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子どものアトピー性皮膚炎

子どものアトピー性皮膚炎

子どものアトピー:今できるケアと未来への備え

夜中にかゆがって眠れない…

お子さんが夜中に「かゆい!」と泣いて起きてしまい、ぽりぽり肌をかきむしっている。

見ている親御さんも胸が痛みますよね。どうにか楽にさせてあげたいのに、何をすればいいかわからない

「寝ている間もずっとかゆがって可哀想」「掻きむしって肌がボロボロ、止めさせたいけど泣いてしまう」など、親として代わってあげられないもどかしさを感じるのは当然のことです。

まずは、「つらいのは自分だけじゃないんだ」と少し肩の力を抜いてください。そして、ここから先はお子さんの肌を良くしていく具体的な方法について、一緒に考えてみましょう。

アトピー性皮膚炎とはどんな病気?その症状と影響

まず、アトピー性皮膚炎という病気について整理してみましょう。

医学的には、アトピー性皮膚炎は「強いかゆみのある湿疹」が出て、良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚の病気と定義されています。

つまり一時的によくなっても、ぶり返しやすい(慢性的に続きやすい)のが特徴です。

また患者さんの多くはアレルギー体質(アトピー素因)を持っており、ご家族に喘息や鼻炎などのアレルギー疾患がある場合や、お子さん自身が他のアレルギー症状を持つ場合にも発症しやすい傾向があります。

決して親御さんの育て方のせいではなく、生まれつき持った体質が背景にあることを知ってください。

では具体的に「アトピー性皮膚炎の湿疹」とはどんな状態でしょうか。

お子さんの肌を観察すると、皮膚が赤くなって小さなブツブツ(丘疹)ができ、さらにカサカサに乾燥して皮がむけてしまったり、掻き壊してかさぶたができたりすることがあります。

こうした湿疹は強いかゆみを伴い、子どもは我慢できずにポリポリ掻いてしまいます。

その結果、肌にさらに傷がついて湿疹が悪化し、またかゆみが増す…という悪循環に陥りがちです。

お子さんがかゆがって眠れなくなるのも無理はありませんし、睡眠不足が続けば日中の機嫌や集中力にも影響してしまいます。

まずは「かゆみのある湿疹が慢性的に続く状態」自体が、子どもの生活の質(QOL)を下げてしまう問題だと言えます。

さらに、アトピー性皮膚炎は長引くほど治りにくくなる傾向があります。

軽いうちに適切なケアをせず放置してしまうと、湿疹がどんどん広がって重症化し、治療に時間がかかるようになるケースもあります。

そして忘れてはならないのが、アトピー性皮膚炎は他のアレルギー疾患の “入り口”になり得るという点です。

実際、小児期のアレルギー疾患には「アレルギーマーチ(アレルギー行進)」と呼ばれる現象があります。

例えば赤ちゃんの頃にアトピー性皮膚炎になると、その後に食物アレルギー、幼児期に気管支ぜん息、学童期には花粉症(アレルギー性鼻炎)…と、年齢とともに形を変えて次々と別のアレルギー症状が現れる場合があります。

もちろん個人差はありますが、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんの4人に1人はぜん息を発症し、ぜん息の子の2人に1人は現在または以前にアトピー性皮膚炎を経験しているとのデータもあります。アトピー性皮膚炎があるということは、将来的に他のアレルギー疾患も発症しやすい体質だというサインでもあるのです。

しかし、今のうちに適切に対処することで「かゆみの悪循環」を断ち切り、将来のアレルギー発症リスクを減らせるということです。

次は、その具体的な解決策について見ていきましょう。

肌を健やかに保つケアで、炎症と免疫の暴走を抑えよう

アトピー性皮膚炎のケアでもっとも基本になるのが「肌を保湿すること」、つまりスキンケアです。

なぜスキンケアが重要なのでしょうか? 

