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食物アレルギーとは

食物アレルギーとは

いつもと同じパンを食べ、いつもと同じようにマラソンをした。走り始めて30分後に全身のかゆみと息苦しくなった。全身真っ赤になり動けなくなって、救急車で運ばれた。

皮膚科に行くように言われ受診したが、うちでは対応出来ないと大学病院の皮膚科を紹介された。

大学でもうちで対応する病気ではないと言われ、近くの内科に受診したが採血して緊急時の注射だけもらって終わった。

採血の説明も良くわからないし、症状が出たら救急車を呼ぶようにとだけ言われた。日常生活をどうして良いかわからず、友人と食事をするたびに救急車で運ばれる不安をいつも持つようになった。

1.食物アレルギーは自然に治るの?

小児と成人は残念ながら違います。

#小児は、早くすればなんとでもなる

特にアレルギーは個人の体質、アレルギーを起こす物資によって症状や量が大きくことなり、他の人はこうだったは通用しません。

アレルギーは、時に命にかかわります。

残念ながら、子どもたちがアレルギーの重症型であるアナフィラキシーで、死亡する事例が数年に1回程度ありますが、成人は年間約30人程度がアレルギーのために死亡していると報告され、ほとんどは薬アレルギーです。

私がアレルギーを始めた10年以上前は、「食物アレルギーは治るから」と言われ、まったく食べないで数年過ごす(完全除去)が推奨された時期がありました。が、子どもの場合は、思われているほど自然には治らず、日常生活に大きな制限と支障がでます。なので、含有されたものを始め少しでも食べていきます。

日本では多くの母親がワンオペのため、完全除去では食物アレルギーの治りが悪いばかりか、多大な負担を強いることになります。これは小児の免疫がまだ未熟なイメージを持ってもらえば、免疫が固まっている成人よりは治りやすいことがわかるかと思います。

しかし、成人の場合、小児期からある食物アレルギーはもとより、成人発症のものは治らない、つまり食べられるようにはならないと思って頂いて構いません。特に成人だと、普段はこの程度の症状だったが、救急搬送される症状につながります。

2.食物アレルギーは食べれば治る?

食べて治す方法を「経口免疫療法」と呼びます。

「自然経過では早期に耐性獲得が期待できない症例に対して,事前の食物経口負荷試験で症状誘発閾値を確認したのちに、原因食物を医師の指導のもとで経口摂取させ,閾値上昇または脱感作とした上で,究極的には耐性獲得を目指す治療法」とされています。

これは、「どのくらいの量なら食べられるかを病院で経口負荷試験(実際に食べて、症状がでない安全な量を確認する)して、ちょっとずつ食べて治るかやってみよう」とゆうことです。

この治療は、通称食べ慣らし、「経口免疫療法」と言われています。

メディア、特にテレビでは食べれば治ると簡単に放送していますが、実際は簡単なものではありません。もちろん、小児期、特に乳児など早く始めれば始めるほど治りやすく、食べる量や食べてはいけない時をしっかりと理解して行えば、安全に行うことはできます。

しかし、もともと食べれば命に係わる症状にもなる食物アレルギーです。食べて慣らしている最中に「アレルギー症状が出る」ことも、少なくありません。

食べ物を食べるだけなので、治療だと思われないことが多いのですが、これは医学的な検証が世界中で行われている「治療」です。

そして、その症状は、その人の体質や食べた量、体調に大きく依存します。いつもは大丈夫だったは通用しません。

3.食べて治す方法

食べ慣らし(経口免疫療法)には、やり方が病院によって異なります。

治療としては、アレルギーを起こす食べ物を少量ずつ数年にわたり食べて慣らしていきます。

成人の場合、小児よりもさらに経口免疫療法が出来る医師は限られており、治療を始めても、食べれるようになるまでに1~2年はかかります。

①まず食べ始める量を病院で決めます。症状が出たときに対応できないから。

②次に週2~3回上記の量を自宅で食べます。毎日食べるのはアレルギー症状を起こす可能性が高く、また成人の場合現実的ではありません。

③月に1回受診、症状がなければ食べる量を増量していきます。

④これを1~3年続けます。

注意しなければならないのは、定期的に食べている時はアレルギー症状が出なくても、定期的に食べなくなれば、またアレルギー症状が出ることの方が多いです。治療を行っても完全には治らない人もいて、成人の場合には小児と違い治らない人の方が多いです。

また、定期的に食べることによるカロリー摂取もあります。

例えば、いくらアレルギーの治療をしたとしましょう。

1回で食べる量の最終目標が30g(80キロカロリー)だとしても、魚卵はアレルギー症状が強く、最初は0.1g程度から開始します。30gまで行くのに1~2年、そこから1年は週2~3回を摂取します。

これは1年間で12480キロカロリーに相当します。体重1㎏を減らすのに240キロカロリーの消費が必要とされていることを考えると、イコールではないにしろ体重を52㎏減らす努力が必要なくらいのカロリーになるとゆうことです。

そもそも、これまで約60人ほど成人で経口免疫療法をしてきましたが、週2~3回定期的に食べることを続けるのはかなり大変です。

なので、実際に経口免疫療法を最後まで継続できた人はゼロです。

最も長く続いた方で3ヶ月。

どのくらい詳しく説明しても、「絶対にやりますから大丈夫です」とゆう方ほど続いたためしがありません。

成人の場合、定期的に食べるよりも、完全に食べない方が断然生活が楽であることに途中で気が付くからです。

そもそも、週3~5回うどんを1食、3年間食べ続けることは現実的ではないのです。

参考文献

1) 高岡 有理. 食物アレルギーの経口免疫療法(OIT)の 安全性をふまえた方法と管理. 日小ア誌 2019;33:61‒67

2) Noh G, Lee JH. Specific oral tolerance induction using IFN—gamma in 2 cases of food— dependent exercise—induced anaphylaxis. Case Rep Med 2013;2013:259692.

3) 相原 雄幸. 食物依存性運動誘発アナフィラキシーの診療 ~その現状と課題 ~. 日小ア誌 2017;31:38—45

4) 札幌徳洲会病院アレルギー科を受診した成人アレルギー650例の検討. アレルギーの臨床. 40(3). 2020.   

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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