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脱ステロイドを選んだ人はまじめで、傷ついている

脱ステロイドを選んだ人はまじめで、傷ついている

赤ちゃんの頃から肌荒れがひどく、小児科では乳児湿疹と言われるも悪くなるばかり。病院に行って大量の塗り薬を使っても現状維持が精一杯、時々悪くなるのを繰り返している。

病院を変えて何度相談しても、肌を見てくれることもなく、これ以上やる事はないと言われ、帰ることを急かされる。

病院に通うたびに悲しかった。

しばらくぶりに会った友人は、同じくらい肌が荒れていたのに、通っている病院で薬の塗り方と体の洗い方の説明を詳しく受けており、毎回肌を触って診察してもらっていた。

1年かけて薬を減らし、今は週1回だけお腹に軟膏を塗るだけでキレイな肌で痒みも無くなっており、来月からは保湿剤だけになるとゆう。

1)脱ステロイドを選ぶ人は、最初はステロイドを使っています

ステロイドに対して怖いイメージを持っている方が多く私のところに来られます。脱ステロイドをされる方は、ほとんどの方が世間で言う「良い人」です。

また、デリケートな面を持っており、現在の治療で良くならないことを、医師と話合おうとした時に傷つかれた経験があります。

この経験は非常に大きく、多くの方がこの時に「医師を嫌いになる」のではなく、「ステロイドに疑問を持つ」といった変換が行われます。

通常、物事の良い面と悪い面の両方を調べる能力があり、PDCAを回せる方々なのですが、この「ステロイドに疑問を持つ」と、なぜか悪い面だけを検索してしまいます。

また、脱ステロイドを行っている医療機関は現在非常に少ないく、特定の人間としか付き合うようにならないために、ますます周囲からの情報が入らなくなります。

多くの方が信じてしまう迷信が、「自然に良くなるから」、「ステロイド依存」、「免疫を上げれば良くなる」があります。

「自然に良くなる」は、現在はそうではありません。

スウェーデンでは、小児期に発症したアトピー性皮膚炎で、57歳時点では68%にアトピー性皮膚炎が残存、12%は重症のままとの報告があり、日本では生後4ヶ月までに発症すると生後18ヶ月の時点で50-80%に症状が残存していると報告されています。

他の国も見てみましょう。

アメリカでは、6ヵ月間の無症状または無治療期間を1回以上有した患者の割合が、50%に達することは20歳以前はありませんでした。

ドイツでは、1歳以降で症状の残る割合は18.7%、小学校1年生でアトピー性皮膚炎の症状があれば6年生でも90%が残存していると報告されています。

つまり、自然には治らないのです。

ステロイド依存は、ステロイドがどんどん強くなったり、止められなくなる状態をいい、2000年より以前に治療を受けていた重症の方で言われていた現象です。

ところが現在は、ステロイドは保湿剤に以降するためのつなぎで、ステロイドを大量に長期間使い続けることはありません。

#ステロイドは症状を無くして、保湿に以降するつなぎはこちら

なので、ステロイド依存にはエビデンスがない(証拠がない)、あくまで大量のステロイドを長期間使い続けた結果おこる、正しく使えば問題は起きないとされています。

#そもそも、治療の仕方が全く違う

また、免疫を上げればアトピーは良くなるといった類も間違いで、そもそもアレルギーは免疫が暴走している状態。

暴走している免疫を上げれば余計悪くなります。

免疫は「整える」が正解なのです。

2)肌だけの問題だと思われています

アトピー性皮膚炎を治療しない、脱ステロイドの最大の問題は「身体の合併症」です。

アトピー性皮膚炎が、次々に他のアレルギーを引き起こすアレルギー・マーチになると、起こしてしまったアレルギーの多くは、日本では健康保険の問題で治すことができません。

また、命に係わる問題や人生に後を残す後遺症も起きます。

子どもでは、発育の遅れや脳委縮、電解質異常(体の塩分バランスが極度に崩れ、致死的な不整脈が起きる)、腎不全(人工透析が必要、しなければ死亡する)、感染症(蜂窩織炎、感染性心内膜炎)、白内障があげられます。

