離乳食:卵の進め方
札幌市南区のアレルギー科・小児科(アレルギー)のアルバアレルギークリニックです。
1)卵は7~8ヶ月から
「卵黄は7ヶ月から」と言われますが、これはアレルギーは関係ないです。
卵黄から始めるのはアレルギー成分が少ないからではなく、「食べやすいから」です。
生後7~8か月になると、舌を動かして物をつぶして食べられるようになる「もぐもぐ期」になりると、卵黄が食べられるようになります。卵白は9~11月ヶ月くらいで、カミカミできるようになった「カミカミ期」からです。全卵で柔らかい状態だと7~9カ月くらいから始められることが多いです。
アレルギーの観点から言うと、卵アレルギーは生後3カ月までの口周囲の湿疹と肌荒れに直結しており、卵を開始する時期よりも、「肌荒れがない」ことのほうが5200倍くらい大切です。
湿疹があると食物アレルギーになりやすいことが分かっています。乳児湿疹と言われていても、放置しないようにしましょう。
「アレルギーが怖くて、まだ食べていない」と相談を受けることもあります。
湿疹がひどくなってしまい卵アレルギーが疑わしいので、治療計画として遅らせる以外では、卵開始を遅らせる必要はありません。アレルギー医に通院していれば、通常は診察時に離乳食の話をされるので、母親が困ることはありませんが、気になれば聞いてみましょう。
イメージとして、開始が遅れれば遅れるほど食物アレルギーになる確率は増えます。
離乳食期にいろいろな食材を食べれば食べるほどアレルギー、特にアトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎になる可能性は減ります1,2)。この辺は食育としても、普通のことでしょう。
湿疹がない状態にして、離乳食は一般的に言われている通りにそのまま進めていくのが良いのです。
2)レシピは、簡単にできるものでもOK
食物アレルギーの治療は、「すこしずつ食べて慣らしていく」方法です。
アレルギー予防や食育として、色々なものを食べる観点からだとしても、アレルギー治療として卵黄だけを食べることはあまりありません。
そもそも、卵黄だけだと触感や味があまりよろしくないので、月齢があがれば食が進まないのが当たり前です。「もぐもぐ期」の時に、おかゆやジャガイモ、カボチャ、果物などと伸ばした卵黄を混ぜて食べる、おかゆにする程度が現実的です。
1品で数種類の食材が混ぜられますしね。
栄養面でも、数種類の食材を混ぜることができるおかゆが使いやすいとは思います。
7ヶ月以降くらい
野菜から出汁をとるなど凝っても当然問題ありませんが、アレルギー予防や治療の観点からは必要ありません。
一方で卵を使った離乳食を冷凍保存しておくのは、おすすめではありません。解凍してレンジにかけると、卵の水分が抜けて美味しくないからです。作り置きして冷凍する場合には、おかゆなどの水分が多い食べ方なら、冷凍しても大丈夫です。解凍後にレンジにかけても、水分は保てます。
特にアレルギー治療で使う場合でも、製氷皿やブロックトレー(アマゾンで800円程度)で冷凍しておくのが使いやすいです。
9ヶ月以降くらい
10ヶ月以降くらい
レトルトを見てみても、「生後7か月以降」を対象として全卵を使った食材が多いことからもわかります。
3)食べる量は、差があってよい
初めて食べるときや離乳食を開始したばかりの時は、1回ひとくちで、1種類が良いでしょう。
その子その子で、食欲のありなしは大きく違います。
体格や性格、月齢など様々な要因がありますので、食べないときは無理に食べさせる必要はありません。
よく食べる子については、食べても大丈夫。
ただし、年齢によってよく噛めるように、食材や硬さを調整します。すべての情報はネット(大手の食品メーカーが良いです)や本に書いてある通りに進め、うまくいかなければ調整するのが良いでしょう。
経験的にですが、食物アレルギーがある子は全体的に小食であることが多い印象です。
4)食べないときは
①時期が早い
食べる能力はその子それぞれ。無理をせずに違う食材を食べましょう。
②大きさ、形、硬さを変える
大きさ、硬さがその子にあっていなければ、食べません。とゆうか食べられません。
③一口の量を変える
1回にあげる量が多くても食べることはできません。いろいろ試してみましょう。
【参考文献】
1)Roduit C, Frei R, Depner M. Increased food diversity in the first year of life is inversely associated with allergic diseases. J Allergy Clin Immunol. 2014;133(4):1056-1064.
2)Venter C, Maslin K, Holloway JW, et al. Different measures of diet diversity during infancy and the association with childhood food allergy in a UK birth cohort study. J Allergy Clin Immunol Pract. 2020.
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アトピー性皮膚炎は毎日薬を塗り段階的に減らしていくのが主流で、きちんと治療していれば、症状が無いもしくはほとんど無い日常を目指しています。
あなたが良くならなかったのは、これまでは治療の選択肢が少なすぎたから、本来なら良くなるはずのものを治せていなかっただけ。本当はたくさんの、さまざまな症状にあった効果的な薬と使い方があって、症状を無くし、最終的には薬自体を使わなくてもよい状態を目指すのが私たちの行う現在の世界標準です。
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