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卵アレルギー 子どもの場合

卵アレルギー 子どもの場合

採血では大丈夫なはずなのに、食べるとお腹が痛くなったり、逆に、採血で食物アレルギーだと言われたものを食べてもなんともない。どうして良いのかわからず、私が悪いのか悩んでいる。

食物アレルギーの採血は、年齢、食べ物、症状、合併するアレルギーによって、見るべきポイントと対応が全く違ってくるので、幅広い経験と知識が必要です。

1)食物アレルギー

「食物によって引き起こされる抗原得意的な免疫学的機序を介して、生体にとって不利益な症状が惹起される現象」のこと。

つまり、食べて、何か症状が出て、初めて食物アレルギーです。

この場合の何かとは、湿疹、咳、喘鳴、腹痛など。

「採血でアレルギーが出ている」は間違いで、さらに症状の強さもわかりません。例外は、よほど値が採血の値が高い時だけで、この値が高い低いも年齢によって変わります。例えば、卵白は1歳未満で3.0を越えると、症状出現率は約80%くらいです。一般的には、「3.0」は高くないと言われるのではないでしょうか?

「採血でアレルギーが出ている」と言われる状態は、身体が敵だと思っている(感作されていると言います)ことを表しますが、食べてアレルギー症状がでるとは限りません①、④、⑦)。

もし乳児だった場合、採血、皮膚テスト、経口負荷試験を行います。

特に、成人の場合には採血を判断するには、研究結果を知らないと難しいケースが多いです。

2)食べて治す方法

子どもの食物アレルギー治療は、「食べられる範囲(症状の出ない範囲)で食べられる食品や量を増やし、慣らしていく」ことです①)。

なので、食物アレルギーだと確定し、今後の治療のためにどのくらいの量が食べられるのか調べる必要があります。

これを負荷試験といいます。

負荷試験は外来で行う場合と入院で行う場合に分かれます。これは、以前に症状を起こしていた症状の程度、病院の方針(重症の子が多い、検査する数十人が、一気に同じ日に検査を行うので、安全確保のためなど)によります。 

ただし、食べて慣らす方法は子どもの場合、簡単ではありません。

体が敵だと思っているものを少しずつ食べて慣れさせていくので、美味しいものではなく、むしろ「鉄の味がする」、「匂いが鼻について食べられない」と嫌がることが多いです。なので、出来るだけ早い段階で始めたいのです。

また、卵の場合は特に、食べなければ食べないだけ、重症になっていきます。

例えば、4歳以上、卵の採血結果がクラス4以上(特異的IgE)、完全除去している、総IgEが1000未満の子だと、卵1g以下で重症な症状を起こすことが解っています⑧)。

3)自然に治る?

ほとんどが乳児期に発症します。そして、2歳30%、4~4.5歳までに50%、6歳まで70%が治ると言われています①~④)。が、逆にいうと、30%の子はそのままでは治りません。

例えば、ピークの卵白の値(卵白特異的IgE)が50以上だと、無治療では18歳になっても治った(耐性化)した患者はいなかったと報告されています①~④)。

さらに、卵アレルギーだとわかった時の採血の値(つまり、発症時)、1歳の時点で即時反応を起こしたことがある、重い症状を起こした、その他の食物アレルギーを合併している、アトピー性皮膚炎を持っている、があれば治りにくくなります①~④)。イメージとして症状を起こせば起こすほど、体が敵だと認識していく感じです。

なので、「この子の場合には、経験的にこのくらいで治るかも」と、経験的に予想はできますが、何歳までに治るかはわかりません。全てがその子によって違います。

アトピー性皮膚炎がある場合は、必ずそちらの治療も同時並行で行わないと、直りが非常に悪い印象ですし、もちろん食物アレルギーの治療が遅れれば遅れるほど治りにくくなります。

成人の場合には、アトピー性皮膚炎からアレルギーマーチになっている方が、40代以降に卵アレルギーになるケースが経験的に多く、この場合残念ながら治ることはないので、食べないことが治療になります。

4)現に、食事に神経質にならざる得ない状況です

卵(厳密にいうと鶏卵)は、加熱することでアレルギーの強さ(抗原性)が、加熱の程度に比例して低下します。

例えば、クッキーとケーキでは、クッキーの方がアレルギーの強さは断然低いです。さらに、小麦と一緒に調理するとアレルギーの強さは低下します④)。 

また、卵製品を食べるには段階があって、どのくらいの量が食べられたら、どの程度のものが食べられるかが指示されます。子どもが食べるものは、卵が含有されているものが多く、食事も手軽です。

つまり、この指示がないと日常生活が送れません。

5)だから、これが必要です

①出来るだけ、早い対応が必要です

早ければ早いだけ治りが早いので、日常生活が楽です。

②食べられる範囲を調べる必要があります

負荷試験は絶対必要です。何も決められません。

③放っておいても治りません

何もしなければ治らないってことです。

参考文献
①伊藤浩明監修. おいしく治す食物アレルギー攻略法

②内田理、菅井和子. 鶏卵アレルギー. 小児食物アレルギー診療 UP DATE. 小児科4月臨時増刊号 2014.

③大谷清考. 鶏卵アレルギー. 症例を通して学ぶ 年代別食物アレルギーのすべて. 南山堂.

④伊藤節子. 抗原量に基づいて「食べること」を目指す乳幼児の食物アレルギー. 診断と治療社

⑤伊藤節子. 食物アレルギー児のための食事と治療用レシピ. 診断と治療社

⑥海老澤元宏監修、今井考成、高松伸枝、林典子編集. 食物アレルギーの栄養指導. 医歯薬出版株式会社

⑦Komata. JACI 2007.

⑧楠隆. 鶏卵,牛乳,小麦除去例に対する,安全摂取可能量からの
段階的増量による「食べさせるアプローチ」. 日小ア誌 2018;32:762‒771.

記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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