メロンアレルギー:夏の贅沢フルーツが突然”敵”になった時の正体と安全な対処法

「去年までは何ともなかったのに、今年メロンを食べたら口の中がピリピリして…」
「毎年夏になると、メロンを食べるたびに口の中がピリピリして、喉も痒くなるんです。高級なメロンほど症状がひどなる」
メロンアレルギーは、メロンを食べた時に口の中がかゆくなったり腫れたりする病気です。
もしあなたがこんな経験をしたことがあるなら、それは決して珍しいことではありません。
実は、多くの人が「突然」メロンアレルギーを発症します。
でも、ちょっと待ってください。
実は、あなたが毎年悩まされている「あの症状」と深い関係があるかもしれません。
この記事を読み終わる頃には、なぜメロンで口がかゆくなるのか、そしてどう対処すればよいのかが明確になるです。
「突然始まった」メロンの症状に隠された真実
「マスクメロンを一口食べただけで口の中が大変なことに…」
「子どもの頃は大好きだったメロンなのに、なんで急に?」
「最初は『食べすぎかな』と思っていたけど、少量でも症状が出るように…」
「口の中だけじゃなくて、のどまでかゆくなって不安」
当クリニックにも、こうしたお悩みで来院される患者さんが今年は特に増えています。
多くの人が「メロンアレルギー」だと思っている症状。
実は、その正体は「花粉症の延長線上にある症状」です。
「本当の原因」
「え?花粉症?でも私、鼻水とかくしゃみとかないですよ」
「花粉症は春だけど、メロンは夏でしょ?」
そう思われた方も多いでしょう。
原因となる物質は主に3つのタイプがあります。
1つ目は花粉と似た物質で、花粉の時期に症状が強くなりやすく、加熱したものなら食べられることが多いです。
2つ目はシラカバ花粉やイネ科花粉と関連するもので、オレンジや人参などでも同じような症状が出ることがあります。
3つ目はメロンの皮に多く含まれるもので、重い症状が出る可能性があるため特に注意が必要です。
花粉症の症状 = 鼻水・くしゃみ・目のかゆみ
この固定観念が、本当の原因を見えなくしているのです。
実際には、花粉症の原因となるタンパク質と、メロンに含まれるタンパク質が「そっくり」な構造をしているため、体が「これも花粉だ!」と勘違いして反応してしまうことがあるのです。
これを「花粉食物アレルギー症候群(PFAS)」と呼びます。
つまり、あなたの口の症状は「メロンアレルギー」ではなく、「花粉症の一部」なのです。
「皮の部分」に潜む危険
メロンの口腔症状で特に注意が必要なのが、果肉部分と皮部分での症状の違いです。
メロンの皮にはLTPという、熱に強く、消化されにくい特殊なアレルゲンが含まれています。
このLTPは、口の中だけでなく全身症状を引き起こす可能性があり、場合によっては呼吸困難や血圧低下などの重篤な症状につながることもあるのです。
特にメロンは呼吸に症状が出やすく、気管支喘息を持っている方は要注意です。
「皮なんて食べないから大丈夫」と思っていても、カットする際に皮の成分が果肉に付着することがあります。
検査
詳しいお話と採血から関連する果物野菜アレルギーを調べて、重症化しそうかどうかを予想します。
この診断により、どのタイプなのかを特定し、「どの程度危険なのか」「どう対処すればよいのか」「どんな場合に緊急受診が必要なのか」を予想していきます。
【医師向け:3つの主要なアレルゲンタイプとその特徴】
コンポーネントは日本では計測できませんが、以下を予想して検査していきます。
アレルゲンコンポーネント:
- Cuc m 1:セリンプロテアーゼ(79kDa)
- Cuc m 2:Profilin(14kDa)- 汎アレルゲン、熱不安定
- Cuc m 3:PR-1様蛋白(2.5kDa)
- Cuc m LTP:脂質運搬蛋白(8kDa)- 皮部、熱安定
交差反応:シラカバ(Bet v 1)、イネ科(Phl p 12)、ブタクサ(Amb a 8)、ウリ科(スイカ・キュウリ)、バナナ、ラテックス
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PR-10タイプ(Cuc m 3関連)
- シラカバ花粉症と密接な関係
- 加熱により症状が大幅に軽減
- りんご、人参などでも同様の症状
- 比較的軽症で、口腔内に限局することが多い
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プロフィリンタイプ(Cuc m 2関連)
- イネ科花粉症(カモガヤ、ブタクサなど)と関連
- 季節性があり、花粉飛散時期に症状悪化
- バナナ、スイカなど他のウリ科でも症状
- 加熱で症状軽減、皮を除去すれば摂取可能な場合が多い
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LTPタイプ(nsLTP関連)
- 最も注意が必要なタイプ
- 皮部分に高濃度で存在
- 熱に安定で、加熱しても分解されにくい
- 全身症状のリスクあり
- 運動、アルコール、NSAIDsなどの共同因子で症状増強
【PR-10タイプの方への指導例】
- 生メロンは避ける
- メロンゼリー、コンポート等の加熱品は摂取可能
- シラカバ花粉症の治療で症状改善の可能性
- りんご、桃などの他の果物も同様の注意が必要
【プロフィリンタイプの方への指導例】
- 皮を完全に除去すれば摂取可能
- カット時の器具の清潔管理が重要
- 花粉飛散時期は特に注意
- メロンジュースは皮も含まれるため避ける
【LTPタイプの方への指導例】
- 完全除去が必要
- 外食時の細心の注意
- アドレナリン自己注射(エピペン)の携帯検討
- 緊急時対応プランの作成
- 定期的なフォローアップ
結局どうするのか
食べなければ症状はでませんので、食べないが治療になります。
唯一花粉症を根治できる「免疫療法」のみが治療になります。
これは日本と北朝鮮以外の国では、花粉症の治療は免疫療法のみが唯一の治療ですが、アメリカから薬を輸入するため保険がききません。
また日本では行っている病院はほとんどないので、予約が大変こんでおります。
重要なのは、今後も果物野菜アレルギーが増えてくるかどうか
検査で重要なのは、ほかの果物野菜アレルギーがどの程度増えてくるのか、重症化そうかどうか、この点が重要になってきます。
食べないか免疫療法の2択ですが、説明を聞いてからお選びいただくことが可能です。
参考文献
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