エピペンの使い方
【典型的なシチュエーション】
離乳食で卵を食べさせたら、全身に蕁麻疹と咳、意識がもうろうとして病院に運ばれた。アレルギー科を掲げている病院に通っているけど、説明されても専門用語ばかりでよくわからず。
時々採血されても様子を見ましょうと言われ、何年も治療が進まず。
来年幼稚園の年長になるのに、卵が含まれているものは食べると口が腫れ、時々全身蕁麻疹が出て病院にいかなければならないほどになる。
小学校が不安になり、どうしたらよいのか不安になって、相談したら「エピペン」を処方された。詳しい使い方を聞いても、良く分からない様子で、余計に不安になった。
採血の値が低くても全く卵が食べられなかった友人の子どもの話から、アレルギーの採血結果で話が盛り上がったところ、友人の子どもは少しずつ食べる治療を行い、去年には卵は食べられるようになっていたが、念のためにエピペンは持っているとのことだった。
エピペンとは
エピペンは、重度のアレルギー反応、いわゆるアナフィラキシーが発生した際に迅速に対処するための治療薬です。
アナフィラキシーは、食品、昆虫の刺し傷、特定の薬物など、さまざまなアレルゲンによって引き起こされます。
このような緊急事態においては、速やかにエピネフリンを投与することが非常に重要です。
いつ使う?
細かいこと判定せずに、「ひどい」と思ったら使います。
つまり、使った方がよいのか迷ったら使う薬です。
アナフィラキシーは、アレルゲンにさらされた後に起こり得る、急速に進行する生命を脅かす反応です。
以下の症状の複数が現れたときには、エピペンの使用する必要がありますが、症状が強いときには一つの症状でも迷わず使います。
- 呼吸困難: 喉の腫れ、息切れ、喘鳴(ぜいぜいする音)、呼吸の苦しさ
- 皮膚の反応: 広範囲にわたる発疹、蕁麻疹(じんましん)、かゆみ、蒼白や赤み
- 循環器系の問題: 強いめまい、失神、急激な血圧低下
- 消化器系の症状: 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
エピペンはこれらの症状が始まった直後、すなわちアレルギー反応の初期段階で使用することが推奨されます。
エピネフリン(アドレナリン)は、アナフィラキシーによる症状を速やかに抑えることができるため、反応が重篤化する前に投与することが重要です。
エピペン使用後は、必ず救急医療の手配を行い、医療機関でのフォローアップを受ける必要があります。
エピペンの使い方
エピペンの「オレンジの部分」から薬がでますので、「オレンジの部分」を太ももの正面、外側1/3くらいの部分に押し当てます。
保管と管理:
エピペンは直射日光を避け、冷蔵庫での保管は避け、室温で保管してください。
また、期限は1年ですので、期限が切れる前に新しいものと交換するようにしてください。
①プラスチックのケースに入っていますので、取り出します。
注射針が出るオレンジの部分は下に入っています。
②利き手にエピペン、反対の手で青いピンを外す
例えば、利き手を「右手」とします。
左手で持ち、右(利き手)でピンを外すと、必ずエピペンを使う時に利き手(つまり右手)に持ち替えることになります。
すると、この時に最初に左手に持った人の10人に1人は、持ち替える時に上下を逆さに持ってしまいます。
正しい状態
逆さに持った状態
逆さに持つと100%の人が、針がでる「オレンジ」の部分を押す
エピペンは作業服の上からでも打てるようになっているので、針が出る部分を指で押すと指の骨に刺さります。アレルギーに対する薬は子どもに使えなかったのに、針が刺さった人は手術に準じた方法で指から針を抜かなければならない状態になります。
必ず「利き手」にエピペンを持って、利き手じゃない方の手でピンを外します。
③子どもは寝かせる
年齢によって座ったまま、保護者の膝に座らせたままでも大丈夫ですが、寝かせたまま2人で抑えるのが安全です。
この時立って歩かせたりしないようにしましょう。
④子どもは脚の付け根と膝を上から押さえます。
脚の付け根は前後左右に動きますが、膝は前にしか曲がりません。
子どもの場合はここを抑えると動かせないので、騒いでも安全です。
⑤「オレンジの部分」を太ももの正面外側にエピペンをバチッと音がするまで押し当てます
振り下ろすイメージがありますが、バチっ音が鳴るまで押し付けるだけで大丈夫です。
この時、内側を手で押さえると、エピペンを使いやすいのと同時に、大きな血管や神経が走っている内側に押し付けることがなくなります。
子どもに「苦しいの取る薬を使うからね」と声をかけます。
黙ったままだと、何をされるのか解らないので、不安からものすごく暴れます。
この時、「注射」、「打つ」、「針」などの単語は厳禁です。暴れます。
上からみた場合
⑥ニードルカバーが伸びていれば、薬が出たことになります。
エピペンはアナフィラキシーの第一選択の薬です。
心配だと思ったら必ず使用するようにしましょう。
アレルギーによるアナフィラキシーは予期せぬ状況で発生する可能性があるため、エピペンを携帯し、その使用方法について知っておくことが重要です。
何かご不明な点がございましたら、いつでも当クリニックまでご相談ください。
エピペンの正しい知識と使用法を身につけましょう。