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アレルギー性鼻炎の治し方:ダニアレルギー

アレルギー性鼻炎の治し方:ダニアレルギー

1)ハウスダストはダニのこと

日本人の30%以上が、アレルギー性鼻炎を持っていると言われます。

アレルギー性鼻炎の原因は、ほとんどの場合ダニアレルギーです。

ダニアレルギーは、体自体をアレルギー体質に傾ける力がものすごく強く、アレルギー性鼻炎や気管支喘息を引き起こします。

空気の通り道を壊す力が強いので、花粉症も引き起こします。

北海道では、ダニアレルギー、からのアレルギー性鼻炎、そして花粉症、最後に果物・野菜アレルギーの順番で進みます。

花粉症になると、50%の人が果物・野菜アレルギーになりますので、果物・野菜のアレルギーがある時点で、ダニ、アレルギー性鼻炎、花粉症は持っていることになります。

アレルギー体質にするので、アトピー性皮膚炎とも関係しており、冬のアトピー性皮膚炎の悪化に直結しています。

いくら治療してよくなっても、ダニアレルギーの治療をしなければ、「冬になったらまた肌が荒れてきた」を繰り返し、「春になったら眼と鼻がかゆい」と花粉症を引き起こします。

2)アレルギー性鼻炎の治療法;ダニ免疫療法

ダニアレルギーの場合、薬と点鼻スプレーが一般的ですが、効果は60%程度の人にしかないと言われています。

なので、2~4週間の治療で効果がない場合には、薬剤を変更し、あなたに合った薬を選ぶ必要があります。

一方で、薬に効果があったとしても、症状を薬で抑えているだけ。

押さえきれない人も多いです。

私の息子はアレルギー性鼻炎がとても酷く、人の4倍の薬を飲んで、2倍の量の点鼻薬を使っていました。

これが、4歳の時です。薬漬けでした。

2015年に私がイタリアに勉強に行くまで、世界ではアレルギー性鼻炎の治療は、ダニアレルゲン免疫療法が主流であり、薬を飲み続けるのは日本だけだと初めて知りました。

ダニアレルギーを治療する免疫療法が、治すことを期待できる唯一の方法です。

日本にはダニアレルギーを治療する薬は以前はありませんでした。

世界ではアレルギーを根治させるための免疫療法が一般的です。

このため当院では、各種花粉、ネコ、ハチなど様々なアレルギーの治療ができます。

3)実際の治療

皮下ダニ免疫療法は2024年3月までのご予約の患者様で受け入れ中止となっております。

ダニアレルギーの治療は「注射」と「内服(舌下)」の2種類があります。

体がアレルギーだと思っているものを、少しづつ体に接種して慣らしていく方法です。

【年齢】

注射:2歳から可能。

内服(舌下):早くて5歳から可能。

【治療期間】

注射も内服(舌下)も最低3年、推奨5年です。

【頻度】

注射:月1回

内服(舌下):毎日

【注射と舌下の効果】

注射も内服(舌下)も効果は同じです。

約80%の人に効果があります。ただし、個人差がある場合があり、薬が長年不要になる人から、薬を2倍使用していた人が通常量で済む程度まで様々です。

ただし、年齢が早ければ早いほど効果は高い印象です。

【注射の実際のやり方】

注射:予防接種のような感じです。

この治療ができる人は限られているために、道外から注射だけに通っている子もいます。

内服(舌下):舌の下に1分間おいておくだけ。希望日からすぐに開始できます。

【スケジュール】

ダニアレルギー注射のスケジュール:保険

注射の場合、「導入」する最初の1週間は毎日病院にきて、1日4回とか注射しないと免疫がつきません。

このため、小学生以上の子では、20%の子は長期休みを利用し、80%の子は学校を休んでいます。

また、中学生以上は親の付き添いは不要ですが、小学生以下は付き添いが必要です。

このため、祖父母が付きそうことが多いです。

ダニアレルギーの治療は、体が敵だと思っているものをちょっとずつ体に入れて慣れさせていく治療のため、アレルギー症状が出ることもあります。

注意事項を守っていれば、自宅でアレルギー症状が出ることは珍しいです。

ダニアレルギー:治療中の注意事項

5)私が、子どものアレルギー性鼻炎を治療する理由

私の息子はアレルギー性鼻炎がとても酷く、人の4倍の薬を飲んで、2倍の量の点鼻薬を使っていました。

しかし、色々な専門医に受診しても、4歳の時にはこれ以上やれることはないと言われ、鼻の詰まりで息子は夜中に泣いて起きる状態でした。