理由は、肌が本来持っているバリア機能です

皮膚は体の外側でバリア(壁)の役割を果たし、体内の水分が逃げ出すのを防ぐとともに、外から細菌やホコリなど異物が入ってくるのをブロックしています。

ところがアトピー性皮膚炎のお子さんの肌はバリア機能が弱まっており、水分が漏れて乾燥しがちなうえ、表面に細かな隙間(キズやひび割れ)ができています。

その隙間から本来なら入らないはずの刺激やアレルゲン(アレルギーの原因物質)が体内に侵入しやすい状態になってしまうのです。

異物が皮膚から入り込むと、体の免疫細胞がそれを察知して「敵だ!」と反応し、炎症を引き起こす物質を出します。

その結果が、例の赤い湿疹とかゆみです。これがいわば免疫の暴走**であり、かゆみがひどくなるメカニズムです。

スキンケアはこの悪循環を食い止める鍵になります。毎日しっかり保湿して肌の潤いを保つことで、皮膚のバリア機能を強化し、外部刺激やアレルゲンの侵入を防ぐことができます。実際、荒れた肌ではアレルゲンがどんどん侵入してきますが、健康でバリア機能が保たれた皮膚なら跳ね返すことができます。

保湿剤(モイスチャークリームやローション)で皮膚表面の隙間を埋め、水分量を整えてあげると、異物侵入による免疫細胞の過剰反応(炎症)が起きにくくなります。

平たく言えば、肌をきれいにすることがかゆみや炎症を鎮める近道なのです。

またスキンケアを続けて皮膚状態が改善すると、アトピー性皮膚炎そのものが良くなるだけでなく、新たなアレルギーの発症も防ぎやすくなることがわかってきました。

実際に、アトピー性皮膚炎の治療で皮膚のバリア機能を高め炎症を抑えることで、食物アレルギーなど他のアレルギー疾患を予防できる可能性が報告されています。

スキンケアはまさに、今のつらい症状を和らげると同時に次のアレルギーを増やさないための先行投資と言えるでしょう。

スキンケアと並んで大切なのが、専門の医療機関で適切な治療を受けることです。

小児科や皮膚科の医師に相談すれば、お子さんの症状に合わせた薬を処方してもらえます。

炎症をしずめる塗り薬(ステロイド外用薬や非ステロイド系の消炎薬など)や、かゆみを和らげる飲み薬(抗ヒスタミン薬など)は、正しく使えばお子さんの肌を早く楽な状態に導いてくれ、「ステロイドは怖い」と心配される親御さんもいますが、医師の指示通りに使う限り安全ですし、むしろ必要な治療を我慢して悪化させてしまう方がリスクです。

