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妊娠中にアレルギー症状を起こしてはいけない

妊娠中にアレルギー症状を起こしてはいけない

子どもの頃からアトピー性皮膚炎と喘息を持ち、カゼを引くといつも咳が続いて夜中に病院に行っていた。

時々入院することもあり、一人で寂しかったが、親に心配をかけさせないように平気なフリをしていた。喘息の治療は悪くなったときだけ吸入するように言われていたが、いつまで経っても良くなった気がしなかった。

小学校に入ってからも、季節の変わり目で苦しかったが、高学年になると喘息はでなくなり、部活も出来るようになった。働き出してからはまた時々苦しくなったが、自然に治まっていたので、病院にいって吸入を継続してするように言われた。すでに結婚して妊娠する可能性があったので、今度は継続して吸入するようになった。

ある時妊娠が分かったので、赤ちゃんへの影響を考え、すべての治療を自分で止めた。妊娠中期から咳が出るようになり、自分でも喘鳴を自覚するようになった。悪くなっていくのを自覚していたが、やはり赤ちゃんへの影響が心配で病院にもいかず、治療もしなかった。

ある日、突然会話もできないくらい苦しくなった。病院に行ったら内科で断られ、回されたアレルギー科では、すぐに救急処置室に連れていかれた。産婦人科医と助産師も呼ばれて大騒ぎとなり、赤ちゃんへ影響が出る可能性を説明され入院となった。

1.妊娠中の気管支喘息は胎児に影響がでる

妊娠中のアレルギー症状は、母児ともに重篤な後遺症を残す可能性があります。

特に母親の気管支喘息とアレルギー性鼻炎のコントロールは、胎児への直接の影響と生まれてからのアレルギーの経過に影響を与えます。

そして、気管支喘息の影響は、母のみならず胎児にも及ぶことは十分に周知されていません。

さらに、妊娠中の気管支喘息は、増悪する,改善する,変化しない人が1/3ずついると報告されており、自身は苦しくないので症状はないと考えていても、実際は慣れているだけで、突然気管支喘息発作を起こしたような感覚になっていることがほとんどです。

2.ネットでは思ってることしか検索できない

インターネットは自分が検索しようと思ったことしか出てきません。

つまり、治療が怖いと思っていれば誤った副作用の話が、治療しようと思えばポジティブな情報が出てきます。

アメリカでも、約4の妊婦が妊娠中に喘息発作を起こしていると報告されており、誤った知識をネットで仕入れからアレルギー症状を十分にコントロールしていない症例や治療自己中断例も多いです。 

特に日本人の場合には、薬剤の副作用を過度に怖がり、逆に母親や胎児に影響が出ていることが報告されています。

重要なのは、薬剤を使用しないことではありません。

妊娠中にアレルギー症状を起こさないことで、赤ちゃんに合併症をおこさないこと、母親が無意味に辛い思いをしないことです。

このために必要なことは、妊娠前、いやむしろ子どもの頃から、出来るだけ早い段階で治せるアレルギーは治しておくことです。

そうすれば、妊娠中に薬を使うことが怖くても、薬を使う必要がありません。

悪いことは何もないのです。

 

参考文献

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・Vanessa E. Murphy et al : Asthma in pregnancy a hit for two. Eur Rspir  

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私がアレルギーを診察する理由はこちら

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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