エビ・カニアレルギー(小児・成人)

1) エビ・カニアレルギーとは
エビやカニの甲殻類のアレルギーは、発症年齢が比較的高く、子どもよりも成人に多い印象のあるアレルギーです。
そもそも、食べる頻度の違いから、カニアレルギーよりは圧倒的にエビアレルギーが多いです。
エビもしくはカニに症状があった場合には、65%の確率で合併しているとされていますが、経験には20%程度。
つまり、ほとんどの人がエビだけです。
ちなみに、甲殻類に関しては、採血だけで判断はできないです。
ダニと甲殻類はアレルギーを起こす成分が一部同じで、採血するとエビやカニの値が見た目は上がります。
つまり、採血は役にたたず、実際に食べてみないとわからないとゆうことになります。
しかし、ダニもエビも採血の数値が上がっていた場合、エビの値がダニを逆転していることがあります。通常は、ダニのほうが数値が圧倒的に高いので、この逆転の場合には採血だけで判断できます。
経験的に小児の場合には、採血で反応がなければ、エビを食べても症状がでることは基本的にありませんが、成人の場合には採血の値が高ければ確定できますが、まったく反応がなくても関係ありません。
むしろ、エビとネコは採血の値が0.1未満と低いほうが、症状はひどくなりやすい印象です。
ひどくなるとゆうことは、救急車で運ばれる可能性があるとゆうこと。
皮膚テストでアナフィラキシーを起こすことも、何度も経験しました。
2)症状はこれ
甲殻類のアレルギー症状は、ほとんどが1時間以内に出現します。
甲殻類アレルギーの場合、皮膚症状約80%、口腔内症状約50%、呼吸器症状30%、腹部症状17%とされていますが、アナフィラキシーを起こすことも少なくありません。
「顔面が腫れる」、「口が痒い」は、子どもの甲殻類アレルギーの特徴ですが、成人は症状が強くでる印象です。
アナフィラキシーは、印象的には子どもより大人のほうが圧倒的に多いです。
甲殻類アレルギーは、昨日までは無症状だったのに、ある日突然アナフィラキシーで発症する大人の小麦アレルギーと違い、エビを食べて「口がかゆい」などの小さな症状を無視していると、ある日突然アナフィラキシーになります。
救急車で搬送されてくる人が、「普段は口が痒いだけだった」と表現するのもこのためです。
3)子どもと大人の違い
甲殻類は加熱してもアレルギー成分が減ることはありませんし、さらにエビの種類によって症状に違いはありませんでした。
最近では「生のエビだけ」に症状が出る人、「特定のエビのみに症状」がでる人がいます。
これは多くの場合に子どもで、大人はこれまで通り調理方法や種類には関係しておらず、「生だろうと加熱しようと症状がでる」ことに変わりはありません。
また、子どもの場合には、エビそのものを食べて、アレルギー症状を出しますが、大人の場合には、エビそのものではなく、スープやラーメンなどでアレルギー症状を起こすことが多いです。
子どもと大人に共通しているのは、「発症したら治らない」とゆうことです。
治療として、食べて慣らす方法も可能ですが、エビを食べ続けるより、完全除去を選ぶことが通常です。
4)貝類とエビアレルギー
関係ないです、合併しないです。 魚介類は水産物の総称ですので、エビ・カニ(甲殻類)は一緒ではありません。
貝類、イカ、タコ、ホタテ、カキなどのアレルギー自体が珍しいので、甲殻類との合併はさらに珍しいとゆうことになります。
研究結果では、これらのイカ、タコ、ホタテ、カキなどとは、アレルギーを起こすタンパク質の成分がエビと似ている部分があるので、約20%の確率で合併するとされていますが、私の患者さんでは年に1人いるかいないかです。
「基本的に関係ない、けどアレルギー科に来る人は、たまにいます」くらいに考えた方がよろしいかと思います。
うちの娘が、フランス人の姪っ子たちから教えてもらってました。
【参考文献】
1: 中島 陽一、他.日常診療で判断に迷う魚・甲殻類・魚卵・果物などのアレルギーの診断・日小ア誌 2019;33:47-5
2: Suttipong Ittiporn, etal. Natural resolution of non-anaphylactic shrimp allergy
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3: 松井 照明,他. 甲殻類・貝類. 日小ア誌 2020;34:408-418
4: 中島 陽一,他. 日常診療で判断に迷う魚・甲殻類・魚卵・果物などのアレルギーの診断. 日小ア誌 2019;33:47-54.
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8: 症例を通して学ぶ 年代別食物アレルギーのすべて