ビールアレルギーでお悩みのあなたへ

その不調、単なる「お酒の弱さ」ではありません。
「とりあえずビール」の輪に入れない、本当の理由をご存知ですか?
キンキンに冷えたジョッキ。 グラスの表面を流れ落ちる水滴。 喉を鳴らして飲み干す、周囲の友人たちの笑顔。
「プハーッ!やっぱり最初はビールだよね!」
そんな楽しげな声が飛び交う中、あなたは内心、冷や汗をかいていませんか?
本当は、あなただって美味しく飲みたいはずです。 喉ごしの良さを楽しみたいし、何より、みんなと同じテンションで「乾杯!」とグラスを合わせたい。
でも、あなたの身体は正直です。
コップ半分、いいえ、ひとくち口にしただけで、すぐに顔がカーッと熱くなる。 ドクドクと脈打つような頭痛がこめかみを締め付ける。 お腹が痛み、トイレの場所を確認せずにはいられない。 あるいは、腕や首筋に、蚊に刺されたようなミミズ腫れ(蕁麻疹)が地図のように広がっていく…。
「私、お酒弱いから」 「今日はちょっと体調が悪くて」
そんな言い訳をして、ウーロン茶やカシスオレンジをちびちび啜る。 場の空気を壊さないように愛想笑いを浮かべながら、面倒くささを感じていませんか?
もし、あなたが今、少しでも「私のことだ」と感じたなら、あなたがビールを飲めないのは、根性が足りないからでも、肝臓を鍛えていないからでもないからです。
あなたが「お酒に弱い体質」だと思って諦めていたその症状。
実は、「ビールという飲み物に含まれる『特定の物質』に対するアレルギー反応」である可能性が極めて高いのです。
ビールアレルギー
「お酒を飲んで赤くなるのは、アセトアルデヒドのせいだ」
「吐き気がするのは、飲みすぎたからだ」
「水をたくさん飲めば治る」
もちろん、アルコールそのものを分解できない「下戸(げこ)」と呼ばれる体質の方もいます。
「焼酎やハイボールなら、意外と飲めるんです」
「ワインは大丈夫なのに、ビールで蕁麻疹が出るんです」
「パンを食べても平気なのに、ビールを飲むとかゆみが出るんです」
もし、アルコールそのものが原因なら、焼酎だろうがウイスキーだろうが、同じように具合が悪くなるはずです。 でも、特定の「ビール」という飲み物の時だけ、激しい反応が出る。
これは、あなたの身体が「SOS」を出している証拠です。
あなたの身体を攻撃している真犯人。 それは、アルコールではなく、ビールを作っている「大麦(オオムギ)」や、発酵に使われる「酵母(イースト)」の中に隠れています。
大麦 (Barley) – LTP (Hor v 14)
特徴: ビールの醸造工程(煮沸・発酵)を経てもLTPは抗原性を維持します。これがビールアナフィラキシーの主犯格です。
交差: モモや他のバラ科果物との交差反応が見られることがあります。
酵母 (Saccharomyces cerevisiae):
特徴: 多くのビールは濾過されますが、無濾過ビール(ヘーフェ・ヴァイツェン等)や瓶内二次発酵ビールには酵母が残存します。
臨床: パン酵母アレルギーとの関連は議論がありますが、吸入性アレルゲンとして感作された患者が、経口摂取で反応を起こす例が報告されています。
ビールの主原料である大麦には、「LTP(脂質輸送タンパク質)」という、非常にタフなタンパク質が含まれています。 このLTPは、熱にも消化酵素にも負けない強さを持っています。 パンを焼く温度でも、あなたの胃液の中でも、しぶとく生き残るのです。
そして、ビールという液体は、このLTPが体に吸収されやすい絶好の状態になっています。 アルコールは、腸の粘膜を刺激し、アレルゲンの吸収を加速させる「運び屋」の役割を果たしてしまうからです。
つまり、 「パンならギリギリ耐えられていた身体が、ビールになった途端、大量のアレルゲンを一気に吸収してしまい、免疫システムが暴走する」 これが、ビールアレルギーの正体の一端です。
