乾燥肌の時点でアトピー性皮膚炎の可能性がある
自分自身は子どもの頃からアトピー性皮膚炎と喘息を持ち、いつも痒くて、時々苦しいことが続いている。
自分の子どもも、兄弟揃って乾燥肌で、3歳になっても様子をみましょうと言われるばかりで何も良くなってない。
こんなものかと思っていたら、アレルギーをたくさん持っていた自分の姉は、今は症状がなくなっていた。
姉は妊娠中も治療はやめてはいけないと言われており、生まれてくる赤ちゃんのために、妊娠後期から母親は乳酸菌を毎日摂り、出産後すぐから全身保湿剤を塗ることを教えられていた。
そのせいか、姉の娘は肌トラブルが一切ないばかりか、アレルギーもない。
姉の話では、ドライスキンはすでに肌のバリアーが壊れている状態だとゆう。
1)乾燥肌は普通の状態ではない
子どもの乾燥肌は普通の状態でしょうか?
少し考えてみたいと思います。
通常ドライスキンは、生後6ヶ月以降から増え、ドライスキンはすでに皮膚バリア機能が異常の状態だと言われています。
また、小児のドライスキンは、アトピー性皮膚炎においては、良くある状態です。
アトピー性皮膚炎の診断がついていなくても、いずれアトピー性皮膚炎に進展するか、すでにアトピー性皮膚炎であるかの可能性が指摘されています。
つまり、何らかの対応が必要な状態で、様子を見る選択肢はありません。
2)世の中では、子どもでは普通だと思われています
前述のように、ドライスキンは普通の状態ではありません。
周囲の方に「うちの子どもも~」と言われたとしても、その方の体験談なので、ドライスキンが普通の状態だと考えてはいけません。
大人でも、ドライスキンになると痒みがでると思います。
子どもだから大丈夫だとゆうことはなく、痒そうに見えない、痒いと言わないは通じません。
だって、物心ついた時にドライスキンであれば、それが普通の状態になっていますから。
3)私は乾燥肌はアウトだと思います
ドライスキン=乾燥肌は、「アトピー性皮膚炎もしくはアトピー性皮膚炎になる可能性がある状態」のことを指すと考えます。
アトピー性皮膚炎を発症すると、次々に他のアレルギーを起こすアレルギーマーチに進展していきます。
このため、出来るだけ早期に対応して治療していかなければ、将来の自分や子どもたちに「治らないアレルギー」とゆう、借金を生涯にわたって背負わせることになります。
4)現に、沢山のアレルギーになって受診する
IgEが上がる、簡単にゆうとアレルギー体質が進んでしまっている方も多く、現に、沢山のアレルギーになってから受診される方がほとんどです。
本当に典型的なアトピー性皮膚炎は
- 乳児湿疹と呼ばれる状態からスタート
- 軽い頬の湿疹→手足の湿疹に広がっていく
- ごく軽度の紅班を伴う乾燥が最も一般的なパターン
この時に適切な対応をしないと、全身に広がり、長引く強い炎症を引き起こし、慢性化する。
つまり、アトピー性皮膚炎です。
5)だから、保湿で対応できるうちに
不安があれば、キチンとしたプロにつくことをお勧め致します。
①保湿だけでも、アレルギー体質は改善する
ドライスキンの状態で、アレルギー体質が進んでしまった場合、保湿だけでもIgE(アレルギーを起こす主細胞)が減少することが解っています。
病院にいかずとも出来ることがあります。
②保湿はどのくらい塗れば良いのか?
軟膏の場合、ティシュがくっついて落ちないくらいです。
この量は、保湿でも変わりはありません。
ドライスキンを改善させることが目的の場合、保湿の種類はその人の肌タイプで決めるべきであり、塗りやすさで決めるべきではありません。
保湿力の目安として、軟膏>ローション>フォームタイプと覚えておくと良いでしょう。
③良くなったら、すぐ止める?
保湿は良くなってから、すぐに塗るのをやめた場合、確実にドライスキンは再発します。
ドライスキンの改善のみならず、アレルギー体質改善も目的としています。
1~2年程度は継続が必要です。
中止の目安は必ずプロと相談しながら行うと良いでしょう。
私は、アレルギーとゆう名前の借金を減らすことを仕事にしています。
すべの人をアレルギーから解放し、将来に引き継がれる「借金」を無くし、自由になって頂くのが私のアレルギー医としての仕事です。
【参考文献】
Skin Pharmacol Physiol 2016;29:148–156
Pediatr Allergy Immunol. 2020 Aug;31(6):699-703