ダニアレルギー・ハウスダスト 掃除
札幌市南区のアレルギー科・小児科(アレルギー)のアルバアレルギークリニックです。
本日はハウスダスト(ダニ)アレルギーとゆうタイトルでお話ししたいと思います。
1. ハウスダストはダニのこと
以前にハウスダストアレルギーと言われていたものは、10年以上前からダニアレルギーとゆうことがわかっています。私も7年ほど前の専門医講習会で「ハウスダストを採血で計測するのは日本人だけ。恥ずかしいから絶対に測るなよ」と言われていました。
つまり、ほこりで目や鼻が痒くなったとしても、その原因はほこりの中にいるダニなのです。
アレルギーで問題になるのは、ヒョウヒダニ(チリダニ)で、山にいるマダニとは別物です。
ダニの種類でほとんどを占めるのはチリ科のダニです。なかでもこのヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニが代表で、採血で調べているやつがこれです。
このヒョウヒダニは、朝起きた時に鼻がつまってる、鼻水がでるなどの症状を起こし、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などを起こします。
これがひどくなると、布団で目や鼻がかゆくなる、くしゃみ、咳などが出てきます。
2. ダニはここにいる
日本は高温、多湿であり、世界でもダニが最も繁殖しやすい地域です。
ダニがもっとも繁殖しやすいのは温度25℃、相対湿度75%と言われています1)。
北海道では、各家庭での室温や相対湿度にばらつきが少なく、平均的に同じ室内環境と言われています。このため、日本では、圧倒的に寝具(つまり、フトン)に多く、寝具>絨毯>畳>フローリングの順番で多くなります。
寝具で過ごす時間は、睡眠時間を考えると一日の1/3~4です。寝具にダニが多いと、アレルギーになりやすい環境で1日の多くの時間をすごすことになります。
アレルギーは体の中に入ってきた量で症状が決まります。
北海道では道外に比べて少ないですが、室内に放置したミックス粉(お好み焼き子)にはダニが発生しやすく、お好み焼きでアナフィラキシーを起こした方が、小麦アレルギーと誤診されることもあります。
小麦を含め、粉物は冷蔵庫に保存です。
3. どのくらいのダニでアレルギーになる?
ここから先は詳しい話なので、知りたい方だけ。
日本では、1gのホコリ中に含まれるダニのアレルゲン量(アレルゲン:アレルギーを起こす原因成分)は、寝具中や絨毯は20㎍/g dustと言われます。
1歳の時に、室内でのダニアレルゲン量が、2㎍/g dust以上だとダニが採血で上がってきます。10㎍/g dustだと7~11歳で喘息になる可能性が他の子より3~4.8倍高くなります2)。
これは吸い込んだダニで喘息になってしまう量、喘息発作が起きる量が10㎍/g dustであると言われていることを考えると、寝具中や絨毯に含まれるダニの量はものすごく多く、いつ喘息になってもおかしくはないことがわかります。
また、北海道では、ダニアレルギー→アレルギー性鼻炎→花粉症になり、北海道での花粉症の原因となるシラカバ花粉症になると50%の人が果物・野菜アレルギーになります。
ようするに日本はダニがものすごく多いんだけど、ダニアレルギーになると、いろんなアレルギーになってしまうとゆうこと。
当然家庭でのダニが多いと、アレルギー症状も強く、幼い年齢から色んなアレルギーに発展します。
次回はダニを減らすための掃除を考えたいと思います。
4. ダニアレルギー予防方法
ダニアレルギーを予防する一番の方法はフトンの掃除。
特に、小児は寝ている時間が長いのでダニ対策は重要です。
日本でダニがいるのは寝具がもっとも多く、寝具>絨毯>畳>フローリングの順番で多くなります。
フトンの掃除から始めましょう。
ですが、家庭で出来る範囲ではダニは非常にしぶとく、なかなか死なずに残存していることが解っています。
なので、ダニ対策はドライクリーニングに出してもダメ。
ドライクリーニングだと、病院の寝具は滅菌(菌が生存できないほど高熱処理)しますので、ダニとともにアレルギー成分もほぼ死んでしまいます。つまり、このレベルで掃除する病院の寝具にはダニはいません。
この中でも最も効果が高いのが「フトンの丸洗い(水)+掃除機かけ」です。
①最低週3回の掃除機かけ:掃除機の種類は関係ない、回数が大事
②布団の丸洗い+乾燥:コインランドリーが早い
③防ダニ布団カバー(フッ素樹脂コート生地):値段が安いのはあまり効果なし
④畳1畳分を20~40秒かけて掃除:ゆっくり掃除
になります。
5.くわしく知りたい人に解説
ちなみに、布団はドライクリーニングより丸洗いの方が効果ありますので、コインランドリーで丸洗い+週1回以上の布団の天日干し+掃除機がけをする手もあります。
防ダニ布団カバーは フッ素樹脂コート生地が一番効果がありますが、製品によって差が大きく、安いものはあまり効果がありません。また、ダニ対策として、布団の中身に差はありません。
なので、家庭では布団カバーは、週1回は洗いましょう。洗った後は布団にダニがいるままで防ダニカバーをかけても効果が無くなってしまうので、洗って乾かした後も掃除機をかけてからシーツをかぶせます。
洗ったり、干したりすると、ダニはフトン表面に移動して死にます。なので、干してたたくと舞い散るだけなので、掃除している人がダニアレルギーを起こします。掃除機かけですね。
ヌイグルミも同じ。ダニアレルギーになってしまったら出来れば置かないのが良いですが、置くなら週1回は洗いましょう。
ちなみに、ダニはペットの毛と違い空中に浮遊しません、寝具から浮遊した場合には10分で約10%にまで減少します。つまり、ダニ対策を目的として空気清浄器を購入するのは効果が低いとゆうことになります。
ここまでやっても体質としてダニに弱い子はいます。
ダニの値が採血で20を超えると自然に治ってくる可能性はほぼない印象です。
予防できる子どものうちからやりましょう。
参考文献
①西岡謙二. 室内アレルゲン -とくにダニとペット-. アレルギー・免疫 21; 10; P74-80, 2014.
②滝沢琢己. エビデンスに基づいた環境整備 Update. 小児科臨
床 68; 8;P1457-1462, 2015.
③秋山一男、福富友馬. ハウスダストの構成アレルゲン. アレル
ギー・免疫. 20; 3; P86-92, 2013.
④続木康伸、成田光生. お好み焼き粉に発生したダニによるアナ
フィラキシーの双子例. 日本内科学会雑誌 104(5), P986-
989, 2015.
⑤張会波、ほか. 全国の住宅における室内環境の分析. 日本建築
学会技術報告集15(30), P453-457, 2009.
⑥福富友馬、ほか. 室内環境中のダニ・昆虫とアレルギー疾患.
Indoor environment 12(2), P87-96, 2009.
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