子どものコロナウイルス感染の後遺症
札幌市南区のアレルギー科・小児科(アレルギー)、アルバアレルギークリニックです。
【質問】小児は、コロナに感染しても重症化しないと聞きました。接種しなくてもよいですか?
【回答】重症化って、どうゆう状態をイメージされてます?後遺症も問題ですよ。
1)子どもでコロナウイルス感染が増加
現在コロナウイルス感染症は、小児で増加しています。割合では10代以下が30%で、感染者数で最も多いのは、10歳以下(特に5~9歳が最多)となっています1)。
小児は特に家族から感染することが多く、70%が家族感染ですが、幼稚園・保育園で感染することも少なくありません。
この場合、当然子どもから子どもです。
そうなると閉園になります。
とゆうことは、仕事中に迎えに行かないといけないです。
PCR陽性なら、家族は濃厚接触者で隔離期間に突入するので、仕事を休むことになります。
休業期間の給与支払いは、会社の規模、勤務規定によります。
2)コロナウイルス感染症の後遺症
コロナに感染して回復しても、24%は原因不明の症状で悩まされています3-5)。
疲労(10.6%)、不眠(5.9%)、臭覚異常(4.7%)、頭痛(3.5%)などです。
後遺症は18歳以下で起こりやすく、平均年齢は11.6歳です。つまり、5-12歳くらいが起こりやすそうな感じです。
後遺症は、時間とともに軽快していきますが、60日経過後では42.6%の子どもに後遺症が残っていました5)。6ー7ヶ月経過した後でも、疲労は8.8%、臭覚異常4.7%、不眠5.8%、味覚異常3.1%、頭痛3.5%、呼吸困難感1%の子どもに残っていました3-5)。
つまり、10人に1人は治るかどうかわからないままになっているとゆうことです。
3)後遺症が残りやすい子
なんらかのアレルギーを持っている子が残りやすいと報告されています3)。
後遺症が残っている子を後から調べてみると、特に食物アレルギー、アレルギー性鼻炎を持っている子がハイリスク(残りやすい可能性がある)です3)。
これはヘルパーT細胞とゆうアレルギーに関係する細胞の反応が原因ではないかとも疑われており、普段からアレルギー体質にしないことが大切です。
4)重症化しないから接種しない?
5~11歳の小児に対する同ワクチンの発症予防効果が90%以上と報告されています1)。
重症化をどう定義しているのかは不明ですが、後遺症が残るとダメージは大きく、子どもはつらい、親は病院をめぐるために仕事を頻回に休むことになります。
具合が悪ければ、当然ですが幼稚園や学校から連絡が来るでしょう。
感染する可能性を減らせるのであれば、減らす手立てはなんでもやっておいたほうが良さそうです。
【参考文献】
1)第74回(令和4年3月2日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード「新規陽性者数の推移等」
2)日本小児科学会. 5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方
3) Ismail M Osmanov, etal. Risk factors for post-COVID-19 condition in previously hospitalised children using the ISARIC Global follow-up protocol: a prospective cohort study
Eur Respir J. 2022, 3;59(2):2101341.
4)Helen Thomson. Children with long covid. 2021; 249(3323): 10–11.
5)Danilo Buonsenso, etal. Preliminary evidence on long COVID in children.