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子どもの花粉症

子どもの花粉症

札幌市南区のアレルギー科・小児科(アレルギー)のアルバアレルギークリニックです。

本日は子どもの花粉症治療について、お話したいと思います。

1)子どもの花粉症

花粉症は自然に治ることはありません。

花粉症の人は増えるだけなのですが、原因となる花粉には大きな地域差があります。

日本では、スギ,ハンノキとシラカンバの花粉が原因の花粉症が最も多い花粉症の原因で、イネ科、スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、すずかけのきなどです。

例えば、北海道以外ではスギ花粉がメインですが、北海道では飛んできて函館くらいです。

北海道では花粉症の原因となる植物は他地域とは異なり、主としてシラカンバ、ハンノキですが、イネ科、ヨモギ(キク科)、ブナ、コナラ、ヤナギ、タンポポなどがあります。

これは九州でも同様で、九州地方にしか生えていない草ならではの花粉症があります。

実は、花粉症の傾向は成人でも小児でも変わりません。

つまり、花粉症が増えているとゆうことは、子どもでも花粉症が増えているとゆうことです。

子どもではシラカンバは最も増えていますが、なかでもイネ科とヨモギを含むキク科の花粉症は増えている印象です。

中でも秋の花粉ヨモギが成人よりも増加しています。

一方で、ブタクサ花粉症は世界中、特にヨーロッパで増えていますが、日本だけ生息数が激減しています。

さらに北海道ではほぼ自生していないと言われています。

しかし、北海道では花粉症だと気が付かない子どものほうが多いです。

これは北海道では、四六時中飛んでいるスギ花粉と比べ、シラカンバの花粉飛散量が格段に少ないためで、年によって200倍差があるくらい飛散量に差があります。

つまり、多くの子どもは、花粉が多い年や風が強い日などにしか症状を感じません。

例えば、「よくわからないけど、今日は目が痒かった」、「車に乗るときだけ目が痒かった」などで、花粉症状を自覚することが少ないのです。

2)花粉症からの果物・野菜アレルギー

北海道では、花粉症から果物・野菜アレルギーになることが風土病のように多いです。

なぜなら、花粉アレルゲン(花粉のアレルギーを起こす原因物質)と一部似た構造を持つ食物アレルゲン(食物のアレルギーを起こす原因物質)を、体は同じものとしか判断しません。

これを交差反応と言いますが、このことで生じる果物・野菜アレルギーを花粉・食物アレルギー症候群(Pollen-Food Allergy Syndrome:以下PFAS)と呼び、近年では顕著に増加、若年化しています。

数年前までは、30歳くらいの人達は15-6歳くらいから果物・野菜アレルギーを起こしていましたが、ここ数年は5歳くらいから起こすことも多くなってきました。

つまり、花粉症患者が増加、さらに若年化しているため、必然的に果物・野菜アレルギーも増加、若年化しています。

原因となる花粉としてはカバノキ属(シラカンバ)が代表であり、北海道のシラカバ花粉症の30~50%、ヨモギ花粉症の40%が果物・野菜アレルギーを発症するとされていますので、シラカバ花粉症がメインの北海道では、風土病とゆうことになります。

私は日本花粉症学会で役職についているため、花粉症と果物・野菜アレルギーにはそれなりに詳しいです。

しかし、一般的に子どもでは果物・野菜アレルギーは稀、さらに救急車で搬送されるような状態になるとすら思われていません。

実際は、私のところに受診した12%の人がアナフィラキシーを起こし、時に救急車で搬送されていました。

果物・野菜アレルギーで、私のところにくる約40%が子どもです。

低年齢の小児期に花粉症や果物・野菜アレルギーを発症することは、罹病期間の長さから成人より生活の質の低下につながります。

3)子どもの花粉症治療

印象的に、シラカンバ花粉症の時期には、4人に1人はすべてのアレルギーが悪化します。

気管支喘息がこれまでの薬では呼吸苦や咳がでるようになり、アトピー性皮膚炎は悪化します。特にアトピー性皮膚炎はスギもそうですが、イネ科雑草の花粉のシーズンでも悪化することが分かっています。

スギではもっと多く、気管支喘息では30~60%の人が悪化するとも報告されており、花粉症は眼・鼻の症状がだけがあるわけではなく、花粉症は全身のアレルギーが悪化する内科の問題とゆうことです。

そして、花粉症は自然に治ることはないので、花粉症の人は増えるだけなのですが、根治させる治療は日本では一般的ではありません。

この治療は免疫療法と言って、日本ではスギならびにダニのみが保険適応ですが、花粉症を根治させる一般的な治療は、先進国と言われる国では日本だけほとんど保険がききません(アメリカから薬を輸入するしかありません)。

逆に言うと、スギとダニは根治(完全に治す)が健康保険で治療できるのですが、ほとんど知られていませんし、行っている施設も少ないのが現状です。

4)子どもの花粉症対策

ここは北海道なので、関東と関西のスギはおいておきます。

北海道では、花粉症の原因になる花粉は飛散量が少ないので、花粉が多い年(つまり、眼、鼻が痒くなる年)は、自分の花粉のシーズンは諦めて抗アレルギー剤を飲み、点鼻で治療します。2~4ヶ月くらいです。

眼の掻痒は、抗アレルギー剤を飲んでも収まらないので点眼を使います。

眼が痒くなると1週間以上は痒いし、掻けば掻くほどひどくなるので、出来るだけ早く点眼を使用します。

点眼は1日4回、2回では少ないので効果はいまいちです。個人的には1日2回の製品より、1日4回の製品のほうが効果は高い印象です。

スギのように、眼鏡・花粉を払うなどの対策をするより、薬を使ったほうが早いし効果があります。

しかし、この治療は対症療法と言って、治してくれるわけではありません。

治すには免疫療法しかないのですが、スギしか保険がききません。

じゃあ、自由診療でアメリカから薬を輸入することもできます。

北海道ではダニアレルギー→アレルギー性鼻炎→花粉症→果物・野菜アレルギーと進むので、根本のダニアレルギー治療を行えば、花粉症のシーズンになっても気にならないレベルまで落とせる人が大半の印象です。

そもそも、私がそうですから。

5)だからこれが必要です

①NGは抗アレルギー剤を使い続ける

治るわけではないので、毎年繰り返します。

②ダニアレルギーの治療を行う

シラカバ花粉症と果物・野菜アレルギーも症状がでなくなる人が大半です。


【参考文献】

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記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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