バナナアレルギー
このようなお悩みの方が受診しています
- なやみ
札幌市南区のアレルギー科・小児科(アレルギー)のアルバアレルギークリニックです。
当院をご利用いただき、誠にありがとうございます。
アトピー・かゆみの治療の患者様に多数ご来院いただいています。
1)バナナとは
バナナは、バショウ科バショウ属の食用品種群の総称で、別名は甘蕉(かんしょう)、実芭蕉(みばしょう)とも呼ばれます。東南アジア
原産で、多年性植物です。
他の果物よりも食物繊維とカリウムを多く含み、ビタミンB群、ビタミンC、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ポリフェノールなども含みます。
生食が一般的ですが、多くの料理にも使用されます。
バナナの利用法には、生で食べるほか、スムージーやパン、ケーキ、ジャム、デザートなどに調理されたり、フルーツサラダやヨーグルトに加えられることもあります。
日本以外の国では、Pisang Awak、Cavendish、Leb-mue-nang、Lady’s fingers、Silver Bluggoeなど様々な種類のバナナがあり、「野菜」の立ち位置で使用されています。
手軽で、1本が約86キロカロリーが低めのため、ダイエットで食べられることも多い果物です。
また、バナナは活性酸素を取り除く、抗酸化作用のあるポリフェノールを含んでおり、ポリフェノールは、 熟したバナナほど多いとされています。
乳児でも食べやすいために、離乳食にも使用されます。
2)バナナアレルギーとは
成人におけるバナナアレルギーは世界的にも増えていると報告されていますが、日本では乳児、成人ともに減少している印象があります。
一方で、バナナアレルギーの人のうち、アトピー性皮膚炎や喘息患者を合併しているのは、それぞれ46%から67%といわれ、アトピー性皮膚炎や喘息がない患者さんはでは、0.04%から1.2%程度とも報告されています。
バナナアレルギーの原因として、バナナに含まれる少なくとも5つのタンパク質が関与しています。これらのタンパク質は、他の果物やラテックス、ブタクサ、花粉との交差反応性に関連しています。特に、Mus a 1(プロフィリン)、Mus a 2(キチン結合タンパク質)、Mus a 3(脂質転移タンパク質)、Mus a 4(タウマチン様タンパク質)、Mus a 5(ß-1,3-グルカナーゼ)などの病因関連タンパク質が、バナナと他の果物の交差反応性に影響を与えています。
また小児バナナアレルギーのうち65%は花粉症を持っており、ほとんどイネ科の花粉(91%)、オリーブ科の花粉(82%)および/またはヒノキ科の花粉(61%)の花粉症がありとも報告されています。
他の果物アレルギーを合併していることも多く、最も多かったのはキウイ(83.5%)、アボカド(71.1%)、ブドウ(44.0%)、ドリアン(43.6%)、柿(58.8%)、ピーナッツ(29%)、ヘーゼルナッツ(27%)、モモ(27%)、メロン(20%)などでした。
このほかにスイカ、トマト、バナナ、パイナップル、キウイ、アプリコット、柑橘類など様々な果物と交差反応する可能性があります。
バナナアレルギー患者は、他の果物アレルギーにも注意する必要があります。
また、東南アジアではFicus benjamina(シダレイチジク)という観賞植物に由来するフィカス樹木花粉に感作されることがあります。
フィカス・フルーツ症候群としても知られるこの感作は、フィカス樹木花粉に対する感作と、イチジク、パパイヤ、バナナ、パイナップル、ドリアンなどの熱帯果実や外来果実に対する陽性反応があることで特徴づけられます。
さらに、アボカド、キウイ、ジャックフルーツのアレルギーもフィカス・フルーツ症候群と関連しています。
この感作は、天然ゴムラテックスアレルギーとは異なる症状を引き起こすと考えられており、フィカス関連アレルギーの主なアレルゲンはヘベイン様タンパク質ではなく、チオールプロテアーゼです。
これらのアレルゲンは、イチジク、パパイヤ、パイナップル、キウイなどの果物にもアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
さらに、ブタクサ花粉と食物アレルギーの関係は、ブタクサ-メロン-バナナ連合として知られ、ブタクサに対する花粉症の患者さんで起きてきます。ブタクサ-メロン-バナナ連合は、バナナだけでなく、メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリなどのウリ科の植物が関与しています。
世界中でブタクサの花粉症は増えていますが、なぜか日本だけブタクサ花粉症は減少しています。日本でバナナアレルギーが少ないのは、このような背景があるのかもしれません。
バナナのアレルゲンであるMus a 3は、熱に対して強いため、バナナを加熱・調理しても食べられない人が多いです。
また、以前はラテックスアレルギーと関連あるとも言われていましたが、ラテックスを使っても即時型反応、すなわち接触蕁麻疹、血管浮腫、アナフィラキシーを報告したのは8人(8.1%)のみとも報告されており、現在では関係なさそうだと言われています。
3)バナナアレルギーの症状
口の中が痒いからアナフィラキシー、蕁麻疹、血管浮腫、喘鳴、アトピー性皮膚炎の増悪、胃腸症状などの症状があります。
最も多いのは口のかゆみが53%に認められ、アナフィラキシーを含む全身反応(主に蕁麻疹と嘔吐)は47%に認められたとの報告もあります。
ただし、乳児で多いのは「腹部の湿疹」ですが、成人では「口腔内の掻痒」が多いです。
バナナアレルギーの約93%の人は生のバナナで症状を経験しますが、調理したバナナを摂取した際に症状を経験する患者さんは15%から59%程度と少なくありません
したがって、バナナアレルギーの患者は生のバナナだけでなく、調理されたバナナにも注意を払う必要があります。
バナナアレルギー発症年齢は乳児もしくは成人で平均33.0歳とも報告されています。
それ以外の年齢でのバナナアレルギーはあまり見たことがありません。
また女性に多く、133例中96例(72.2%)が女性との報告もあります。一方で66.2%に他のアレルギーの既往があり、その多くはアレルギー性鼻炎(58.6%)、慢性蕁麻疹(9.8%)、喘息(6.8%)とも言われています。
バナナアレルギーの発症後に他の果物から生じた反応の4分の1ではアナフィラキシーを起こしているとも言われていますが、日本ではバナナによるアナフィラキシーは少ないです。
4)バナナアレルギーは治るのか?
バナナアレルギーは一般に治療が難しく、特定の治療法が存在しません。
印象的には乳児のバナナアレルギーの場合1歳までに治れば大丈夫ですが、1歳過ぎると治らない印象です。
もちろん、成人では自然には治りません。
アレルギーの症状がアナフィラキシーに進行する可能性もあるため、自己注射用エピネフリンを携帯することも考えてもよいでしょう。。