キウイアレルギー

キウイフルーツアレルギーを知っていますか?
健康的で栄養豊富なキウイフルーツですが、実はアレルギー反応を引き起こすことがあるのをご存知でしょうか?
キウイフルーツアレルギーとは?
キウイフルーツアレルギーは、1981年に初めて報告されて以来、世界的に増えてきている食物アレルギーの一つです。
特にヨーロッパでは、果物アレルギーの中でも最も多いものの一つとなっています。
キウイの生産量は世界中で年々増加しており、2021年には約446万トンものキウイが生産されました。
食品産業でもキウイ関連の製品が増えていることから、キウイアレルギーへの注意が必要となっています。
どんな症状が出るの?
キウイアレルギーの症状は人によって様々です。軽い症状から命に関わる重い症状まであります。
よくある症状:
- 口の中の違和感: 唇や口の中、舌のかゆみやピリピリ感
- 皮膚の症状: じんましんや皮膚の腫れ
- 呼吸器の症状: 鼻水、目のかゆみ、咳、ゼーゼーする呼吸
- 胃腸の症状: 食べた後すぐに吐き気や嘔吐
- 重い症状: 血圧低下、意識がもうろうとする
- アナフィラキシー: 全身に出る最も重い反応
研究によると、キウイアレルギーの人の65%が口の中の違和感を感じ、18%の人がより重い症状を経験しています。症状は通常、キウイを食べたり触れたりしてから2時間以内に現れ、数時間で治まることが多いです。
興味深いことに、子どもは大人と比べて、初めてキウイに触れたときに反応を示すことが多く、また全身に症状が出やすいという報告もあります。
なぜキウイアレルギーが起こるの?
キウイフルーツには、体の免疫システムが反応してしまう物質(アレルゲン)がいくつか含まれ、現在までに13種類のアレルゲンが見つかっています。
特に重要なのは「アクチニジン」というタンパク質で、キウイに含まれるタンパク質の約半分を占めています。
このアレルゲンは完熟したキウイに多く含まれています。
キウイアレルギーと他のアレルギーとの関連性
キウイアレルギーの特徴的なところは、他のアレルギーとの関連性が高いことです:
- ゴム手袋などのラテックスとの関連: ラテックスアレルギーの人の約30-50%がキウイなどの特定の食べ物にも反応することがあります。
- 花粉との関連: 特に白樺の花粉やイネ科の花粉アレルギーがある人は、キウイにも反応しやすいことがあります。
- 他の果物との関連: アボカド、バナナ、リンゴなどにアレルギーがある人は、キウイにも反応することがあります。
地域によっても症状の出方が異なることがわかっています。北欧の人々は呼吸器や心臓に関わる重い症状が出やすい一方、中央/西ヨーロッパや南ヨーロッパの人々は主に口の中の違和感を感じる傾向があります。
キウイの種類による違い
キウイフルーツには主に以下の種類があります:
- グリーンキウイ
- ゴールドキウイ
- ハーディーキウイ(小さめのキウイ)
グリーンキウイにアレルギーがある人の多くは、ゴールドキウイにも反応を示すことがわかっています。
研究では、グリーンキウイアレルギーのある5人中4人がゴールドキウイでも症状が出ました。
ただし、「紅妃」など一部の品種は、主要なアレルゲンであるアクチニジンの含有量が少ないため、アレルギーのある人にとって比較的安全な選択肢になる可能性もあります。
しかし、他のアレルゲン成分が含まれている可能性もあるため、過去にアレルギー症状が出たことがある方は注意が必要です。
どうやって診断するの?
キウイアレルギーを診断するには、いくつかの方法があります:
- 皮膚検査: キウイのエキスや新鮮なキウイを使って、皮膚に少量を付け、反応を見る検査です。
- 血液検査: キウイに対する特定の抗体(IgE)を測定します。
- 食物負荷試験: 医師の監督のもと、少量のキウイを食べて反応を確認する方法です。これが最も確実な診断方法とされています。
スペインでの研究によれば、新鮮なキウイを使った皮膚検査が最も診断能力が高いことがわかっています(感度81.8%、特異度94.1%)。
キウイアレルギーへの対応
キウイアレルギーの対応は他の食物アレルギーと同様に、主に以下の方法があります:
- キウイを避ける: アレルギー症状がある場合は、キウイの摂取を避けることが基本です。
- 緊急時の準備: アナフィラキシーのリスクがある患者さんは、エピペン®などのアドレナリン自己注射器を携帯するなど、緊急時の対応策を講じることが重要です。
- 関連するアレルギーに注意: ラテックスや花粉、他の果物に対するアレルギーの可能性にも注意しましょう。
- 加工方法による対策: 熱処理、超音波処理、化学的処理などの食品加工方法によって、キウイのアレルギーを引き起こす力を弱められる可能性があります。
キウイアレルギーと遺伝
キウイアレルギーには遺伝的な要素も関係している可能性があります。食物アレルギー全般について、家族内での集まりやすさが研究で示されています。
キウイアレルギー(特に重いアナフィラキシー反応)の家族歴を持つ31歳男性の例も報告されており、キウイアレルギーの発症に遺伝的要因が関与する可能性が示唆されています。
まとめと注意点
キウイフルーツアレルギーは世界的に増加傾向にある重要なアレルギー疾患です。症状は口の中の違和感から命に関わるアナフィラキシーまで様々です。
アクチニジンを始めとする複数のアレルゲンが特定されており、ラテックスや花粉との関連性も重要な特徴です。診断には皮膚検査や血液検査、食物負荷試験が役立ちます。
対策は主にキウイを避けることが基本で、重い症状が出る可能性がある場合はアドレナリン自己注射器の携帯が推奨されます。
クリニックでは、キウイアレルギーが疑われる場合は適切な検査を行い、他のアレルゲンとの関連性にも注意を払っています。
特に子どもでは全身性の反応のリスクが高いことを認識し、適切な対応策を立てることが大切です。
今後の研究では、キウイアレルギーの発生率と重症度に関する大規模な調査や、アレルゲン成分の詳しい分析、アレルギーを起こしにくいキウイの品種開発などが期待されています。
キウイを食べた後に違和感を感じたことがある方は、自己判断せずに医療機関を受診することをお勧めします。適切な診断と対策で、安心した生活を送りましょう。
もし何か質問や心配事があれば、いつでも当クリニックにご相談ください。皆様の健康をサポートするため、私たちはここにいます。

