話していた」は通用しません。

悩む前にエピペンを使い、救急車を呼ぶことです。

エピペン 緊急時に使う注射

エピペン 緊急時に使う注射

 

私が現役で診療しているうちは、絶対にこのような悲しい事故を繰り返すことはさせないのです。

3)険なのは牛乳アレルギー

牛乳アレルギーは、卵よりも重症になりやすく、アナフィラキシーを起こしやすいです。

各種報告でも、致死的食物アレルギーの原因食物として、国に関係なく「牛乳アレルギー」があがります。

特に、牛乳特異的 IgE 抗体価が 50 kUA/L 以上だと、治療せずに完全除去すればするほど非常に危ないです。

牛乳アレルギーは世界的にも治りずらいことが議論されており、特に早く治療しないとなおりずらくなる一方で、食べてならす方法も牛乳は結構アレルギー症状をおこします。

このため、牛乳アレルギーにならなように予防し、なってしまったら牛乳を完全除去しないように、できるだけ早く治療を開始します。しかし、牛乳の治療は段階を追って、ゆっくりと、長期間かけて牛乳の量を増やしていくことが必要です。

4)気管支喘息を治療していないと危ない

食物アレルギーで、呼吸に症状が来る子は危ないです。

死亡するような食物アレルギーを起こした子の85~96%は気管支喘息を持っており、特に気管支喘息が

未治療である場合や誤食時に発作を起こしたときには、致死的食物アレルギー反応を起こす可能性が高いです。

イギリスにおける、食物アレルギーが原因で死亡した48例の報告では、43例が気管支喘息を併発、こ

のうち3例は吸入ステロイドを自己中断していました。また、10例は死亡した日にも様々な程度の喘息発

作を起こしていたと報告されています。

(続木康伸. ナシ摂取後に重篤な喘息発作を起こした1例. 小児内科. 52(5):709-711. 2020.)

薬5分、ハチ15分、食べ物30分と言われるように、食物アレルギーで死亡するには30分ほどが平均とゆう格言がありますが、牛乳プラス気管支喘息ではこの可能性が跳ね上がります。

特に、食物アレルギーで死ぬ可能性がある子は、気管支喘息が落ち着いてない、もしくは発作の時だ

け治療しているような状態とゆうことです。

食物アレルギー、特に牛乳アレルギーを持っている場合には、気管支喘息をがっちり治療していないと危ないとゆうことになります。

5)だから、これが必要です

①喘息が出た時だけ治療?

30年以上前の治療です。

②牛乳アレルギーは様子をみてる?

牛乳アレルギーは治療が遅れれば遅れるほど危険です。

③アトピー性皮膚炎の治療はしてる?

そもそもの始まりは、アトピー性皮膚炎です。がっちり治療する必要があります。

 

参考文献

  • 続木康伸. ナシ摂取後に重篤な喘息発作を起こした1例. 小児内科. 52(5):709-711. 2020.
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  • 永倉 顕一、他. 経口免疫療法の長期経過. 日小ア誌 2019;33:68‒74.
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