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ステロイドの強さと考え方

ステロイドの強さと考え方

赤ちゃんの頃から肌荒れがひどく、乳児湿疹と言われるも悪くなるばかり。病院に行って大量の塗り薬を使っても現状維持が精一杯、時々悪くなるのを繰り返している。病院を変えて何度相談しても、肌を見てくれることもなく、これ以上やる事はないと言われ、帰ることを急かされる。

病院に通うたびに悲しかった。

しばらくぶりに会った友人は、同じくらい肌が荒れていたのに、通っている病院で薬の塗り方と体の洗い方の説明を詳しく受けており、毎回肌を触って診察してもらっていた。

そのせいか、今は週2回だけ体にステロイドの軟膏を塗るだけでキレイな肌で痒みも無くなっており、来月からは週1回だけになるとゆう。

治ってないを見て泣きそうになったら、かかりつけのアレルギー医を教えててくれた。

1.ステロイドへの怖さは、伝えてこなかった我々の責任

アトピー性皮膚炎は、妊娠中からアトピー性皮膚炎にならないように出来る予防を全て始めます。

アレルギーにさせない。

それが今のアレルギー治療です。

ステロイドに怖いイメージを抱かれている方は、子どもの頃の思い出や周囲の人から聞いた話から誤解している部分が多い。

ただし、良い医者に巡り合えなかったために、ステロイドに怖い思いをもってしまった方も少なくありません。

脱ステロイドをやっていたとしても、脱ステロイドで起こるアレルギー・マーチ、感染症、白内障、乳児の腎不全、脳委縮などの説明を受けていない。

これは、きちんとした話を伝えてこなかった我々の責任だと思っています。

ステロイドに関してインターネットに出ていることは、大きく間違えていることがほとんどです。

2.症状を無くし、保湿に以降するため

アトピー性皮膚炎を治療している状態とは、「症状をなくし、アレルギー体質に傾いている状態を整える」ことです。

私は、「症状が残っているのならば、治療は失敗していると思いなさい」と教えられてきました。

症状がないか、あっても軽微。日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態を維持すること。

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018

症状がゼロの状態を維持し、保湿剤に変更していくために、ステロイドやプロトピックを使います。

ちなみに、プロトピックはステロイドではありませんので、強い弱いでは考えられません。

しかし、良くならない方は、一般的な強い弱いで決めた薬を悪い時だけ塗る(リアクティブ)。もしくは最初から自然の力を信じて薬を使わない(脱ステロイド)。しかし、これだと基本的に悪い状態がさらに悪くなったときだけ薬を使う羽目になるので、どこの病院に行っても同じ事の繰り返しになっている方が多いです。

悪化した時だけ使用するのは安定している時期が長く続いている方だけです。

アトピー性皮膚炎は毎日薬を塗り段階的に減らしていくのが主流で、きちんと治療していれば、症状が無いもしくはほとんど無い日常を目指します。

高血圧の薬も血圧が下がったとしてもいきなりやめないのと同じ。

治療していれば、本当は症状が無いのが普通。

本当はたくさんの、さまざまな症状にあった効果的な薬と使い方があって、症状を無くし、最終的には薬自体を使わなくてもよい状態を目指すのが私たちの行う現在の世界標準の治療なのです。

 
 
3. 一般的なステロイドの強さでは失敗する

ステロイドは、一般的な強さではなく、その人の湿疹や全身状態にあった強さの薬を使用します。「弱い薬」だったとしても、その人の湿疹が強ければ、治らないままに長期間使用することになります。

 
 
①湿疹は「ゼロをキープ」
 
治療していれば、症状がない、もしくは全くないが目的です。

②「アトピー性皮膚炎は、皮膚の問題ではない」

アトピー性皮膚炎全身の問題です。

治療していなければアレルギーを次々におこしていきます。

また、成人では感染症や白内障といった問題が出てきます。

③お子さんの場合、最後のチェックは必要です。

自分で出来るようになったのなら、自分のことは自分にまかせるのがベスト。ただし、親の手助けは程度の差はあれ必要です。

子どものうちは10~20年先のことは想像できないので、良くなるとスキンケアや喘息の吸入はさぼるのが普通です。

できるのは自分が楽しめることだけです。

4.ステロイドの強さ

ステロイドは、「あなたの症状に対して強い・弱い」が決まります。

一般的な強い・弱いで薬を決めると失敗します。

参考までに、当院で使うステロイドの「一般的な強さ」をお書きします。

デルモベート>アンテベート、マイザー>リンデロン、メサデルム>ロコイド、キンダベート

ロコイド、キンダベートが、「強さ」としては一番弱いものになります。

文末に、一般的な強さの目安を表にしています。

プロトピックは、湿疹があって初めて薬として作用します(プロドラッグ)。

湿疹ゼロをキープする目的で使われるために、強い弱いでは比較できません。

使い方の例

「ロコイドを週2回お腹に塗っていた。湿疹が出てしまったので、今治るまでロコイドを毎日塗った。

いつもは3~4日で消えていたのに、今回は1週間塗っても湿疹が消えなかった。この場合、湿疹がロコイドでは消えないくらい悪化しているとゆうことなので、3~4日塗って消えなければ、ランクが上のメサデルムに変更して湿疹を消した。」

この場合、メサデルムは症状に対して強いのではなく「適切」、ロコイドが症状に対して「弱い」となります。

時間をかけても治らなければ、痒いだけ。

湿疹に合っていない薬を延々繰り返すと今後も同じことの繰り返しになってしまいます。

お子さんや皆さんは今どんな状態ですか?

私のオリジナル治療や考え方はありません。
日本・ヨーロッパ・アメリカで、標準とされている治療だけ行っています。

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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