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牛乳アレルギーは早く治療するべき

牛乳アレルギーは早く治療するべき

赤ちゃんの頃から肌荒れがひどく、小児科では乳児湿疹と言われるも悪くなるばかり。

離乳食でヨーグルトを食べさせたら、全身に蕁麻疹と咳、意識がもうろうとして病院に運ばれた。アレルギーの専門と言われているところに通っているけど、説明されても専門用語ばかりでよくわからず。

時々採血されても様子を見ましょうと言われ、何年も治療が進まず、来年幼稚園の年長になるのに牛乳が含まれているものも食べられない。

小学校が不安になり、卵アレルギーの子を持つ友人に相談したら、友人のかかりつけ医は採血の説明や検査項目自体が全く違っており、食物アレルギーは採血だけではわからないとゆう。

採血の値が低くても全く卵が食べられなかった友人の子どもの話から、アレルギーの採血結果で話が盛り上がったところ、友人の子どもは少しずつ食べる治療を行い、去年には卵は食べられるようになっていた。

牛乳アレルギーが治っていない自分の子どもをみて悲しくなったら、かかりつけのアレルギー医を紹介してくれた。

1)牛乳アレルギーは乳児期から始まる

牛乳アレルギーは、子どものアレルギーの中では、卵に次ぐ2位です。

発症は乳児~乳児期に起こり、特殊な場合を除いて、3歳で突然牛乳アレルギーになることはありません。特殊な場合とは、臓器移植を行った、血液系のガンになったなどの免疫機能が通常ではない場合です。

なので、牛乳は飲んでもなんともないのに採血をしたら突然アレルギーは、あり得すません。

例外はあります。非常に珍しいですが、最近は成人でも牛乳アレルギーを起こすことがあります。症状としては、基本的に口腔内の痒み、唇の腫れです。逆に言えば1歳~成人までの間は牛乳アレルギーはありません。

牛乳アレルギーの検査は、カゼイン、α-ラクトグロブリン、β-ラクトグロブリンを使います。

しかし、これも成人の牛乳アレルギーには、精度が低くて全く使えません。

間違い易いのは、乳糖不耐症。

これは、簡単に言えば牛乳が自分には合わない方のことで、治ることもなく、大人になってからもなります。特徴はお腹にくることです。

アレルギーとは、年齢と症状で見分けるのが一般的です。

2)非常に治りにくいし、重症化しやすい

牛乳アレルギーは、食物アレルギーの中でも最も治りにくく、重症化しやすいアレルギーです。なので、牛乳アレルギーと診断されたら、出来るだけ早く治療を開始する必要があります。

牛乳アレルギーは、皮膚と呼吸に症状がでることが多く、フランスでは食物アレルギーで死亡する原因の第2位として挙げられています⑦)。食物アレルギーの場合、気管支喘息を治療していないと致死的になりやすいのですが⑨)、呼吸に症状のきやすい牛乳アレルギーではなおさらです。

一方、牛乳アレルギーの重症化の指標として、アナフィラキシーの既往があること、年齢がすでに高くなっていること⑧)、そして気管支喘息を治療していないことが挙げられています。

また、食物アレルギーは離乳食を遅らせる方がなりやすく、卵とピーナッツでは遅らせた方がアレルギーになりやすいことが、はっきりとわかっています。

なので、食物アレルギーを予防したいのなら、皮膚を全く何もない状態に維持し、離乳食を通常通り始めるのが原則なのです。

#「それが原則です」はこちら

3)乳糖もダメなの?

