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野菜アレルギー

野菜アレルギー

採血では大丈夫なはずなのに、食べるとお腹が痛くなったり、逆に、食物アレルギーだと言われたものを食べてもなんともない、もしくは、医師にそんなアレルギー聞いたことないと言われ、どうしたら良いのか悩んでいませんか?

実は、食物アレルギーの採血は、年齢、食べ物、症状、合併するアレルギーによって、見るべきポイントと対応が全く違ってくるので、幅広い経験と知識が必要です。

1 花粉症と野菜アレルギー

地域によって果物・野菜アレルギーは花粉症が関連しています。

花粉症と同時、もしくは花粉症になってから3年以内に果物、野菜アレルギーになってしまいます。

この花粉症から果物・野菜アレルギーを起こすことを、医学用語では花粉・食物アレルギー症候群と呼んでいます。

「花粉」と「果物・野菜」のアレルギーをおこす成分(アレルゲン)は、構造が一部が同じです。

つまり、簡単に説明すると

花粉のアレルギー成分:A、B、C、D

果物のアレルギー成分:C、DE、F

この場合、C、Dが同じ。

体は大雑把にしか認識しないので、花粉も果物も同じものだと勘違いします。花粉症がある場合、果物・野菜のアレルギーになってしまいます。

この原因となる花粉症としては、カバノキ属(シラカンバ)が代表であり、シラカバの約30~50%、ハンノキの約30%、ヨモギ約40%、イネ科約20%、スギの10%の患者が発症すると言われています。

ちなみに、果物・野菜アレルギーの平均年齢は小児で11歳、成人が37歳ですが、ここ数年で早まっています。

90歳代の方の受診する方や70代になってから救急車で搬送される方もいます。

印象としては、北海道なら早ければ5歳で発症、大体が小学校高学年~17歳くらいまでに果物・野菜アレルギーを起こしてきます。

一方で、遅ければ何歳でも可能性はあり、90歳代でなってしまう方もいます。

しかし、ここ十数年で、確実に果物・野菜アレルギーの発症年齢が下がっている印象です。

成人で受診された方は17歳~18歳で発症されている方が多いですが、現在は小学生で発症してくる子達と2極化しています。

一方で、温暖化により世界的にブタクサが、日本ではイネ科、キク科の花粉が毎年増大しています。

今後はますますイネ科、キク科花粉に関連したアレルギーが増えてくることが予想されており、実際今年はイネ科の花粉が多い印象です。

2 アレルギー症状

北海道と九州の方では、頻度もアレルギーになる食物も違います。

当然、居住している国によってもアレルギーの種類や症状は大きく違います。

ヨーロッパでは、比較的野菜アレルギーが増えている印象です。

ただし、花粉症の種類とアレルギーを起こす野菜は決まっています。

なので、北海道に多いシラカンバの花粉症がリンゴやモモ、ナシなどのアレルギーを高頻度で起こし、アレルギーの種類もニンジン、セロリ、キャベツなどあまり一般的になじみのないアレルギーもすごく多いです。

北海道以外では、野菜のアレルギーは珍しいアレルギーの部類に入ります。

一般的には口の中が痒くなると思われていますが、50%は皮膚、腹痛、呼吸が苦しいなどの症状がでます。

さらに、今は花粉症の若年化ならびに高齢発症の方が増えています。

野菜アレルギーの方も増えてきたために、現在では口だけではなく、腹痛、鼻血、頭痛など多種多様な症状を起こす方が一般的です。

例えば、ニンジンを食べると毎回鼻血が出る、セリで頭痛がするなど、一般的には聞いたことがないような症状を起こしてきます。

私のところに受診した果物・野菜アレルギーの患者さんでは、約20%の方がアナフィラキシーで救急搬送されていました。

教科書や報告されているよりも、ずっと多くの方がアナフィラキシーを起こして、搬送されています

クミン、コリアンダーはスパイスの中でも症状を起こしやすく、この2つは全員救急車で搬送されてきました。

ちなみに、果物・野菜で、アナフィラキシーを起こした方の多くは、「いきなりアナフィラキシー」になるのではなく、「症状が軽いので、食べていたら、ある日突然アナフィラキシー」になるパターンが多いです。

3. 居住地域に特有のもの

スギ花粉症がメインの関東、特に東京では花粉症に関連した果物・野菜アレルギーは少ないですが、シラカバ花粉症がメインの北海道はダントツに多く、九州地方でも増えてきています。

つまり、花粉症罹患率と原因花粉にも関連するため、はっきりとした地域差が出てきます。

北海道においても花粉症になる原因植物は他地域とは異なるため、原因となる食物の種類は九州とは違います。

花粉症が原因の果物・野菜アレルギーは成人がほとんどですが、ここ数年は子どもも増えています。

果物アレルギーと野菜アレルギーを比べた場合、果物アレルギー60%、野菜40%、果物と野菜両方に症状があった方は40%くらいで、野菜アレルギーの方はほとんどが果物アレルギーも持っています。

4. 花粉症に気が付かないこともある

私のところに受診される果物・野菜アレルギーの方の98%は花粉症をお持ちです。

花粉症が数年前に先行し、その後果物・野菜アレルギーになる方がほとんどですが、花粉症とほぼ同時期に果物・野菜アレルギーを発症する方もいらっしゃいます。

北海道はスギ花粉と違い、年によって200倍も花粉の飛散量に差があります。

つまり、ずっと飛んでいるスギ花粉症と違い、ほとんどの方はすごく花粉が飛んだ日にだけ症状が出るなどのため、気が付かないことも少なくありません。

一般的には小学校高学年以降で、花粉症の後に起こしてくることがほとんどでしたが、ここ数年は北海道でも2~3歳で花粉症を起こしてくるこも増えてきている印象です。

5)だから、これが必要です

①最初は気が付かない

果物・野菜アレルギーの症状は、最初は軽いので気が付きません

②採血では診断できないことも

特に野菜・果物アレルギーは、健康保険の採血は役に立ちません。

③治療について

花粉症の治療をすると食べられるようになる人は多い印象です。

 

参考文献

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・佐藤広行、他. 日本花粉学会会誌. 64(1); 1-5, 2018.

・続木康伸. 小児と成人の花粉・食物アレルギー症候群の検討. 日本花粉学会誌. 65(1):21-24. 2019.

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・杉井京子、田知本寛、宿谷明紀, 他 :アレルギー 2006; 11(55), P1400-14008.

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  Allergy Immunol 1994: 5: 218-222.

・杉山剛、斎藤圭一、齋藤翔:日小ア誌 2012; 26: 251-257

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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