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職業別・手荒れ対策|看護師・美容師が今すぐできる予防と治療法

職業別・手荒れ対策|看護師・美容師が今すぐできる予防と治療法

職業による手荒れ

「仕事で手を洗う回数が多くて、指先がガサガサ…」「ハンドクリームを塗ってもすぐにヒビが入る」

そんな悩みで仕事のモチベーションや生活の質を下げている方は多いです。

特に看護師・美容師・歯科衛生士など“水仕事”や“消毒作業”が日常の職業では、指先はまさに“商売道具”。

毎日使うからこそ、早めの対策と正しい治療が重要です。


なぜ治りにくいのか

手荒れは

「頻回の脂質除去(手洗い/消毒)」→「角層剥離」→「乾燥」→「バリア破綻」

という連鎖で生じます。

一度バリアが壊れると、以前は平気だった洗い物やハンドクリームさえ刺激となり、症状が慢性化します。

報告では、医療従事者の手荒れの有病率は非常に高く(多数の研究で80%前後)、発症は就業開始後6か月以内に多いとされます。放置すると悪化しやすく、改善までに長期間を要するケースが多い点が問題です。


手荒れの主な原因

物理的/化学的刺激:頻回の手洗い・アルコール消毒・洗髪などで皮脂と角層を奪う。

バリア機能の破綻:乾燥→微小亀裂→炎症→更なるバリア低下の悪循環。

職業的曝露の継続:仕事を続ける限り原因が残るため回復が遅れる。

二次的問題:バリア破綻は感作(アレルギー化)を招き、食品・植物に対する新たなアレルギーにつながる可能性がある。


予防が最重要

仕事で手荒れを避けられない場合でも、発症前からの予防で発症率と重症度を大幅に下げられます。

具体策は次の通りです。

予防的保湿を習慣化する

出勤前、休憩中、就業後にこまめに保湿(塗布回数が効く)。

手洗い・消毒の“やり方”を工夫

強い界面活性剤や熱湯は避け、ぬるま湯+低刺激洗剤を推奨。

作業用手袋の活用

洗髪や水仕事時は、可能なら肘下までの防水手袋(ニトリル等、粉なし)を使用。

手袋は内側が濡れたら交換する(長時間湿潤状態は逆効果)。

学校・職場教育の導入

デンマーク等の例から、入職時・学校教育での手荒れ予防指導は有効。

塗る回数を増やすことが効果に直結します。


手荒れの治し方

既に荒れてしまった場合は、自己流ケアだけでは長引きやすく、計画的な治療が必要です。

  1. まずは医師へ相談
    • 症状の原因(接触性皮膚炎/アトピー性/感染合併など)を診断します。
  2. バリア回復を最優先にする治療
    • 保湿(高保湿クリーム、セラミド配合、ヘパリン類似物質等)を頻回に。
    • 角化亢進やひび割れが強ければ、適切な外用薬(短期のステロイドや非ステロイド抗炎症薬)で炎症を抑える。
    • 傷や亀裂が深い場合は創傷治療(消毒や被覆)を併用。
  3. 作業環境の調整
    • 可能なら業務の一部見直し、手袋の種類変更、作業手順の改良を検討。
  4. 再発防止プランを作る
    • 仕事を続けながら治すため、治療→予防の両輪で個別プランを組みます。

重要なのは「薬は一時的補強」であり、原因を取り除きバリアを再生させることが治癒の鍵という点です。放置して自己判断で強い薬を繰り返すと、長期不良が続きます。


実践できる日常ルーティン

  • 出勤前:保湿クリームを塗る(被覆目的の薄い層を作るイメージ)
  • 洗髪・水仕事の前:可能なら使い捨てまたは耐水手袋を着用
  • 手洗い後/昼休み:速やかに保湿(塗布回数を増やす)+必要時に保護手袋
  • 就寝前:厚めに保湿+綿手袋で夜間被覆(集中保湿)
  • 週1回:使用中のハンドクリームや手袋素材を見直す(無香料・食物成分無配合を優先、尿素は刺激になる場合あり)

おすすめ手袋の特徴:ニトリル製(耐薬品性良好)、粉なし、内側滑り止め、洗髪用は肘下/使い捨てと併用で蒸れ対策。


よくある誤解

  • 「薬を塗れば治る」 → 薬は炎症制御の一部に過ぎず、原因対策と保湿がなければ再発します。
  • 「保湿だけで十分」 → 軽症なら有効だが、炎症が強ければ医師の薬剤管理が必要です。
  • 「ベテランは治る」 → 経験年数で治るわけではなく、適切な対策を取れば誰でも改善可能です。

実際の治療

※下写真は光が反射して見にくいために、色調を調整。

ステロイドや保湿剤を塗るだけだと、いくら頑張っても限界が訪れます。

よくならない時に方針転換を行わず、同じやり方を続けると、時間の経過とともに治らなくなっていきます。

なので、変えなければいけないのは2つで、①ケアのやり方と②保湿の種類です。

指ケアのやり方

荒れている場合の指先ケアにはやり方があります。

①1日に1~2回は薬を塗る、②保湿剤を1日10回以上、②夜寝るときは手袋、で治療していきます。

また、手荒れがひどい場合には、以下の方法も毎日のケアに組み込みます。

 

  1. ローション1:ぬるま湯2の割合で液を作る。

  2. ビニール手袋に、指足がつかる程度に入れ、手首足首はテープで止める。

  3. 15分以上つけておく、休日などはずっとつけておく。

  4. セラミド入りの保湿をして、手袋、靴下をはく。

  5. その上からビニール手袋やラップをして、手首・足首をテープで止める。

※上写真は光が反射して見にくいために、色調を調整。治療内容は下に記載

【治療内容】ヘパリン類似物質ローションとをお湯を1:1で混合したものに手足を1日3回浸し、1日2回のヘパリン類似物質軟膏塗布、1日1回のクロベタゾール塗布にて治療。

 終わりに

指先の手荒れは「仕事を続ける以上、治療と予防の両方で戦う病気」です。

早期に原因を減らし、バリア再生を優先することで、症状は確実に改善します。

もし繰り返す・長期化しているなら、治療方針(薬の選び方・塗り方)を見直すことで「薬を使わなくても過ごせる日常」へ近づけます。

職業上の手荒れでお悩みの方は、一度相談ください。

参考文献

1)宮崎博章. INFECTIOUS CONTROL. 26(12).P78-84

2)松永佳代子. 第30回環境感染学会総会・学術集会 教育講演4

3)医療現場における手指衛生のためのCDCガイドライン.P30

4)清水雅美、他. 滋賀医科大学看護ジャーナル. 7(1), P35-38.

5)甲田雅一、ほか. INFECTION CONTROL. 17(4). P82-87, 2008.

6)大久保保憲. INFECTIOnNCONTROL. 9(4).P360-362, 2000.

7)大野夏代、ほか. INFECTION CONTROL. 15(6).P628-633, 2006.

8)河合修三. 皮膚メカニズムと手荒れの発症機序. INFECTION CONTROL. 2008増刊号

9)西岡和恵、他. J Visual Dermatol 17; 456-459, 2018.

10)Bregnhoj A, et al. Occup Environ Med. 77;42, 2017.

 

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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