食物アレルギー 減感作:小麦のレシピ
1)減感作=免疫療法
以前「減感作」と言われていたのは、「免疫療法」と呼ばれています。
特に食べ物では、「経口免疫療法」と呼ばれています。
免疫療法の基本は、自分の体が敵(アレルギー)だと思っているものを、ちょっとずつ体に入れて慣れさせていく方法です。
2)食べることが治療です
以前の食べ物アレルギーは「完全除去」といって、含有している食品(例えば、卵アレルギーの子のパンとか)も全く食べずに、治ってくるのを待つことが主流でした。
以前はこれで治ると言われていましたが、私の感覚では考えられているよりも治りません。
小麦は、3歳までに63%が治ったと報告されています。
つまり、3歳の時点で40%が治っていないとゆうことです1,2)。
他に方法がないのであればしかたがありませんが、コンビニで食べ物も買えないままに3年過ごすなんて、効率が悪いのでは?と思います。
3)小麦アレルギーの攻略方法
小麦アレルギーを治すコツは、「症状のない範囲で食べ、食べられる範囲を徐々に増やしていくこと」です。
完全除去の期間が長ければ長いほど治る確率は減っていくので、出来るだけ早い段階から治療を開始します。
治療を開始前には、必ず経口負荷試験を行って、「症状なく食べられる量」を確認します。
アレルギーは症状が出ればでるほど、その症状が強ければ強いほど、体ががっちり敵だと認識するので、治りずらくなっていきます。
小麦のアレルギー成分は、何をしても弱くなりません。
なので、うちのクリニックは調理のしやすい「うどん」で食べて慣らしていきますが、じゃあ他の小麦製品は?となった時には計算しないといけないです。
例:ゆでうどん10gを食べられる子がクラッカーを食べたいとき 3)より一部のみ改変
摂取できるゆでうどんのタンパク質は、10g中2.6%なので、
10g×0.026=0.26g
クラッカー1枚のタンパク質は(この製品が13枚あり、成分表示でタンパク質が3.1gと記載されていたとする)、
3.1g÷13枚=0.24g
つまり、食べられるクラッカーの枚数は、
0.26÷0.24=1.08 約1枚とゆうことになります。
正直、面倒くさいですが、これを計算するとレシピが広がります。
4)調理方法が大切
経口免疫療法は、施設によってやり方が様々にありますので、そのクリニックの方針を確認しましょう。
アレルギー医であれば、細かいやり方はそれぞれ違いますが、ゴールとするところは一緒です。
登山で上るコースに違いがあるようなものです。
さて、小麦アレルギーの治療は食べることで、それも週2~3回を1~3年が必要です。
このため、飽きさせない調理方法に工夫が必要です。
小麦の特徴はとにかく、味を変えること、時々計算してパスタとかにすることです。
5)例えばこんな感じ
鉄板① 心温まるうどんレシピ
鉄板② 進撃のうどん団子
うどんは袋をそのまま練ってもOK。
みたらし以外にも、中にチーズを入れたり、あんこにしたり色々あります。
鉄板③ みんな大好きパスタ(食べる量は計算必要)
鉄板④ 定番な感じのパスタレシピ
鉄板⑤ 毎日飽きないトーストレシピ
【参考文献】
1)伊藤浩明. 食物アレルギーのすべて. 診断と治療社.
2) 池松かおり、他. 乳児期発症型食物アレルギーに関する検討. アレルギー 55:533‐541、2006.
3)伊藤浩明. おいしく治す食物アレルギー攻略法. あいち小児保健医療総合センター.