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ワインは頭が痛くなる?ワインアレルギー?

「頭が痛くなるのは、安いワインを飲んだからじゃない?」

その不調、ワインの値段やあなたの体質のせいではありません

照明を落とした落ち着いた店内。 店員さんが恭しく注いでくれる、深いルビー色の液体。 グラスを回し、香りを楽しみ、一口含んだ瞬間に広がる芳醇な世界。

「やっぱり、お肉料理には赤ワインだよね」

そんな会話を楽しみながら、あなたも大人として、優雅にグラスを傾けたい。

そう思っているのに。

グラス半分も飲まないうちに、ズキズキとこめかみを殴られるような頭痛。 さっきまで楽しかった会話が入ってこなくなるほどの、目の奥の重み。 あるいは、鼻が詰まって息苦しくなったり、首から上がカーッと熱くなって、メイクでも隠せないほど真っ赤になってしまったり…。

「私、ワイン飲むとすぐ酔っちゃうから」 「今日はやめておくわ」

さらに辛いのは、 「頭が痛くなるのは、安いワインを飲んだからじゃない?」 なんて、気になったとき。

違います。

あなたが悪いのでも、ワインの値段が安いからでもありません。

ワインアレルギーの原因

実は、ワインアレルギーの大きな原因の一つが「ブドウに含まれるLTP(脂質転移タンパク質)」という物質なんです。

LTP Vit v1と呼ばれるこのタンパク質は、ブドウの果皮に多く含まれ、ワイン醸造の果皮浸漬工程(特に赤ワイン)で大量に溶け出してきます。分子量はたったの9kDaという小ささなのに、とても安定した構造を持っていて、消化酵素や加熱にも負けません。

なぜアジア人の女性に多いのか?

興味深いことに、このLTPアレルギーは地中海地域と東アジアで特に多いことが分かっています。

日本の女性に多い理由の一つが「遺伝的な要因」と「食生活の変化」です。

  • 遺伝的要因:ALDH2欠損症の影響でアセトアルデヒドが蓄積しやすい
  • 食生活の変化:ブドウや桃、さくらんぼなどとの交差反応性

「ワインアレルギーは、亜硫酸塩(SO2)が原因だ」 と言われていた時代もありました。

でも、最新の研究では違うことが分かってきたのです。

実際に、亜硫酸塩フリーのワインを飲んでも、やはり症状が出る人が多い。
そこで注目されたのが、「ブドウ自身が持つタンパク質」、つまりLTPでした。

LTPが体内に入ると、IgE抗体が作られます。このIgE抗体がLTPを「敵!」と認識して、肥大細胞という細胞を活性化させます。

すると、ヒスタミンという化学物質が大量に放出されてアレルギー症状がでます。

ワインアレルギーの症状

ワインアレルギーは、熱に耐性(加熱でも分解されにくい)、消化酵素に耐性(胃腸で分解されにくい)

桃・さくらんぼなどのアレルギーを合併する特徴があります。

  • 皮膚:蕁麻疹、紅潮、腫れ
  • 呼吸器:喘息、呼吸困難
  • 消化器:腹痛、吐き気
  • 全身:血圧低下、アナフィラキシー

このような症状がでる上に

  • 運動(運動誘発型アナフィラキシー)
  • アルコール(血管拡張作用)
  • NSAIDs(胃腸道の透過性増加)
  • ストレス(免疫応答の変化)

などで、症状が強くなります。

アルコールではなく「見えない化学物質」?

ここで、少し常識を疑ってみましょう。

もし、あなたが単に「お酒に弱い(アルコールが分解できない)」だけなら、 ビールでも、日本酒でも、梅酒でも、同じ量で同じように頭が痛くなるはずです。

でも、こんな経験はありませんか?

「白ワインやスパークリングなら、意外と平気で飲める」

「日本酒や焼酎なら、翌日にも響かない」

「でも、赤ワインだけは、少量でもテキメンに具合が悪くなる」

実は犯人は、アルコールそのものではありません。

赤ワインがその芳醇な香りや色を作り出す過程で、どうしても生まれてしまう「ヒスタミン」や「亜硫酸塩」という物質。

これが、あなたの身体の中で悪さをしていることもあります。

「赤ワイン頭痛」

実は、「Red Wine Headache(赤ワイン頭痛)」という言葉が医学論文にあるほど。

その主犯格と言われているのが「ヒスタミン」です。

そう、花粉症の時に聞く、あのかゆみや鼻水の原因物質です。

赤ワインは、ブドウの皮や種ごと発酵させる過程で、白ワインの数倍〜数十倍ものヒスタミンが生成されます。 通常、健康な人は腸の中で「DAO」という酵素がヒスタミンを分解してくれるので、何ともありません。

しかし、あなたの腸の中で、このDAO酵素の働きがほんの少し弱かったら?