重症の子は、乳糖がダメかどうかを負荷試験で確認が必要ですが、乳頭は基本的に大丈夫です③~⑤)。

実際、乳糖が含む牛乳のアレルギー成分は0.01%以下のごく微量ですが、あくまでも基本的。

あなたにとって大丈夫かどうかは別なのです。

最近では、色々な調味料、乳酸菌製剤(乳酸菌と牛乳はべつ)などにも含まれています⑥)。アレルギー医なら、現在食べられている量で判断は可能ですので、聞いてみましょう。

#乳酸菌とアレルギーは関係ありはこちら

4)人工乳は、むしろ良いのかも

母乳には多くのメリットがあり、免疫、発育、発達に与える影響は明らかで、医学界では出来る限りの母乳栄養が推奨されています。

当然ですが、事情があれば全く別の話で、母親だけが大変な思いをすることなく、人工乳はためらわずに使ってよいです。

一方、牛乳アレルギーの観点で言えば、生後14日以内に人工乳を飲んでいた子達は牛乳アレルギーの頻度が低く、生後3ヶ月以内の人工乳摂取で牛乳アレルギーでも頻度が低かった②)、といった報告もあります。

つまり、人工乳を飲んでいた子は、牛乳アレルギーになりにくいとゆうことですが、だからといって無理に人工乳にする必要はありません。

#「母乳のメリットは大きい」はこちら

時々、母乳がアレルギー予防にはならいと聞いて、がっかりしたと言われることがありますが、アレルギー予防になるから母乳を上げている訳ではないはず。母乳のメリットは非常に大きいのは事実で、ライフスタイルや家庭の事情で母乳と人工乳を使い分ければ良いのです。

それよりも、アトピー性皮膚炎を予防して、湿疹を出来る限り早く治すこと、肌荒れさせないことが食物アレルギー予防には大切だと私は思います。

#「予防が大切」はこちら

5)だから、これが必要です

①乳児期の湿疹は、一刻も早く

現在出きるのは、アトピー性皮膚炎からのアレルギーマーチ予防です。

②乳糖不耐症とは別物

間違いやすいですが、違います。

③なってしまったら、出来るだけ早い治療を

非常に治りにくいのが、牛乳アレルギーです。

参考文献
  1. 海老澤元宏編. 症例を通して学ぶ 年代別食物アレルギーのすべて. 南山堂.
  2. 林大輔. 乳の早期導入と牛乳アレルギー予防.日小ア誌 2018;32:36‒40.
  3. 前田 晶子、他. 乳糖で即時反応を認めた牛乳アレルギーの 1 例. 日小ア誌 2020;34:370-375.
  4. 海老澤元宏. 原因食物別の栄養食事指導,厚生労働科学研究班食物アレルギーに対する栄養・食事指導法の確立に関する研究,食物アレルギーの栄養食事指導の手引 2017.
  5. 海老澤元宏.治療・管理,AMED 研究班による小児期食物アレルギーの新規管理法の確立に関する研究,食物アレルギーの診療の手引き 2017.
  6. 景山 秀二、他. 牛乳含有繊維を使用した衣服により接触蕁麻疹を呈した牛乳アレルギーの男児例. 日小ア誌 2020;34:579-583.
  7. Guillaume Pouesse, etal. Food-related anaphylaxis fatalities:analysis of the Allergy Vigilance Network Ⓡ data-base. :Allergy 2019;74:1193-6.
  8. Yanagida N, etal. Risk Factors for Severe Reactions during Double-Blind Placebo-Controlled Food Challenges. Int Arch Allergy Immunol. 2017;172(3):173-182.
  9. 続木康伸. ナシ摂取後に重篤な喘息発作を起こした1例. 小児内科. 52(5):709-711. 2020.
記事監修医師
続木 康信
                     

続木 康伸

岩手医大卒、蓮桜会理事長。医師・歯科医師のダブルライセンス。新生児から妊婦まで、人生を自由にするアルバアレルギークリニック院長 。日本テレビ「カズレーザーと学ぶ」、東京MX「医史」出演。学研「保湿を変えればアトピーは治せる」著者。

【所属】
・日本花粉学会(評議員)・ヨーロッパアレルギー・臨床免疫学会・アメリカアレルギー・喘息・免疫学会・日本小児アレルギー学会
・抗原研究会・日本美容皮膚科学会・日本痤瘡研究会・日本脱毛学会・再生医療クロスボーダー協会・日本臨床カンナビノイド学会

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