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コラム

食物アレルギー、食べて慣らす方法

離乳食で卵を食べさせたら、全身に蕁麻疹と咳、意識がもうろうとして病院に運ばれた。アレルギーの専門病院と言われている病院に通っているけど、説明されても専門用語ばかりでよくわからず。

時々採血されても様子を見ましょうと言われ、何年も治療が進まず、来年幼稚園の年長になるのに卵が含まれているものも食べられない。

小学校が不安になり、同じ卵アレルギーの子を持つ友人に相談したら、友人のかかりつけ医は採血の説明や検査項目自体が全く違っており、食物アレルギーは採血だけではわからないとゆう。

採血の値が低くても全く卵が食べられなかった友人の子どもの話から、アレルギーの採血結果で話が盛り上がったところ、友人の子どもは少しずつ食べる治療を行い、去年には卵は食べられるようになっていた。

治っていない自分の子どもをみて悲しくなった。

1)食べ慣らし(経口免疫療法)

アレルギーは種類によって、治す方法があります。

「免疫療法」とは、アレルギーを根本から治す可能性のある唯一の治療です。

アレルギーを起こす成分を、アレルギー症状がでない範囲で、少しづつ摂取し、増量していきます。方法として、注射(皮下免疫療法)、摂取(経口免疫療法、舌下免疫療法)もしくは皮膚に貼って(ごく一部のアレルギー病院のみで施行)、体をアレルギーに慣れさせていく方法です。

これ以外の「免疫療法」はありません。

日本では健康保険の問題上しかたがないこととはいえ、先進国の中では日本だけ出来ない免疫療法がアメリカ、ヨーロッパに比べて非常に多いです。「免疫療法」はスギ花粉症の舌下免疫療法を除き、その他の免疫療法はアレルギー専門病院もしくはクリニックのみで行われています。

20年以上前は、「減感作療法」と言われていました。

この食物バージョンが、経口免疫療法なのです。

2)世の中では、食べれば治ると思われています

食物アレルギーでの経口免疫療法は、定期的にアレルギーを起こす食べ物を食べ、さらに定期的に少しずつ食べる量を増やしながら、最終的には1食分を食べても症状がでない、つまり完治を目指す方法です。

このために必要なのが、どのくらいの量を食べても症状がでないのか(経口負荷試験)を行い、食べ始める量を決め、定期的に決められた量を食べ続け、治療しながら増やす量を決めて行くことが必要になります。

食べ物を定期的に食べて、増量していく量や頻度は、その人の重症度と病院のやり方によって違いがあります。

抗アレルギー剤の内服を続けても、食物アレルギーは治りませんし、症状が出ることを予防して毎日内服を続けることも意味が全くありません。

例)負荷試験の結果、卵1gから経口免疫療法を始めるとします(下グラフ)。

1g→1.3g→1.6g→2g・・・・などと、卵を週3~7日間食べ、毎月受診後に増量していきます。この間に5gに増量後に「口が痒い」などのアレルギー症状が出れば、5gのまま3ヶ月維持などのように調整し、卵1個分40gを目指します。

その治療期間は2~3年ですが、その子重症度や病院のやり方によって変わります。また、子どもの場合、早く始めれば始めるほど治りは早く、日常生活が大きく変わります。

#成人と小児は違う

3)私はこう思います。

そもそも、経口免疫療法は自分の身体が敵だと思っている食物を食べ、増量し、年単位で敵だと思わないように騙し、攻撃態勢を解除すること。つまり、もともと食物アレルギーで症状を起こしている食品を、あえて食べて慣らしていくことです。

あくまでも「完治できる可能性がある」治療であり、医学的治療全てにおいて、「絶対に治る」、「副作用の可能性はゼロ」はありえません。

特にアレルギーの場合には、イメージでいえば癌と同じで、時間が経てば経つほど治りにくくなります。例えば、88%の人が治るといった治療では、12%の人が治りません。

誰が「治らない12%」に入るのかは、ある程度の予測は出来るものの、治療してみなければわかりません。

さらに、この12%の人は、「症状が全く変わらない」、「気を付ければ問題ない」、「完全ではないが、日常生活では支障がない」など、様々な程度に分かれます。2~3年かけたとしても、治る保証がないのが現状です。

だから、子どもの場合には、免疫が未熟な、出来るだけ早い段階で治療が必要なのです。

#例えば、卵アレルギー

4)現に、食べさせれば良いと思われています

このため、長年治療されておらず、重症化してしまったアレルギーの場合には、誤食をした際のアナフィラキシー予防に免疫療法を行うことも少なくありません。

#アレルギーはその時の体調で、症状が大きく変わるので

食べ物だから体に悪さをしない、ただ食べるだけの簡単な治療だと印象を受けるため、誤解されている方が非常に多いです。

食べて慣らす方法は世界中で無数に研究されている「治療」です。人によって副作用があるとゆうことです。

副作用、つまりはアレルギー症状。

口が痒いで済めば良いですが、時にアナフィラキシーを引き起こすことも稀ではありません。さらに、症状を起こさない量、食べる頻度、増量の程度は、個人によって非常に幅が広く、成人の場合には数年かけてゴールにたどり着いても、定期的に食べることを止めたとたんに症状が再発する方もいます。

また、どのくらい続ければ、ゴールにたどり着くのかも分かっていません。

例えば、食べる量をうどん0.1gから開始したとしましょう。これを2週間~1ヶ月で1.3倍の0.13gにします。さらに次の段階で0.13g×1.3倍の1.7gにします。これを繰り返しうどん200gまで定期的に食べ続けます。

食べる頻度は週3~7日。うどん200gなら、毎日うどんを年単位で継続する必要があります。

#現実的に、成人では無理

5)だから、こういう指導をしています

①様子を見ているだけでは治りません。

特に小児の場合には、成人よりはるかに治る可能性が高いですが、時期を逃すと治りにくくなります。

②免疫療法が出来る病院、出来る食物アレルギーは限られている

研究結果はまだですが、経験的に治る治らないを、患者さんを通して経験している場合も多くあります。

③経口免疫療法の継続できた成人は0%

食物アレルギーの成人で治療自体を希望される方は30%以下、さらにいくら説明してから希望された方でも、治療を3ヶ月以上継続できた方はゼロです。

子どもの場合は全く別です。

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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