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コラム

小麦アレルギーは救急車

「いつもと同じパスタを食べ、いつもと同じようにマラソンをしただけなのに、全身真っ赤になり動けなくなって、救急車で運ばれた。

近くのクリニック受診したが、うちでは対応出来ないと大学病院を紹介されたが、大学でもうちで対応する病気ではないと言われ、症状が出たら救急車を呼ぶようにと言われただけ。日常生活をどうして良いかわからず、常に不安。

小麦のアレルギーかもと言われ採血したけど、小麦に反応はないけど、卵に反応があると言われた。

反応ってなに?アレルギーってこと?

採血では大丈夫なはずなのに、それからはパンやうどんでも食べるとお腹が痛くなったり、逆に、卵アレルギーだと言われたのに食べてもなんともない。

他のクリニックに行ったが、医師にそんなアレルギー聞いたことないと言われ、どうしたら良いのかわからない。」

実は、食物アレルギーの採血は、年齢、食べ物、症状、合併するアレルギーによって、見るべきポイントと対応が全く違ってくるので、幅広い経験と知識が必要です。

1)成人の小麦アレルギーは突然もしくは徐々に起きる

成人の小麦アレルギーは、ほとんどのケースで「命の危険性のあるアレルギー:アナフィラキシ―」を起こしますが、ごく一部が徐々に起きてきます。

小児と違うポイントは3点です。

①ある日突然発症する(少ないけど徐々に症状がでる人もいる)

②症状は突然アナフィラキシーで救急車(徐々にタイプの人は腹痛)

③アナフィラキシ―は、「運動+小麦の組み合わせ」の時に出る(徐々にタイプは小麦だけ)

小児の場合には、皮膚(じんま疹など)と呼吸(ゼイゼイするなど)に症状がくることが多い印象ですが、成人では90%がアナフィラキシーで、10%程度の方は腹痛の印象が強いです。

2)世の中では、未だに遅発性小麦アレルギーと言われてる

成人の小麦アレルギーは症状がでることが早く、ほとんどが食べて2時間以内に症状が出ます。

自分で気が付かないことはありません。

現に、徐々にタイプの方で私のところに受診される方は、「小麦を食べると腹痛が出る、しかし食べないとでない。アレルギーですか?」と言った主訴で、自分でいろいろ試した結果怪しいので受診されます。

そもそも、この状態は遅発性でもありません。

そして、小麦の遅発性アレルギーは、採血では絶対にわかりません

ちなみに、我々は成人の小麦アレルギーではIgG4 を計測することはないですし、そもそもIgG4は抑制抗体と呼ばれ、アレルギーが治ってくるときに出てくるものです。

#学会は公式に否定されている

3)私はこう思います

患者さんがどこに受診すれば良いのかがわからないことが、大きな症状を繰り返す原因だと思います。また、多くの医師もどこに紹介して良いのかわからず、紹介された医師だけでは危険なので診れないので、たらい回しになることが非常に多いです。

なので、もし紹介された先の医師に「うちでは診れない」と言われたら、粘って通っても問題は解決しません。

諦めて、違う医師を紹介してもらうか探すのが、現実的なのです。

4)現に、死ぬ目に合う人がいます

成人の小麦アレルギーで、アナフィラキシ―を起こした場合、小児よりひどいです。症状が出るのは、マラソンか出勤途中が大半で、マラソン中に意識を失って公園や道で倒れているところを発見されることもしばしば。

運よく目が覚め、自力で救急車を呼ぶ方もいます。

発見されなければ、死亡していた可能性が高いです。

しかし、突然大きな症状が出る一方で、小麦が原因だと気が付かないまま、診断がつけられないままに複数回救急車で搬送されてから、受診される方も多くいらっしゃるのが現状です。

5)だから、こうした方が良いです

①問題を解決することが目的

これからどうしたら良いのか、他に気を付けなければいけないものがあるのかがわかれば、大丈夫です。採血を解釈するには知識とポイントを押さえることが必要です。

②記録をつければ解決する

病院が解らない、すぐに病院に行けない時は、記録が大切です。

症状が出た日と食べたものを記録する患者さんは、大体自分で見当をつけてから受診されます。

そのうえで、怪しいと思ったものは食べるのをやめて、症状が出るかどうかを確かめてみます。あくまでも自宅で出来る最良の方法ですが、病院ではもっとピンポイントに診断できますが、やっていることは同じです。

③緊急用の薬は持ち歩く

緊急時に使うエピペンと抗アレルギー剤の内服は常備した方が良いでしょう。

内服は、腹痛がメインの場合には効果を発揮します。

食べないことが原則ですが、会食など間違えて食べてしまう可能性がある時には、事前に飲んでおくとまだ症状がマシになります。

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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