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スキンケア製品は引き算で選ぶ

スキンケア製品は引き算で選ぶ

質問】どの保湿剤を使えば良いのかわかりません

【回答】そのポイント、教えます。

1)肌質は?

肌は、大きく分けて乾燥肌、脂性肌、混合肌(乾燥+脂性)に分けられます。

つまり、あなたがどの肌なのかで保湿剤は変わります。

アトピー性皮膚炎の場合には、肌のバリアが壊れ、保湿成分や皮脂を作れないので乾燥しているだけ。保湿だけでは今までよりもマシになるだけで、すぐに悪化します。治療していれば、アトピー性皮膚炎の症状は無いはずです。

#そもそものアトピー性皮膚炎の治療が必要

複数種類のスキンケア製品を使っている場合、知識がないと肌のトラブルになりやすいです。いったんトラブルになると、それを補うために年齢とともに化粧品は増え、肌は悪化の一途です。

例えば、カレーを作る時に、スパイスの種類、量、入れる順番、タイミングを知らないままに適当に作るのと同じ。そもそもどんな味になるのかわかりませんし、味が全くまとまりません。

スキンケアも同じです。

特にアトピー性皮膚炎を抱えている場合には、ケア用品の種類が多ければ多いほど仕上がりが複雑になり、肌トラブルが起きた時にどれが原因かわかりません。

このため、ベストは1種類の保湿剤だけで行うべきですが、

化粧品を引き算する時は、使用している種類、使用期間、肌質、体質で、中止の仕方、引き算後に変更する化粧品の種類が異なります。

2)世の中では、ナチュラルが良いと思われています

化粧品は、”油分成分”、”水分成分”、”界面活性剤”で構成されるのが基本です。

水分→油分の順に、化粧水、乳液、クリーム、オイルとなりますが、肌質でどれが良いのかは違います。

つまり、乾燥しているのに化粧水を使ったのでは保湿には足りず、皮脂が多いのにクリームだと油分成分が多すぎてニキビがでます。

また、アトピー性皮膚炎を持っている場合には、オーガニックや食物・植物成分配合は「絶対禁」。

含まれている食物・植物のアレルギーになるリスクが高いです。

ピーナッツオイルやアーモンド、有名なところでは石鹸に混ざっていた小麦による小麦アレルギーが有名です。例えば、花粉症の私は、キク科の植物成分配合の乳液だと顔が痒くなります。また、私の経験でも化粧を拭き取るシートに含まれている果物成分で、その果物アレルギーになったと思われる方がいます。

3)自分に合った保湿は、人と大きく違う

季節、肌質、体調、年齢、合併するアレルギー、これらの要素で自分にあった保湿は変わります。

肌の回復にはセラミド含有製品が良いのですが、実際の皮膚にはコレステロール、脂肪酸など様々な物質があり、「セラミド、コレステロール、脂肪酸」のバランスが肌には重要であると報告されています。つまり、詳しく成分にこだわり始めるとキリがないです。

また、意外と忘れられているのが、クレンジング。

クレンジングもその人には強いものを使っていたりW洗顔が合わない人だと、乾燥肌を強めたり、反発して皮脂が多くなる原因にもなります。

#つまり、ニキビの原因になる

当然ですが、洗いすぎると、シミ、シワ、タルミになります。

4)処方される保湿剤は、美容に万能だと思われています

「ヘパリン類似物質」は、病院で処方される保湿剤のメイン成分のことです。

日本の健康保険での保湿はこれしか認められていないので、ジェネリック製品を入れても、治療に使う保湿は2種類しかありません。

ちなみに、病院で処方されるものは薬です。保湿剤と言われていますが、医薬品、薬なのです。

数年前、医薬品であるヘパリン類似物質含有の保湿剤のコストパフォーマンスが良いと流行し、「処方コスメ」として美容目的に処方が行われました。結果、医薬品から除外されることを国から検討される事態が起き、大問題となりました。

そもそも、病院で処方されるヘパリン類似物質含有の保湿剤は「アトピー性皮膚炎の治療」のため、つまり、アトピー性皮膚炎での、肌バリアーが壊れ、自分では皮脂や天然の保湿成分が作れない人を想定した「薬」です。

ただし、アトピー性皮膚炎の場合でも、ステロイドを使用せずヘパリン類似物質含有の保湿剤だけを使うなど、紅くなった部位(炎症)を治さずに使用すると、刺激感や掻痒がでることは普通です。

なので、通常の美容目的で使うには、「病院で処方された、ヘパリン類似物質含有の保湿剤」では、解りやすいイメージでなら「油分が強い」です。また、血流促進作用などアトピー性皮膚炎を持っていない方には不要な成分が含まれるため、刺激感がでる人もいます。

つまり、美容目的で使うのであれば、違う製品が良いのでは?と思います。

肌バリアを回復させるのに最も有効な成分はセラミドです。市販されているセラミド含有保湿剤も、肌バリアの回復機能があり、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の予防にはなります。

しかし、アトピー性皮膚炎を抱えている場合、市販の製品はほぼすべてに食物・植物成分が含まれており、使用できないものが大多数です。

アトピー性皮膚炎の治療中は、処方される保湿、つまり薬のヘパリン類似物質含有の保湿剤が最も優れていると思います。ステロイドの減量が始まり、治療がどんどん軽くなっていく過程では、自分に合った保湿剤を選ぶのが良いでしょう。

#ステロイドは減量するために使う

5)だから、引き算で考える

①自分に合うものを試していくのが一番良い

年齢、肌質、季節、体調、その全てで自分に合う保湿は変わります。

②「使わないもの」を決める

引き算です。使わないものを決めることが大切です。

③保湿は1種類がベスト

適当に自分で引き算すると失敗します。失敗した後で、マイナスをゼロに戻すのは難しいし、時間もかかります。

主治医と相談しながら、引き算することをおすすめします。

 

参考文献

・Christian L. Wennberg, etal. Biophysical Journal 114 , 1116–1127, March 13, 2018

・徳 留 嘉 寛. YAKUGAKU ZASSHI 139, 1549-1551 (2019)

・ZOE DIANA DRAELOS, etal. J Clin Aesthet Dermatol. 11(5):30–32,2018.

・Alexandra C. Kendall, etal. Biochimica et Biophysica Acta. 1679–1689, 2017.

・Gary Grove, etal. Skin Res Technol. 25:179–186,2019.

・Chuck W Lynde, etal. Clin Aesthet Dermatol. 3:18-26,2014.

・Peter M. Elias,etal. Skin Pharmacol Physiol 32:1–7,2019.

・かずのすけ著. どんな敏感肌でも美肌になれる!オフスキンケア. KAOKAWA. 

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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