アトピー性皮膚炎:腸内細菌とサプリメント
1.腸内細菌とは
腸の中にいる細菌で、1000種類ほどいます。
腸内フローラとは、この細菌の集合体、街のようなものですが、この細菌の構成は個人によって違いがあります。
腸内細菌のメンバーは、乳児期早期に決定する
乳児期以降に乳酸菌を飲んでも生着しない(通過菌)
腸内細菌のメンバー変更は出来ないが、割合は変えられる
通過菌も機能を発揮している可能性がある
また、腸内細菌の構成は個人間、人種間、居住地域などで大きな差があり、構成要素を決定する要因は遺伝ではなく、食生活、年齢などの環境要因で決まります。
つまり、善玉菌の割合は増やせても、メンバー自体の変更できないことを考えると、赤ちゃんのころから腸内細菌は整える必要があります。
2.「腸内細菌」はどのようにしてメンバーが決まるのか?
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母の膣内、腸内、口腔内の影響を受ける
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母体の口腔内と胎盤・羊水の細菌叢は似ている
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帝王切開児のビフィズス菌は、母体と違う、生着も遅い。
とゆうことは、母親の体内環境が子どもに伝わるとゆうこと。
つまり、子どもへの影響を考えるなら妊娠前から調整しておく必要があります。
3.腸内細菌の機能
- 食物繊維を分解して、単鎖脂肪酸を生成する
- 各種ビタミンの供給源
色々ありますが、これがのちのアレルギーに関係してきます。
プロバイオティクスとは、サプリメントもしくは食品を介し、適切な量を摂取した時に、腸内細菌叢の変化を通して、宿主の健康に好影響を与える生きた菌体のことです。
- 胃酸などにバリアーを持つ
- 便性の改善、腸内細菌叢の保持などの機能を持つ
- 安全性が高い
- 安価であること
と決められており、代表がラクトバシラス(LG,LB,R-1)、エンテロコッカス、ラクトコッカス、シロタ株:乳酸菌、ビフィズス菌(ダノン)などです。
では、このサプリメントと腸内細菌がどうかかわってくるかとゆうと
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腸内細菌の構成割合は個人で大きく異なる
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腸内細菌の必要な機能は個人では変わらない
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常に同一菌種の組み合わせでは、腸内で安定しない
これが意味するところは、市販の1つの種類の乳酸菌(サプリ)を、ずっと摂取してても腸内細菌が変わることはない。
自分に必要な腸内細菌叢を作ることが必要です。
これが、私たちアレルギー医が妊娠後期に色々な種類の乳酸菌を摂取する目的です。
自分の体はコツコツと調整していくことが大切です。
4.結局、自分で出きることは?
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自分の腸内細菌叢ケア
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妊娠中の口腔内ケア
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乳酸菌のエサとなる食物を増やす
の3つです。
メンバーは変更できなくても、メンバーの善玉菌は増やせます。
善玉菌を育てるために、
バナナ
オートミール
オリゴ糖(母乳にも含まれている)
が代表で、腸内細菌を育てる良質なエサといえます。
でも、どうやって腸内細菌が整ったか判定するのか?
簡単ですが、毎日の排便状態での自己判断が有効と言われています。
結局、診療してきて思っているのは、子どもを心配するならまず自分からです。
それは、精神面でも、身体面でも。
積極的にご自身の内側を整えましょう。
参考文献
・Stappenbeck etal. Proc Natl Acad Sci USA. 26;99:15451-5, 2002.
・Rothschild, et al. Nature. 8;555:210-215, 2018
・鈴木美穂、他:小児科臨床 72;4 ; 423-427
・内藤祐二. アレルギー・免疫. 26: 3; 278-286
・ジャスティン S, エリカ S. 腸科学.