食物アレルギー 減感作療法:卵のレシピ
1)減感作=免疫療法
今は、一般の先生も「ちょっとずつ食べて」と言われることが多くなってはきました。
以前「減感作」と言われていたのは、「免疫療法」と呼ばれています。
特に食べ物では、「経口免疫療法」と呼ばれています。
免疫療法の基本は、自分の体が敵(アレルギー)だと思っているものを、ちょっとずつ体に入れて慣れさせていく方法です。
2)食べることが治療です
以前の食べ物アレルギーは「完全除去」といって、含有している食品(例えば、卵アレルギーの子のパンとか)も全く食べずに、治ってくるのを待つことが主流でした。
以前はこれで治ると言われていましたが、考えられているよりも治りません。
3歳までに30%、6歳までに73%が治ったと報告されています。
つまり、3歳の時点で70%が治っておらず、6歳でも約30%の子が治っていないとゆうことです1,2)。
また、これ以上経過を見てもほぼ治りません。
10歳で85%が治ったとの報告もありますが、単純に考えると6歳から10歳で12%しか治っていません。
つまり、年齢が大きくなればなるほど治る確率が減っていきます。
他に方法がないのであればしかたがありませんが、こんな賭けみたいなことを自分の子供にする必要はありません。
3)卵アレルギーの攻略方法
卵アレルギーを治すコツは、「症状のない範囲で食べ、食べられる範囲を徐々に増やしていくこと」です。
完全除去の期間が長ければ長いほど治る確率は減っていくので、出来るだけ早い段階から治療を開始します。
治療を開始前には、必ず経口負荷試験を行って、「症状なく食べられる量」を確認します。
アレルギーは症状が出ればでるほど、その症状が強ければ強いほど、体ががっちり敵だと認識するので、治りずらくなっていきます。
このため、時には卵のアレルギー成分を減らす必要も出てきます。
卵のアレルギー成分の強さが減るのは2つ
①加熱
②小麦と調理する
例えば、2分のゆでたまごより5分のゆで卵の方がアレルギー成分の強さは減ります。
一方で、ケーキよりもクッキーの方が熱が通るため、同じ卵の量を使っていたとしてもアレルギー成分は格段に減ります。
つまり、卵5gが含まれているクッキーが食べられるからといって、同じ5gのケーキが食べられるわけではないのです。
まあ、「お菓子やパンにすればアレルギー成分が激減するよ」とゆうことです。
卵自体のチャレンジがまだ早いときに活用します。
4)調理方法が大切
経口免疫療法は、施設によってやり方が様々にありますので、そのクリニックの方針を確認しましょう。
アレルギー医であれば、細かいやり方はそれぞれ違いますが、ゴールとするところは一緒です。
登山で上るコースに違いがあるようなものです。
さて、卵アレルギーの治療は食べることで、それも週2~3回を1~3年が必要です。
このため、飽きさせない調理方法に工夫が必要です。
卵の特徴はとにかく、何かと一緒もしくは混ぜることです。
①カレーと一緒に食べる(鉄板)
②チョコレート、メープルシロップ、ホイップクリームと一緒(準鉄板)
③チャーハン
④キャンベルのクラムチャウダー
⑤卵焼きのトリュフオイル添え
調理方法を変えるにはこんな感じのレシピがあります。
5)例えばこんな感じ
含有製品を食べられる子(食べる量の調整は当然必要)
サンドイッチ(2:39~)
卵の量を変えればよいです。
厚焼き玉子のサンドイッチだと、卵抜きのマヨネーズを使うと卵の量が調整しやすいです。
卵アレルギーが卒業間際の子向け
加熱時間を工夫することでこんなオムレツもよいと思います。
カレーの参考レシピ
辛さは無しでよいです。
うちの子供たちは2~3歳くらいから好きで、今でもインドカレーはこれしか食べないです。
【参考文献】
1)ohtani K, etal. Allergo int 65; 153-157. 2016.
2)池松かおり. アレルギー. 55; 533-541. 2006.
3)kim. j, etal. Asian Pac J Allergy Immunol, 27;107-114. 2009.
4) キャンベルとクラシルのコラボレーション