大豆アレルギー 小児と大人の違い
札幌市南区のアレルギー科・小児科(アレルギー)のアルバアレルギークリニックです。
豆腐を食べさせたら、20分くらいで全身に蕁麻疹と咳が出て病院に運ばれた。かかりつけに言ってと言われたので、アレルギーの専門と言われているクリニックに行ったが、大豆は反応がないと言われた。
時々採血されても様子を見ましょうと言われ、何年も治療が進まない。
小学校が不安になり、同じ食物、卵アレルギーの子を持つ友人に相談したら、友人のかかりつけ医は採血の説明や検査項目自体が全く違っており、食物アレルギーは採血以外にも検査を組み合わせるとゆう。
採血の値が低くても全く卵が食べられなかった友人の子どもの話から、アレルギーの採血結果で話が盛り上がったところ、友人の子どもは少しずつ食べる治療を行い、去年には卵は食べられるようになっていた。
治っていない自分の子どもをみて悲しくなったら、かかりつけのアレルギー医を紹介してくれた。
実は、食物アレルギーの採血は、年齢、食べ物、症状、合併するアレルギーによって、見るべきポイントと対応が全く違ってくるので、幅広い経験と知識が必要です。
1)乳児期発症の大豆アレルギーは治りやすい
大豆アレルギーは、他の食物アレルギーに比べて治りやすいアレルギーです。
4歳までに25%、6歳までに45%、10歳までに69%が食べられるようになってました1)。
ただし、これは乳児期に発症した場合。
治る子たちは、3歳頃をピークとして採血の「大豆の値」が下がっていくのに対して、治らない子たちは採血の値が下がらず8歳ころがピークとなります2)。
つまり、3歳までに採血の値が下がらなければ、「治るのは難しい」と予想できます。
つまり、私たちは採血で大豆アレルギーを診断するとゆうよりは、「採血の値が高ければ治りにくい」と判断しています2)。
「3歳までに治ってない」、「採血の値が高い」は治りにくいサインなんです。
2)大豆アレルギーは、大人のアレルギー
大豆アレルギーは、全体としては人数が少ないアレルギー、特に小児では少ないです。
イギリスでは0.4%しかおらず、日本では上位10位以内にも入っていません2、3)
ただし、北海道の成人では、花粉症に関連したアレルギーの一つとして「大豆アレルギー」が発症します。アレルギー症状はひどいですが、大豆アレルギーの人は少なくないです。
成人の大豆アレルギーの場合には小麦アレルギーと違い、ある日いきなりアナフィラキシーになることはありません。
最初は疲れている時だけ、豆腐や豆乳を食べると唇がかゆい、腫れるなどの症状がでます。疲れている時だけなので、ほとんどの場合、自分がアレルギーだとは気が付きません。
1年くらいしてからは、常に唇がかゆい、プロテインで腹痛が毎回でるなどの症状が出てきて、自分がアレルギーだと気が付きます。
3)スキンケアをして、早く食べることだと思います
小児の大豆アレルギーになることを予防するためには
①アトピー性皮膚炎にさせない
②なったとしたら、すぐに治療して症状ゼロにしておくこと
③①、②の上で離乳食は遅らせないこと
です。
成人の大豆アレルギーの場合、成人になってから大豆アレルギーになることを予防する、つまり小児のうちから解決することが望まれます。
北海道では、
ダニアレルギー→アレルギー性鼻炎→花粉症→果物・野菜アレルギーの順で進展することがわかっています。
このため、ダニアレルギー→アレルギー性鼻炎の時点で対応しておけば、何とかなっている子が多いです。
ダニアレルギーの治療をすると、半分以上の子が花粉症に進展しない印象があります。
つまり、成人の大豆アレルギーを予防するには、ダニアレルギーの治療を行うことが大事ではと思っています。
4)大人になってから、大豆アレルギーになると酷いです
成人になってからの大豆アレルギーはひどいです。
小麦と同じく、進展するとアナフィラキシーを起こすことが多いです。
私のところに受診される方は、多くの方がアナフィラキシーを起こしています。
原因は、豆乳を含めた飲み物です。特にスムージーで症状を起こす方が多い印象です。
また、大豆アレルギーになっているからは、ほとんどがアレルギーマーチの状態になっており、大豆だけにとどまらず、ナッツ類、鎮痛剤、抗生剤にもアレルギーを併発していることが普通です。
参考までに、成人の大豆アレルギーの場合には、大豆の採血は「glym 4」と呼ばれる項目で判断致します。
小児では「glym 4」が上昇していることが珍しく、逆に言えば、上昇しているだけでかなりのアレルギーなのです。
5)まとめ
①3歳まで治ってなければ
早急に治療しましょう。専門に相談が必要です。
②症状は重くなりやすい
スキンケアと食べて慣らす方法が必要です
③大人の大豆アレルギーは他のアレルギーも起こしている
ナッツ類、鎮痛剤、抗生剤アレルギーを併発していることが多いです。
治療内容
- 治療内容:食物に関連した採血を分析。結果をもとに個人に合った対策を行います。
- 費用:保険診療の範囲内。
- 考えられる副作用:特にありません。
参考文献
- Savage JH, et al. J Allergy Clin Immunol. 2010. PMID: 20226303
- 海老澤元宏編. 症例を通してまなぶ年代別食物アレルギーのすべて 改訂2版.
- Turnbull JL, etal. Review article: the diagnosis and management of food allergy and food intolerances. Aliment Pharmacol Ther. 41(1):3-25, 2015.
- P. Taramarcaz, etal. Soy anaphylaxis. 56;8, 2001.