さらに恐ろしいことに、この反応「大人のあなたが、ある日突然発症する」ことが多いです。
アルコールが飲めないのとアレルギーの違い
ALDH2という遺伝子の秘密
実は、ビールが飲めない人の多くに共通するのが「ALDH2遺伝子の欠損」です。
これは正式には「アセトアルデヒド脱水素酵素2」のことで、ALDH2はお酒を飲んだ時にできる毒「アセトアルデヒド」を分解する役割を持っています。
ALDH2のタイプ別機能:
- ALDH21/1(正常型):酶活性100%、アセトアルデヒドを素早く分解
- ALDH21/2(欠損型):酶活性40-60%減少、アセトアルデヒドが蓄積しやすい
- ALDH22/2(完全欠損型):酶活性90%減少、アセトアルデヒドが極端に蓄積
アジア人に多い
興味深いことに、この遺伝子変異は東アジア人に圧倒的に多いのです。
日本人の*40-50%がALDH21/2、10-15%がALDH22/2を持っています。
一方で、白人やアフリカ人ではこの変異はほとんど見られません。
アセトアルデヒドという毒
アセトアルデヒドは、国際がん研究機関(IARC)が分類する「確実な発がん性物質(Group1)」です。
この毒が体内にたまると、以下のような症状が現れます:
アセトアルデヒド中毒の症状:
- 顔面紅潮(顔が真っ赤になる)
- 心拍数の著明な増加(110-130/分)
- 頭痛、吐き気、発汗
- 目の周りの腫れ、蕁麻疹
- 最悪の場合:血圧低下、アナフィラキシー
「ビールアレルギーは、ビールに含まれる小麦やホップが原因だ」
これが今までの常識でした。でも、最新の研究では違う場合もあることが分かってきたのです。
実際に、小麦アレルギーの検査で陰性だったのに、ビールを飲むと症状が出る人が多い。
そこで注目されたのが、「体内で作られる毒」、つまりアセトアルデヒドでした。
代わりに楽しめるアルコール
1. 安全:【蒸留酒(原料が麦以外)】
蒸留酒は製造過程でタンパク質が除去されるため、理論上アレルゲンは残りません。その中でも「原料に麦を使っていないもの」を選べば、心理的にも医学的にも最も安全です。
- 芋焼酎・米焼酎・黒糖焼酎・泡盛
- 理由: 原料がサツマイモ、米、サトウキビであり、大麦・小麦を含みません。
- おすすめ: 居酒屋で最も頼みやすい選択肢です。「ロック」「水割り」「ソーダ割り(チューハイ)」で楽しめます。
- 注意: 「麦焼酎」は蒸留されていますが、重篤なアレルギーの方は念のため避けるのが無難です。
- ラム(Rum)
- 理由: サトウキビが原料。グルテンフリーです。
- 飲み方: モヒート、ラムコーク、ロック。
- テキーラ(Tequila)
- 理由: リュウゼツラン(植物)が原料。
- 飲み方: ストレート、マルガリータ。
- ワイン(白・赤・スパークリング)
- 理由: 原料はブドウ。麦類は一切含みません。
- 注意: ヒスタミン不耐症(赤ワイン頭痛)がある場合は、**「白ワイン」または「蒸留酒」**を選んでください。
2. 条件付きで安全:【醸造酒(グルテンフリー)】
「麦」は入っていませんが、「酵母」や「発酵生成物」は含まれます。大麦・小麦アレルギーの人はOKですが、酵母アレルギーの人は注意が必要です。
- 日本酒(米)
- 理由: 原料は米と米麹。麦は使いません。
- 魅力: ビールのように食事に合わせやすく、種類も豊富です。
- 注意: 醸造アルコール添加の有無に関わらず、原材料は米ですが、極稀に樽酒などで樽の材質に反応する方がいます。
- シードル(リンゴの発泡酒)
- 理由: リンゴ果汁を発酵させたもの。
- 魅力: ビールのような「炭酸の喉越し」を楽しみたい時に最適です。パブなどでもビール代わりに注文しやすいです。
