アレルギー検査:採血以外
採血では大丈夫なはずなのに、食べるとお腹が痛くなったり、逆に、アレルギーだと言われたものでもなんともない、もしくは、医師にそんなアレルギー聞いたことないと言われ、どうしたら良いのか悩んでいませんか?
実は、アレルギーの採血は、年齢、食べ物、症状、合併するアレルギーによって、見るべきポイントと対応が全く違ってくるので、幅広い経験と知識が必要です。
1)採血以外の検査
アレルギーの検査は、大きくは採血、負荷試験、皮膚テスト、呼吸機能検査、鼻腔通気検査に分けられます。
アレルギーの検査は、これまでの経緯をよく聞いて、アレルギー医の目線で血液検査の分析を行い、あなたのアレルギーを全く別の方向から見直すことで、あなたがどのくらいのアレルギー体質になっているかを判断し、じっくり治療方針を決めるため、今後の予測をするために行います。
つまり、一つの検査だけで済むのか組み合わせなのか、あなたの状態を詳しく診察しないと、あなたに最適なのかは決められません。
2)採血
採血は、「そのアレルギーである確率」を計算しているだけです。
例えば、小児の場合には卵、牛乳、小麦などは、何歳の時にどのくらいの値だったら症状が出る確率はどのくらいと予想する表があり、それをもとに判断します。一方で、それ以外はそのデータがありませんし、成人もデータはありません。
また、果物・野菜、動物は、健康保険の採血が、全く役に立ちません。
なので、これまでの経験と研究結果でのデータから、あなたのことを判断しますので、研究結果を知らないと判断ができません。
また、我々しか検査しない項目も多くあります。
私たちは、これまでの経過、症状から、今の採血結果を研究結果と照らし合わせることで、あなたの体質、今後起こしやすいアレルギー、生活をどうしたらよいのか、治療方法、あなたに合った薬をはじめて判断することができます。
この知識がないと判断が難しいため、「採血で反応が出ている」といった説明になり、患者さん側が「だから、どうすれば?」と言った質問が出たりします。
我々は、日本・アメリカ・ヨーロッパの最新の治療を勉強し習得し続けていますので、「検査や治療はない、こんなアレルギー聞いた事がない」と言われた方でも、薬を塗っても飲んでも現状維持が精一杯の方でも、アレルギー症状が無かった本来の生活に戻すことが目標です。
なので、検査項目はオーダーメイドで、あなたの状態を把握したうえでじゃないと、値が高い低いの判断ができません。
「じゃあ、この検査の意味は?」と、思ったら検査した医師に聞いてみることをお勧めしています。
アレルギーの採血は、年齢、食べ物、症状、合併するアレルギーによって、見るべきポイントと対応が全く違ってくるので、幅広い経験と知識が必要です
3)負荷試験
食物、薬がメインです。海外ではハチアレルギーの治療をした際に、実際にハチに刺されて検査する方法をヨーロッパの先生方から教えてもらいました。日本ではやめた方が良いです。
さて、この負荷試験ですが、実際に投与(食べて)して症状が出るかどうか確かめる検査になります。
食物の場合の考え方は3つで、
①その食物を「食べて症状が出るか」どうか、つまり原因かどうかピンポイントで確かめる
②原因として複数種類の怪しい食物がある場合、「一番怪しいもしくは強い症状がでることが予想される食物以外」が大丈夫か確かめる
③食べて慣らす治療を始めるために、どのくらいの量であれば症状が出ないか確かめる
のどれかになります。
一方で薬物アレルギーの場合は、アレルギー反応の強さは食物の比ではありません。
なので、薬物負荷試験は「理論的にこの薬は大丈夫」なことを確かめてみる確認試験になります。
怪しい薬を実際に飲んで確かめることはしません。
4)皮膚テスト
プリックテスト、皮下(皮内)注射、パッチテストがあります。
食べ物、動物、薬、金属など様々なもので検査ができます。
◎プリックテスト:乳児の食物、全年齢の果物・野菜とか
代表は食物で、特に乳児期の食物アレルギー検査と果物・野菜アレルギーの検査でつかいます。
例えば、リンゴに検査器具を押し付けて肌に押し付ける。すると赤くはれたりするので、アレルギー反応をみます。
簡単に言えば、皮膚についただけでも赤くなるなら食べられないよね?といった感じです。
ただし、アレルギーはその時の体調と入ってきた量で症状が変わります。
つまり、皮膚で反応がでなければ、結局実際に食べてみる検査になります。
◎皮下(皮内)注射のテスト:抗生物質とか
代表は抗生物質です。
特に抗生剤が代表ですが、実際に血管に注射するのではなく、30分おきに薄い濃度から濃い濃度を順番に皮膚に少量を注射します。そして、アレルギー反応がでるかどうか確かめます。
薬の場合には、皮膚テストでは反応がないことを確認してから、実際に飲む検査を行い最終確認をします。
◎パッチテスト:金属、たまに食物
代表は金属や毛染めなどです。
検査用シールに薬を乗せて皮膚にはります。
24時間、72時間、1週間後の3回にわたり、皮膚の反応を観察します。
金属の場合、時間が経過してから徐々に反応が強くなることも多く、1週間は見ないとわかりません。
中には皮膚に貼って数十分で全身に蕁麻疹が出たりすることもあります。
5)呼吸機能、鼻腔通気検査
気管支喘息が疑われるとき、気管支喘息の薬をどうすればよいかの判断に使われます。
この検査をすることで、気管支喘息の状態、どの薬があなたに合っているのか、薬を減らせる状態になっているのかを判断します。
鼻腔通気検査は、長年鼻が詰まっていると、脳が「鼻で呼吸をするとこんなものだ」と判断し、本人は意識していないことが多いです。
また、鼻閉は長年続くと、治療しても治りにくい状態になることが多いです。
例えば、鼻汁は治ったけど、鼻が詰まっている感じは残っているといった具合です。
この検査で、どのくらい鼻で呼吸できているのか、今後も鼻閉が続くかもしれないのかを予想します。
6)だから、これが必要です
①採血から何がわかるのかを聞く
聞いたことのない採血は、必ず「そこから何がわかるのか」を、担当医に聞きましょう。大抵高額です。
②説明が理解できなかったら
・今後どうしたら良いのか
・今後はどうなる予想か
・治療の選択肢は何があるのか
を、聞きましょう。
【治療内容】
治療内容:各種検査を行います
費用:保険診療、薬物アレルギーだけは自費診療(35000円:詳細はこちら)。
考えられる副作用:頻度は少ないですが、蕁麻疹、咳、アナフィラキシーなどのアレルギー症状が起こる可能性があります。
【参考文献】
①札幌市保育所等における食物アレルギー対応マニュアル
②近藤 康人. 日小ア誌 2014;28:867-881.
③赤ちゃんとお母さんのためのアレルギー読本. 周産期医学 Vol.48 増刊号. 2018.