その当時、アレルギー医になりたてだった私は、親として「本当に治療方法はないのか?」と思う反面、専門医が言うならと諦めの気持ちから泣きたくなっていました。

ところが、勉強に行ったイタリアのアレルギー学会で、他の国ではアレルギー性鼻炎の原因のダニアレルギーは、注射で根治させていることを知ります。

そこで、私は日本でも同様の治療を探しましたが、2015年の日本では他の国よりも6割程度の効果しかない薬しかありませんでした。

他の国と同じ薬を輸入して治療しようとしましたが3ヶ月はかかる事がわかったので、まずは息子のダニアレルギーを日本にある薬で開始しました。

すると、治療開始1ヶ月後には夜中に起きることは一切なくなり、不眠が続き機嫌の悪かった息子や家族がイライラする事はなくなり、明らかに私の息子の鼻は良くなっている事を実感しました。

そして、3ヶ月後には今まで悩んでいた症状を忘れるくらいになり、今までの薬を減らし始めました。

その6ヶ月後には月1回の注射以外の薬は不要になり、現在に至ります。

大量にあった毎日の薬も必要なく、鼻の症状がない事で生活が楽になり、毎日快適に眠れることでストレスもなく、家族が毎日笑えるとは思ってもいませんでした。

いつでも笑っている家族をみて、もっと早く注射の治療を知っていれば、4歳だった頃の私の息子が毎日泣くようなことはありませんでしたが、実はごく一部の日本のアレルギー病院でもこの治療は普通に行われていたことを後に知ります。

一方で、アレルギーを掲げているクリニックは多いものの、健康保険の仕組み上仕方ないこととはいえ、アレルギーを根治するような治療や我々アレルギー医が行っているような検査を行える医者は全体の0.5%程度もいません。

このため、有名なアレルギー病院に患者は集中し、受診するのに3〜6ヶ月待ちです。

広告や宣伝をする必要が無いので表にも出てきません。

こういった状況のため、地方のアレルギー医であった自分では、アレルギーを根治するような治療や全てのアレルギーに対応して治療を行っている医師達と知り会うことが出来ませんでした。

ですが、私は今もアレルギーの勉強を続け、海外の学会を回っています。

さらには、知り合ったアレルギー医達にお願いし、休暇を取って日本全国の病院を勉強して回り、アレルギー医同士で患者さんを紹介し合って、他のアレルギー医達と関係を作り続けています。

私の息子は何年もこの情報に辿り着けませんでしたが、私がアレルギー全般の治療が行えるようになった今では、早くから知っていれば大きく生活が変わるアレルギーの治療を、悩み続けている私のところ来る子ども達には受けてほしいと思っています。


【参考文献】

・続木康伸、他. お好み焼き粉に発生したダニによるアナフィラキシーの双子例. 日本内科学会雑誌 104(5), P986-989, 2015. 

・田中裕也、他.日小ア誌 2016;30:627‒634

・西岡謙二. 室内アレルゲン -とくにダニとペット-. アレルギー・免疫 21; 10; P74-80, 2014.

・滝沢琢己. エビデンスに基づいた環境整備 Update. 小児科臨床 68; 8;P1457-1462, 2015.

・秋山一男、他. ハウスダストの構成アレルゲン. アレルギー・免疫. 20; 3; P86-92, 2013.

・張会波、他. 全国の住宅における室内環境の分析. 日本建築学会技術報告集15(30), P453-457, 2009.

・福富友馬、他. 室内環境中のダニ・昆虫とアレルギー疾患.

 Indoor environment 12(2), P87-96, 2009.

・白井秀治、他. ダニアレルゲンに対する家庭対策の非臨床研究を中止とした評価. 第52回小児アレルギー学会 ワークショップ4-3

・藤枝重治.日小ア誌 2013;27:139-148.

・津曲俊太郎.日小ア誌 2018;32:41—46.

・鼻アレルギー診療ガイドライン 2016.

・EACCI Allergen immunotherapy Guideline 2017.

・Christopher W. Immunol Allergy Clin N Am. 31, 251-262. 2011.

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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