- 注意: バラ科の果物(リンゴ・桃)にアレルギーがある場合(LTP症候群)は避けてください。
3. 微妙:【原料が麦だが蒸留されたもの】
医学的には「蒸留すればタンパク質(アレルゲン)は移行しない」とされていますが、コンタミネーション(混入)や微量残存のリスクをゼロと言い切れないため、重篤な方は医師に相談すべきカテゴリーです。
- ウイスキー・バーボン
- 大麦麦芽やライ麦、トウモロコシを使用します。蒸留酒なのでグルテンやLTPは除去されていると考えられますが、セリアック病(グルテン不耐症)の患者団体でも意見が分かれるところです。
- 代替案: トウモロコシ主体のバーボンや、ジャガイモ原料のウォッカの方がリスクは低いです。
- ジン・ウォッカ
- 多くのジンやウォッカは穀物(麦を含む)ベースのスピリッツを使います。蒸留回数が多いので純度は高いですが、気になる場合はブドウベースのジン(ジーヴァインなど)や、ジャガイモベースのウォッカ(ショパンなど)を探すと安心です。
当院での検査と診断
ビールやワイン、日本酒などの個別のアルコールとアセトアルデヒドの検査は採血ではできませんので、以下の方法で検査していきます。
- 大麦LTPアレルギーの特定
- ビールを飲むと蕁麻疹が出る、息苦しくなる方の多くがこれに該当します。
- 実はこのタイプの方、「桃(モモ)」や「サクランボ」を食べた時にも、口の中がイガイガした経験がありませんか?
- 大麦とバラ科の果物は、アレルゲンの構造がそっくりなのです。
- 酵母アレルギーの確認
- 特に最近流行りの「クラフトビール」や「無濾過ビール(ヴァイツェンなど)」で調子が悪くなる方。
- ビールの中に残っている「生きている酵母」に反応している可能性があります。
- WDEIA(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)のリスク評価
- 「ゴルフの後のビール」で倒れた話を聞いたことがありませんか?
- 大麦や小麦(グルテン)と、運動、そしてアルコール。この3つが揃った時にだけ発動する、命に関わるアレルギーがあります。
理由1:マニアックなまでの深掘り診断
通常のアレルギー検査では「小麦」は調べても、「大麦」や「グルテン」、「モモとの交差反応」までセットで検査を行います。 当院は、あなたの「ビールを飲んだ時の状況」を詳しく聞き取ります。
「何分後に症状が出たか?」「その時つまみは何を食べたか?」「運動はしたか?」 問診と、必要な採血を組み合わせ、ピンポイントで犯人を追い詰めます。
理由2:「飲める」を探す提案力
「アレルギーですね。もうお酒はやめましょう」 これは、医師としては100点の回答かもしれませんが、あなたの人生にとっては0点の回答です。 私たちはお酒の楽しみを奪いたいわけではありません。 「ビールはダメですが、蒸留酒であるジンやウォッカなら理論上アレルゲンは含まれません」 「赤ワインはヒスタミンが多いので頭痛が起きやすいですが、高品質な白ワインなら試す価値があります」 このように、医学的根拠に基づいた「代替案」を提示できるのが、当院の強みです。
※もちろん、重篤なアナフィラキシーのリスクがある場合は厳格な除去を指導します。
検査費用
公費を利用する場合、札幌市においては初診時に580円が必要となります。
公費を利用しない場合の費用は、6,000円から8,000円程度を見込んでおります。
札幌市以外にお住まいの方の場合、自治体によって負担割合が異なりますので、具体的な費用につきましては、お住まいの自治体にお問い合わせいただくとご安心かと思います。
ご予約
ご受診可能でございますので、WEBからお好きな時間をご予約くださいませ。