分解されなかった大量のヒスタミンが血流に乗り、血管を一気に拡張させます。 それが、割れるような頭痛や、急激な顔面の潮紅止まらない鼻水の正体です。

つまり、あなたは「酔っ払っている」のではなく、身体の中で「ヒスタミン中毒」に近い反応が起きているのです。 これでは、根性で飲めるようになるはずがありません。

検査と診断

「ワイン不調」を3つの分類で考えてみます

  1. ヒスタミン不耐症(DAO活性)の疑い
    • 「赤ワインはダメだけど白ワインはOK」という方の多くがこれ。
    • チーズや生ハム(これらもヒスタミンが豊富です)を食べた時にも頭痛が起きませんか?
    • このタイプなら、飲む前にDAO酵素を補うサプリメントを使ったり、ヒスタミンの少ないワインを選ぶことで解決できる可能性があります。
  2. 亜硫酸塩(酸化防止剤)過敏症
    • ワインを飲んで数分以内に、**「咳が出る」「ゼーゼーする」「喉が詰まる感じがする」**という方。
    • これは酸化防止剤として添加される亜硫酸塩への過敏反応です。特に喘息持ちの方に多いのが特徴です。
    • この場合、「酸化防止剤無添加(ヴァン・ナチュール)」のワインなら、驚くほど美味しく飲めることがあるのです。
  3. 隠れフルーツアレルギー(LTP)
    • 非常に稀ですが、ブドウそのもののタンパク質にアレルギーがある場合です。
    • 見分けるポイントは、「桃(モモ)やサクランボを食べると口が痒くなるか?」
    • バラ科の果物とブドウのアレルゲンは似ているため、意外な繋がりが見つかることがあります。

検査と診断

ブドウやワインは採血による検査はできませんが、ほかの果物や花粉症に関連した検査を行うことで、合併するアレルギーも判断することができます。

「赤ワインで頭痛・鼻づまりがする」人向け

原因:ヒスタミン(生体アミン) 赤ワイン特有の「マロラクティック発酵」や果皮との接触で増えるヒスタミンが原因です。このタイプの方は、**「白いお酒」「透明なお酒」**を選ぶのが鉄則です。

  • 白ワイン(特に辛口・フレッシュなもの)
    • 理由: 赤ワインに比べ、ヒスタミン含有量は数十分の一〜百分の一程度です。
    • 選び方: 樽熟成していない、若くてスッキリした白ワイン(ソーヴィニヨン・ブランや甲州など)が最も安全です。
  • 蒸留酒(ジン・ウォッカ・焼酎)
    • 理由: 蒸留過程でヒスタミンはほぼ除去されます。
    • おすすめ: 「ジントニック」や「レモンサワー」。これらはヒスタミンがほぼゼロです。
  • シャンパン・スパークリングワイン
    • 理由: 赤ワインよりは少ないですが、白ワインよりはヒスタミンが少し多めです。「赤はダメだけど泡ならいける」という人は多いです。

2. 「ワインを飲むと咳き込む・息苦しい」人向け

原因:亜硫酸塩(酸化防止剤) 喘息持ちの方に多いタイプです。一般的なワインには酸化防止剤が含まれますが、これを避けることで飲める可能性があります。

  • 酸化防止剤無添加ワイン(Sans Soufre / サンスフル)
    • 理由: 亜硫酸塩を添加せずに造られた「ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)」の一部です。
    • 注意: 発酵過程で自然に生成される微量の亜硫酸塩はゼロにはなりませんが、症状が出ないレベルであることが多いです。
  • 日本酒(純米酒など)
    • 理由: 日本酒は通常、亜硫酸塩(酸化防止剤)を使用しません。
    • 魅力: ワインのような「食事とのペアリング」を楽しみたい場合、吟醸香のある日本酒は最高の代替品です。ワイングラスで提供するお店も増えています。
  • 本格焼酎・ウイスキー
    • 理由: 蒸留酒には亜硫酸塩は移行しません。安心して飲めます。

3. 「ブドウそのもの(果物)のアレルギー」の人向け

原因:ブドウタンパク質(LTPなど) 非常に稀ですが、ブドウ原料そのものがダメな場合です。この場合は**「ブドウ由来の全てのお酒」**を避ける必要があります。

【NG】避けるべきお酒

赤ワイン、白ワイン、スパークリングワイン

  • ブランデー、コニャック(ブドウが原料の蒸留酒)
  • ベルモット(マティーニなどに使われる)
  • バルサミコ酢(調味料ですが注意)

【OK】代わりのフルーツ酒(交差反応に注意)

  • シードル(リンゴのお酒): ブドウ以外でワインのようなオシャレな発泡酒を楽しみたい時に最適です。
  • 梅酒: 原料が梅(バラ科)ですが、ホワイトリカー(焼酎)ベースであればブドウは含みません。

※注意: 桃・サクランボ・リンゴにもアレルギーがある場合(LTP症候群)はシードルもNGです。

【OK】穀物由来のお酒

ビール、日本酒、ウイスキー、芋焼酎など。これらはブドウと生物学的に遠いため安全です。

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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