多くの場合、白内障は手術が必要です。

3)合併症が軽く見られています

アトピー性皮膚炎は死なないと思われているので、間違いが起きます。

脱ステロイドを選び、乳児の脳が萎縮して発育が遅れるのは子どもですが、脳委縮をおこした場合は元には戻れません。

つまり、発達・発育への障害が残ります。

また、顔が重症のままになっていた場合には眼への影響も大きく、15歳以上だと子どもでも白内障は出現します。

また、ダニアレルギーが原因の重症アレルギー性結膜炎により視力が低下する場合もあります。

どちらも手術が必要です。

#なので、ダニアレルギーの治療が必要です

皮膚に細菌感染をおこす「蜂窩織炎」、ヘルペスウイルス感染を起こすこともあります。

脱ステロイドを選ばれていた場合には、部分的に感染するだけではおさまらず、一気に全身に広がるため入院が必要です。

この細菌感染で私たちが恐れているのは、皮膚の細菌感染が血液内に入り、心臓に達する「感染性心内膜炎」です。

これまでに3人治療を担当したことがありますが、巣を作った細菌を切り取る心臓手術が必要になることも多く、手術が無くても、半年から1年がかりの治療になります。

どれも、検索すれば「症例報告(実例の経過が載った論文)」を、無料で読むことができます。

4)私のところには、「脱ステロイドを脱した」を診察しています 

通常の医師が脱ステロイドを行っている方を嫌がるのはこの体の合併症のため。

全身の合併症を起こしていた場合、病状がかなり進んでいるため、他科や場合によって入院施設のある総合病院とやり取りしなければならず、医者側のマネージメント能力が必要で、とても手間がかかります。

このため、通常の病院では、後々のリスクを考えると「うちでは引き受けられない」となります。

まったく別の方向からアプローチしなければ、今の人生は改善はできません。

つまり、これまでの人生に片をつけるのが、「脱ステロイドをやめる」とゆうことなのですが、脱ステロイドを選んだ期間は、あなたの人生の一部です。

人生の一部、思い出を捨てるのは自分一人では無理なことも多く、慣れた人間と組まなければストレスになるだけ。

そして、最も難しいのはあなたに合った、その慣れた人間を探さなければいけないことです。

なので、症状を無くして薬を使わなくても良くするために、これまでの経緯をよく聞いて、あなたの症状に対して薬を選び、これまでとは違った角度で血液検査の分析を行い、あなたのアレルギーを全く別の方向から見直すことで、じっくり治療方針を立てなければいけません。

しかし、脱ステロイドを選ぶ方は、とても真面目でマメ。劇的に変化する方が多いのも事実です。

良くなったら、急激にさぼることも多いですけども。

5)だから、これが必要です

①何件、身近な医者を回ってもダメです

良くなってないなら、貴方にあった医者は身近にはいないとゆうことです。

あなたが良くならなかったのは、これまでは治療の選択肢が少なすぎたから、本来なら良くなるはずのものを治せていなかっただけです。

②話し合いでしか分かり合えません

症状を無くして薬を使わなくても良くするために、これまでの経緯をよく聞いて、あなたの症状に対して薬を選び、これまでとは違った角度で血液検査の分析を行い、あなたを全く別の方向から見直すことが必要です。

③脱ステロイドは合併症が問題なのです

アトピー性皮膚炎は肌だけの問題ではありません

④周りの人がすすめてもダメです

全ては、本人が変わろうと思っているかどうかです。子どもは別として。

 

【参考文献】

・Hajar, et al. Journal of American Dermato. 2015.

・Jacob S et.al. JAMA dermatology. 2014.

・Thaci D, Br J Dermatol. 159; 1348-56; 2008

・Wollenberg A, Allergy. 63; 742-50; 2008

・AAD newest guidelines for the management of AD focus on treatments; 2014

 

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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