まずは信頼できる医師の指導のもとで治療を始めましょう。

また必要に応じてアレルギー検査を行うことで、「何が湿疹を悪化させているのか」「他に隠れたアレルギーがないか」を確認できます。

食物アレルギーやダニ・ハウスダスト、ペットなど、お子さんによって原因や悪化因子は様々です。

専門医のもとで検査を受ければ、日常生活で避けるべきもの気を付けるポイントも明確になります。

例えば「〇〇アレルギーがあると分かったから食事に注意しよう」「ダニ対策のため寝具をこまめに洗おう」など、的確な対策を立てることができるでしょう。

加えて、医師とは長い目で連携していくことが大切です。

アトピー性皮膚炎はすぐに完治する病気ではありませんが、適切な治療で症状をコントロールし、症状のない状態(寛解)を維持できる場合があります。

実際、年齢とともに症状が落ち着いていくお子さんも多く、症状が軽いうちから根気強くケアを続けた方のほうが早く良くなる傾向が確認されています。

焦らずに定期的に通院し、医師と二人三脚でケアを続けることで、「ひどく悪化する前に抑え込む」ことが可能になります。

週単位・月単位で経過を追いながら治療方針を調整してもらえば、少しずつ「かゆみのない肌」に近づいていけるでしょう。

今日から始められるケア:親子でできることリスト

では具体的に、親御さんが今から取り組めることを整理してみます。

難しい特別なことはありません。毎日の積み重ね適切なサポートで、きっとお子さんの肌は良い方向に向かいます。

以下に、ぜひ実践していただきたいポイントをリストアップしました。

  • 毎日の保湿ケアを欠かさない – 入浴後や朝晩に保湿剤をたっぷり塗って、肌のうるおいを保ちましょう。乾燥を防ぐことで皮膚のバリア機能が改善し、アレルゲンや刺激の侵入を防ぎます。特に入浴後は肌から水分がどんどん失われるので、お風呂上がり5分以内に保湿剤を塗る習慣がおすすめです。
  • 皮膚を清潔に保ち適切に入浴する – 汗やホコリ、古い角質は刺激の元になるため、毎日優しく肌を洗って清潔にします。石けんをよく泡立ててなでるように洗い、ゴシゴシこすらないようにしましょう。入浴後は肌を擦らずタオルで押さえるように水分を拭き取り、すぐに前述の保湿ケアを行います。清潔&保湿で、湿疹の悪化因子である汗や細菌を落としつつ潤いをキープできます。
  • アレルギー検査で原因を確認する – 必要に応じて医師にアレルギー検査をお願いしましょう。血液検査や皮膚テストで、食べ物・ダニ・ほこり・ペットなど、何に対してアレルギー反応があるかを調べてもらえます。原因や悪化因子がわかれば対策も立てやすくなります。例えば「卵や乳製品に陽性反応があれば食事に注意する」「ダニアレルギーが強ければ寝具のダニ対策を徹底する」など、生活環境の整備につなげましょう。検査結果はお子さんのアレルギー体質を理解する手がかりになり、今後の予防にも役立ちます。
  • 治療方針を相談する – お子さんの症状の程度に応じて、適切な強さの塗り薬や飲み薬を使うことが必要です。医師と相談しながら治療計画を立てれば、「どのタイミングで薬を塗るか」「症状が良くなってきたら薬を減らすか」など具体的なケアの指針が得られます。

どれも今日から実践できることばかりです。

ポイントは、悪化を防ぐだけでなく「次のアレルギーを増やさない」ことにつながるという点です。

毎日の保湿や適切な治療の積み重ねが、将来お子さんがぜん息や食物アレルギーを発症しないようにする一助になるかもしれません。

言い換えれば、お子さんの未来の安心のための行動でもあるのです。

まずは一歩ずつ、今できることから始めてみましょう

ここまでお読みいただき、お子さんのアトピー性皮膚炎への理解と具体的な対処法のイメージが少し掴めてきたでしょうか。

繰り返すかゆみに翻弄されていた親御さんも、正しいケアを積み重ねれば必ず改善の方向に向かうことがお分かりいただけたかと思います。

アトピー性皮膚炎はすぐ完治する病気ではありませんが、実際、治療していれば成長とともに症状が落ち着いてくるケースも多く報告されています。

大切なのは、お子さんのために今できることに焦点を当てて、一つずつ実行に移してみることです。

毎日の保湿を習慣にする、近くの皮膚科を受診してみる――その一歩一歩が、きっとお子さんの肌と暮らしを楽にしていきます。

「うちの子はずっとこのままなのでは…」と不安に思う気持ちは自然なものです。

でも、どうか抱え込みすぎないでくださいね。

この記事でお伝えしたように、適切なケアでお子さんの肌は良くなり、将来のリスクも減らせる可能性があります。

お子さんの笑顔と健やかな未来を守るために、今日からできるケアを始めてみませんか?

親御さんのその前向きな一歩が、きっとお子さんにとって大きな安心と幸せにつながるはずです。

「頑張りすぎず、でも諦めず。」そんな気持ちで、ゆっくりと歩んでいきましょう。私たちも応援していますよ。まずはできることから、一緒に始めてみましょう。💞

 

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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