アトピー性皮膚炎と洗顔
アトピー性皮膚炎の場合には、ケアをシンプルにして、使わない成分を決めるだけです。
1)化学成分はダメ?
よく見かけるパラベンフリー、界面活性剤不使用・・・
フリーの方が良いと思っていませんか?
しかし、実は、現在は安全な成分、安全な量を配合された製品しか市場には残っていません。もし、パラベンが嫌だと思うと、違う防腐剤を多量に使わなくてはならない場合もあり、逆に良くありません。
そもそも、この世界にあるものは全て化学物質。
あまり気にしなくても大丈夫です。
特に界面活性剤が悪いと思われている方は、要注意。
界面活性剤とは、水になじみやすい部分と油になじみやすい部分をもつ物質のこと。簡単に言えば水と油が混ざるようにする物質です。
なにか特定の物質のことを指している訳ではありません。
でも、良くわからないので心配。
と思われる方は、両性イオン界面活性剤(コミカドプロピルベタインなど)や非イオン界面活性剤(ステアリン酸グリセルなど)などは、皮膚刺激もほぼなしで安心です。
刺激が全くないものを選びたいのが心情ですが、刺激性があるなしは個人差が非常に大きいのです。
2)世の中では、手作り、オーガニックが良いと思われています
実は市場に出回っている製品は、化学物質を調整して「安全な化粧品」を作っています。
あくまでもイメージですが、一番下の図を見てみてください。
洗浄力が弱いと、メイクによっては落ちません。なので、W洗顔を行うのですが、洗えば洗うほど肌にはダメージになります。そもそも落ちないメイクは肌のダメージがあります。
このため、市販の製品では洗浄力を保ったまま、肌へのダメージを抑えるために、様々な成分の配合が絶妙なバランスでなされています。
一方で、手作り化粧品の場合、科学知識を持って作らない限りはこれができません。
化学実験を人体でしているいイメージです。
例えば、手作り石鹸が洗浄力弱めで肌に優しいと思われている方は少なくありませんが、市販品の方が洗浄力は調整されています。
アトピー性皮膚炎の治療で、軟膏を使っている場合には、洗浄力が弱いとステロイド軟膏が全く取れないので、無添加せっけんタイプが必要な場合も多いですが、治療が進んでいけば違う製品に変更して大丈夫です。
また、オーガニック製品も内容や精製度合いが解らないことも多く、あえて選ぶ必要はありません。
また、アトピー性皮膚炎の場合には、肌バリアーがデリケートなため、皮膚からの吸収が一番アレルギーを引き起こします。
アトピー性皮膚炎を持っている方は肌がデリケートです。
手づくりは禁なのです。
3)実は、化学成分の方が安全です
上記の理由で、化学成分なら安全に調合できます。
副作用も出る出ない、肌が荒れやすい荒れにくい成分はもともとわかっているので、アトピー性皮膚炎を持っている場合、こちらの方が私は安全だと思っていますs。
肌に刺激が少なく、洗浄力もある製品として、ラウレス酢酸・カルボン酸Na、ココイルメチルタウリン酸Na、ラウロイルメチル~などの成分が洗浄力が弱~中ですが、多くの製品は洗浄力が強い成分と弱い成分を組み合わせて調整しているので、一概には言えません。主治医に聞くか、自分で試してみる必要があります。
4)食物、植物成分が良いと思われています
アトピー性皮膚炎は肌からの刺激が最もその成分のアレルギーを引き起こします。このため、食物成分、植物成分入りは極力さけましょう。
ちなみに、花粉症がある場合、植物成分入りの化粧品は肌荒れや痒みの原因になります。
私もイネ科、シラカバ、ヨモギの花粉症があるため、オーガニックタイプや食物成分が豊富な化粧水やクリームは肌が極端に痒くなります。
出来るだけ、避けるのが無難です。
5)だから、これが必要です
①洗いすぎない
洗いすぎは皮膚のバリアーを壊します。強い洗浄力の製品、一日2回以上の洗顔は入院治療中や退院直後でステロイドを1日2回塗布しているのではない限り多いです。
②食物、植物成分は絶対ダメ
アトピー性皮膚炎を持っている場合には、皮膚からの刺激が一番アレルギーになります。
③ケアをシンプルにする
美容液やクリ―ムを多種類使うのは、何に反応して皮膚が悪化するかわからないのでリスクが高いです。お勧めできません。
参考文献
・かずのすけ.オフスキンケア. KADOKAWA
・化粧品成分検定公式テキスト.実業之日本社
・・Adomaite I, etal. Foodallergens in skincare products marketed for children. Contact Dermatitis. 83(4):271-276, 2020.