花粉症、からの果物・野菜アレルギー② 花粉症
採血では大丈夫なはずなのに、食べるとお腹が痛くなったり、逆に、食物アレルギーだと言われたものを食べてもなんともない、もしくは、医師にそんなアレルギー聞いたことないと言われ、どうしたら良いのか悩んでいませんか?
実は、食物アレルギーの採血は、年齢、食べ物、症状、合併するアレルギーによって、見るべきポイントと対応が全く違ってくるので、幅広い経験と知識が必要です。
1)発症年齢は?
花粉症が原因の果物・野菜アレルギーは成人がほとんど多いです。が、ここ数年は子どもも増えており、私のところに受診される約40%が子どもです。
ちなみに、平均年齢は小児で11歳、成人が37歳。90歳代の方の受診する方や70代になってから救急車で搬送される方もいます。
印象としては、北海道なら早ければ5歳で発症、大体が小学校高学年~17歳くらいまでに果物・野菜アレルギーを起こしてきます。一方で、遅ければ何歳でも可能性はあり、90歳代でなってしまう方もいます。
しかし、ここ十数年で、確実に果物・野菜アレルギーの発症年齢が下がっている印象です。成人で受診された方は17歳~18歳で発症されている方が多いですが、現在は小学生で発症してくる子達と2極化しています。
一方で、温暖化により世界的にブタクサが、日本ではイネ科、キク科の花粉が毎年増大しています①、②)。今後はますますイネ科、キク科花粉に関連したアレルギーが増えてくることが予想されます。
2)症状には差がある
北海道の場合には果物・野菜アレルギーは、基本的に花粉症が関連しています。
北海道での花粉症は、関東のスギと違い、重症の方以外は症状がほとんどありません。
これは、北海道では花粉症のメインの花粉がシラカンバであり、スギと違い花粉飛散量が比較にならないくらい少なく、年によって200倍くらい花粉の飛散量が違います。つまり、ものすごく花粉が飛んだ日にしか症状がでないため、花粉症になったのかどうかも解っていない場合の方が多いです。
このため、花粉症に関連した果物・野菜アレルギーの方は、花粉症から1~2年後もしくは同時に発症することが多いにもかかわらず、私を受診された方の56.8%は花粉症の発症年齢が不明でした。
また、果物・野菜アレルギーの症状は、発症初期では軽いものが多く、例えばリンゴを食べたとしても体調不良や疲労時にしか、口が痒いなどのアレルギー症状がでないために、自分では気が付きません。
しかし、期間が長くなるにつれて、気が付けばはっきりとした症状になってきます。
3)日本では治療方法が限られている
花粉症は自然に治ることはなく、患者数もすごく増加しています。
また、花粉症罹患率や原因花粉には大きな地域差があり、北海道でも花粉症になる人の人数や原因植物は他地域とは異なっています。
北海道で花粉症の原因となる植物は、シラカンバ、ハンノキ属、イネ科、ヨモギ属などで、関東や関西のスギとは大きく異なります。
これは各地域でも言えることで、九州などでも原因となる花粉は違ってきます。
このように、果物・野菜アレルギーの原因となる花粉症も、地域によって異なるのです。
4)アトピー性皮膚炎が始まりだとは知られていない
アトピー性皮膚炎の治療が上手くいかないと、アトピー性皮膚炎からアレルギー性鼻炎、花粉症、花粉・食物アレルギーの順番で起こしてくることが解っています①)。
早ければ5歳、幼稚園の年中~小学校高学年までには果物・野菜アレルギーを発症しますが、アトピー性皮膚炎が始まりだとは知られていません。
また、経験的には、例えアレルギー性鼻炎になったとしても、ほとんどの原因であるダニアレルギーを治しておけば50%の子たちは花粉症になるのを予防できます。なので、出来るだけ早くアトピー性皮膚炎の治療を行い、ダニアレルギーの治療を行うことが必要です。
5)だから、これが必要です
①最初は気が付かない
症状が軽いので、自分では気が付きません。
②花粉症は治せない
日本ではスギ以外の治療は、保険が効きません。
③アトピー性皮膚炎が関連している
多くの人が、アトピー性皮膚炎から次々にアレルギーを起こします。
参考文献
①H. Teranishi, etal. Aerobiologia (2006) 22:91–95.
②佐藤広行、他. 日本花粉学会会誌. 64(1); 1-5, 2018.
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