花粉症、からの果物・野菜アレルギー⑤ 口が痒いだけではない
採血では大丈夫なはずなのに、食べるとお腹が痛くなったり、逆に、食物アレルギーだと言われたものを食べてもなんともない、もしくは、医師にそんなアレルギー聞いたことないと言われ、どうしたら良いのか悩んでいませんか?
実は、食物アレルギーの採血は、年齢、食べ物、症状、合併するアレルギーによって、見るべきポイントと対応が全く違ってくるので、幅広い経験と知識が必要です。
1)症状は、食べ物とその人の体質による
果物・野菜アレルギーでは、「口の中が痒くなる」とも思われていますが、それだけではありません。
花粉・食物アレルギー症候群とは、花粉症を持っている人が果物や野菜を食べる事により、口腔・咽頭の掻痒、時に喘鳴、腹痛、皮疹などの全身症状やアナフィラキシ―を起こす症候群です①)。
なので、一般的には口の中が痒くなると思われていますが、50%は皮膚、腹痛、呼吸が苦しいなどの症状がでます。
さらに、今は花粉症の若年化ならびに高齢発症の方が増えています。野菜アレルギーの方も増えてきたために、現在では口だけではなく、腹痛、鼻血、頭痛など多種多様な症状を起こす方が一般的です。
例えば、ニンジンを食べると毎回鼻血が出る、セリで頭痛がするなど、一般的には聞いたことがないような症状を起こしてきます。
2)口腔アレルギー症候群は勘違い
口腔アレルギーとは、アレルギー症状が口に出るタイプの食物アレルギーのこと。
つまり、卵でも、エビでも、ナッツでも、食べて口が痒くなるのは口腔アレルギーです。以前は、花粉による果物・野菜アレルギー、すなわち花粉・食物アレルギー症候群は、主に口にしかアレルギー症状が出ず、口腔アレルギー症候群と同じに解釈されていました。
しかし、今は解析が進み、同義ではないことが解っています。
3)症状があるものは、食べられません
バラ科の果物は、リンゴ、モモ、サクランボ、イチゴ、プラムなどです。バラ科はシラカンバ花粉症と関連し、花粉・果物アレルギー症候群を起こす一番多い原因でもあります。
しかし、私のところに受診した患者さんでは、バラ科アレルギーと非バラ科アレルギー(バラ科以外は多種多用)の50%:50%です。
バラ科だけではなく、リンゴ、ナシ、モモ、メロン、キャベツ、レタス、プラム、ブドウ、バナナ、ダイコン、ニンニクなど本当に様々な食べ物で症状を起こしてきます。
4)現に、救急車で搬送される人は5人に1人です
私を受診した果物・野菜アレルギーの患者さんでは、約20%の方がアナフィラキシーで救急搬送されていました。
教科書や報告されているよりも、ずっと多くの方がアナフィラキシーを起こして、搬送されています。
クミン、コリアンダーはスパイスの中でも症状を起こしやすく、この2つは全員救急車で搬送されてきました。
ちなみに、果物・野菜で、アナフィラキシーを起こした方の多くは、「いきなりアナフィラキシー」になるのではなく、「症状が軽いので、食べていたら、ある日突然アナフィラキシー」になるのです。
5)だから、これが必要です
①症状はひとによって違う
それは、気のせいではないかもしれません。
②ダメな食べ物も人によって違う
他の人が聞いたことが無くても、あなたには合わないのです。
③食べていると酷い目にあう
いきなり、救急車で搬送されることはありません。
【参考文献】
①藤枝重治.アレルギー・免疫 24(8):31-43, 2017.