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女性ホルモンの乱れと肌荒れ

女性ホルモンの乱れと肌荒れ

赤ちゃんの頃から肌荒れがひどく、小児科では乳児湿疹と言われるも悪くなるばかり。

大人になってからは、生理になると余計に肌が荒れ、ニキビも増えるようになった。

そのせいか、今は毎月がゆううつで仕方がない。

病院に行って大量の塗り薬を使っても現状維持が精一杯、食事を変えても良くならない。

でも、時々悪くなることは繰り返している。病院を変えて何度相談しても、肌を見てくれることもなく、これ以上やる事はないと言われ、帰ることを急かされる。

病院に通うたびに悲しかった。

1)生理での肌荒れ

生理になると肌荒れ、ニキビの悪化を感じている女性は多くいらっしゃいます。

特に私のクライアントはアトピー性皮膚炎をお持ちなので、1人/5~6人程度は生理前後で肌が荒れます。

蕁麻疹は特にひどく、重症蕁麻疹の女性は月経前になるとほぼ悪化し、アナフィラキシーを起こして搬送を繰りす方も少なくありません。

毎月決まった時期に荒れるのでご自身で自覚がありますが、典型的には生理1週間前から荒れ始める方が多い印象です。

2)自律神経の乱れや食事の影響?

女性の肌はとてもデリケートです。

なので、肌荒れの原因は一つではなく、あなたの肌は「これだけをすれば良くなる」と言った簡単なものではありません。

また、悪い食事が体に貯まったなどが原因ではありません。

よく食事の影響がとりざたされますが、「食事を改善したら肌荒れが治った」は、よほどでない限りはおこりえません。

自律神経は、女性ホルモンの一つエストロゲンの分泌に係わっており、交感神経が興奮すると女性ホルモンの分泌を妨げます。

自律神経は、自分から乱れる訳ではありません。

そもそも、自律神経は自分の力では調整出来ない神経のことです。

自律神経を乱す「原因」が問題なのです。

3)ホルモンのバランス変化のせい

生理に関係する女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンがあります。

このうち、エストロゲンは、肌の血管、毛穴、皮脂腺の分泌、色素沈着に関係するメラノサイトにも係わっています。

また、エストロゲンは、肌の張りとなるコラーゲンの生成、肌の水分量、肌のバリアー機能に関係しています。

なので、エスロゲンが減少すると、肌の張りや水分量が無くなるので、タルミと乾燥が起きるのです。

プロゲステロンについては、皮脂腺の分泌を増やすことしか肌への影響はわかっていません。

この女性ホルモンのバランスを崩す大きな原因となるのが、ストレスです。

ストレス、特に精神的ストレスはエストロゲンの分泌を抑えます。

また、ストレス自体が肌(皮膚)が新しく入れ替わるターンオーバーを乱すこともわかっています。

ホルモンバランスが崩れる、すなわり分泌が多かったり少なかったりすると、肌が荒れてくるのです。

4)生理前から起きています

女性は生理前後になると、女性ホルモンが増えたり減ったりして、ホルモンバランスが変わります。

この生理的ホルモンバランスの変化で、皮膚のバリアー機能が乱れます。そして、日常ではなんでもない刺激でも皮膚が耐えられず荒れます。

つまり、普段使用している化粧品もダメな方はダメ。

また、エスロゲンと一緒に男性ホルモンであるアンドロゲンも増えるために、皮脂の分泌増え、皮膚の細菌叢が乱れ、ニキビが増えます。

この状況は生理前3~10日、そして生理後5~10日の間は続くと言われています。しかし、経験的に個人差が大きく、生理前後1週間から悪化、生理後は速やかに改善する方が多い気がします。

女性の身体は、なにか一つのことで解決するほど単純ではないのです。

5)自分にあったケア

①悪化した時だけ対応するとダメージが蓄積する

肌は悪化しても、すぐに改善できるのは20代まで。30代からはコラーゲンの生成が急激に落ちます。

つまり、肌の表面のバリアーが壊れた状態が長く続けば続くほど、皮膚の水分量は減り、皮膚の下にある部分にダメージが及びます。

皮膚の下にあるのは、肌の張りをつかさどるコラーゲン。

ここが破壊されると、将来のシワ、タルミの原因になります。

なので、毎月肌が荒れることが解っているのに、肌が荒れてから対処していると将来の肌老化に大きい影響を与えます。

②生理前後でスキンケアを変える

一方で、毎月決まった時期に荒れるとゆうことは、生理前後はスキンケアを普段とは変える必要があるとゆうことです。

同じスキンケア用品を使い続けれ、荒れたままになっている方も少なくありません。

しかし、この肌状態は個人差が非常に大きく、研究結果でも、「これが良いとは断定できないので、自分に合ったものを見つけるしかない」とされています。

アトピー性皮膚炎をお持ちであれば、生理前後はステロイドの使用がベストです。プロピックやコレクチムは痒みや灼熱感が出る方も少なく割に悪化します。

基本的な保湿は、生理前は特にバリアー機能補充のために「セラミド」が配合されたものを選びます。

余談ですが、エタノールの含有量が多いと刺激感が出る方もいますので、注意されるとよいと思います。

③ピルを飲む

この場合のピルは、避妊や子宮系ガンの予防だけではなく、肌荒れ防止です。

肌が荒れるのは、生理によるホルモンバランスの変化が原因です。

このため、皮膚状態がかなり悪化する方は、ピルを使用して、ホルモンバランスを整えることをお勧めしています。

ピルにより、卵巣ガンや子宮体ガンになるリスクを著しく下げることができますし、月経前症候群も軽快します。

ピルの処方はオンラインでも可能ですが、ガン検診や生理痛がひどい場合には子宮内膜症の検査も併せてして頂くと良いでしょう。

 

参考文献

・R. S. Raghunath, etal. Clinical and Experimental Dermatology  40, p111–115, 2015.

・Suhyun Cho, etal. Ann Dermatol Vol. 22, No. 2, 2010.

・Keiko Kiriyama, etal. Dermatology. 206(2):110-2, 2003.

・Ozisik HI, etal. Clin Auton Res. 15(3):233-7, 2015. 

・Wyskida K, etal. Endocr Connect. 6(8):892-900, 2017.

・ M. Schmuth, etal. Horm Metab Res. 39: 96 – 105, 2006. 

・Ivonne M C M Rietjens, etal. British Journal of Pharmacology, 174:1263–  1280, 2016

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・D. ASHLEY HILL, etal. Am Fam Physician. 1;94(11):884-889, 2016.

・内田さえ. 国際抗老化再生医療学会雑誌. 2;  P11−18, 2019 

・小山健. 生理ちゃん.KADOKAWA, 2020.

 

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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